会場はカネロが負けないラスベガス、Tモバイルアリーナ。2次計量までありジェイコブスが170ポンドを超えないようにGBプロモーションが楔を打ったそうです。そこまではいいだろう、しかしジャッジがカネロVSGGG2と同じメンツ、Dave Moretti、Glenn Feldman、Steve Weisfeldだという。大注目試合ながら、カネロ勝利のお膳立てはばっちりなのだ。
スペンスVSマイキーに続く、世界ではそれより大きな試合が間もなく開催される。今年最大の試合かもしれない。現代ボクシングを象徴するエリート、頂点に君臨するのが薬物のカネロだという事実に納得がいかない自分は全力でジェイコブスを応援するが、そんなジェイコブスにももの足りない、全てを信じて応援できない部分もあるのが事実だ。スレッキ戦もデレビヤンチェンコ戦もギリギリだもんね。
[st-card id=58278 ] [st-card id=53414 ] [st-card id=52602 ]IBFミドル級王者のダニエル・ジェイコブス(35勝29KO2敗)は、5月4日のカネロ(50勝34KO1敗)とのビッグマッチに先立って、心の準備について語った。
試合はラスベガスのTモバイルアリーナで行われ、DAZNによってライブ配信される。
32歳のジェイコブスは癌との苦しい戦いを乗り越え、精神的な優位性を持っていると確信している。全キャリアを賭けてカネロを研究し対策を積んできた今、カネロよりも戦略的な優位性もあると語る。
ジェイコブス
「これは自分がミドル級最強を証明する機会だ。不可能を可能にすることははじめての事じゃない。10年前、俺は病院の車いすに座っていたんだ。誰もこの物語を作ることは出来ない。これは俺の運命だと感じる。俺は死を目の当たりにした。ベッドで横たわる俺に医者は二度とボクシングはできないと言った。こんなタフな精神的苦境を克服したんだ。カネロだって癌と戦ったことはないだろう。でも俺はその癌に挑み勝っているんだ。
カネロはスーパースターの地位を確立している真のチャンピオンだ。多くの偉大なファイターと戦ってきた彼とリングを共有できて大変名誉だ。いつか俺は殿堂入りがしたい。それにはカネロのような相手を破ることによってのみ達成できるんだ。
試合が実現すると聞いてとても驚いたよ。実際に契約が締結するまで半信半疑だった。交渉中もきっと無理だろうとおもっていた。カネロはベストを避けていると言われてもいたが俺は信じていた。ファンのために素晴らしい試合を披露する時がきたんだ。
カネロはロッキー・フィールディングとの試合で歴史を作ったが、あれは簡単な試合だった。でもGGGとタフな2試合をしている。彼はタフで偉大な試合をするだろう。カネロこそ王者だ。そんなカネロが俺のベストを引き出すだろう。
試合に備えて相手の欠点を見つけたり研究するんだろうが、俺はカネロのファンだし今でもそうだ。ずっと見てきた。だから彼のスタイルはよくわかっているしGGG戦やその他の試合と比較したりはしない。相手はみな違うしどの試合も違うんだ。異なるスタイルの相手に適応、順応していくことが大事だ。GGGと同じような戦い方もまったく別の戦い方もできる。GGGは俺ほど速くないし大きくないしシャープでもない。
どんなファイターにも欠点がありミスを犯すからそこをついていく。俺の方が背が高く、速く、パワーがありスキルもある。今までやってきた相手とは違う。バックステップもサイドステップもできるしスイッチもできる。リングでありとあらゆる事ができる。だからそれらを駆使してカネロと戦い、最後には俺の手が挙がると信じている。
アンドレ・ロジールは素晴らしいトレーナーだ。彼を100%信じている。完璧なコンディションと準備で試合に臨むよ。俺が持つ全ての武器を駆使してカネロを打ち破り、ミドル級最強を証明してみせる。
俺の人生、物語は世界中の多くの人に共鳴している。だからボクシングのビッグスターになることなんて気にしていない。焦点はそこじゃない。リング外で偉大な人物になること、俺の足跡、特に身近な人々にとっての規範になるような人物になる事が焦点だ。
トラッシュトークはいらない。カネロも同じ気持ちだろう。過去には色々言ってきたこともあるけど、俺を信じて欲しい。俺はファイター同士が尊厳を持って戦うことを望んでいるしそういう姿を見て欲しい。スポーツの威信を賭けて戦う。俺たちはボクシングを代表する大使でありエリートレベルでそれを体現している者たちなんだ。」
ミドル級はGGGを記録上破ったカネロが頂点に君臨し、その他エリート(といわれる)選手たちで構成されている。なかなかこの構図は壊れない。新参者が割って入れない階級だ。そんなエリートレベルの外にいる村田諒太でさえ(別の人気の側面はあるが)億を超えるお金が動く。
いつのまにか、絶対皇帝のカネロに次ぐエリートがダニエル・ジェイコブスというシナリオになっているが冷静に振り返ると
ジェイコブスVSGGGはGGGの連続KO記録が途絶える接戦だったかもしれないがあの試合のジェイコブスは臆病だった。効かされる前にダウンし、へっぴり腰のサウスポースタイルで凌ぎ、体格差、体重差をみせただけ・・・
その後のルイス・アリアス、マシエ・スレッキ、セルゲイ・デレビヤンチェンコ戦、辛抱強くリスクあるランカーと連戦を重ねたのは偉いが、決して別格の強さを誇る内容、戦いぶりではなかった。強いていえば判定負けしないだけの狡猾さと体格の優位性をみせただけだ。
決して圧倒しないがギリギリ負けないだけのものを発揮する
言い方を変えれば、そこがダニエル・ジェイコブスの優位性、特徴なのかもしれない。
対するカネロは見た目にわかりやすいほどにシンプルなファイトで強さをみせている。しかしどこか不自然でサイボーグのような不倒のフィジカルで、そして意外と接戦でノックアウトまではできない。
この両者をしてミドル級の2トップというには個人的には多くの待ったがあるのだが、いつのまにか世間ではこれが2台巨頭による伝説をかけた戦いになっている。
恐らく、王道そのままに、お金が動くカネロが順当に勝つだろうと予想するが、私は、伝説とか、尊厳とか、そんなのどうでもいいので、かつてブルックリン対決でジェイコブスがピーター・クイリンを初回でぶっ飛ばしたような試合、誰も知らない、期待されていないドミトリー・ピログが空気を読まずにゴールデンチャイルドのジェイコブスをぶっ倒したようなボクシングのリアルだけが観たい。
熱戦、激戦だけど際どい判定で、恒例のラスベガスのジャッジに委ねられ、カネロが支持される。怒ったジェイコブスが再戦をアピールする
そんな試合だけはもう御免だ。
大きいのは事実だが、俺の方が速いというファイターは大抵そうでもない。重ねて言うが、ジェイコブスよ、貴殿の集大成の試合だ、美辞麗句はいらない、ジャッジに委ねるな、ノックアウトしかない。