そして僕は途方に暮れる/バランチェクのいないWBSS

WBSSの進展ですが、以下を想定して、人気者のジョシュ・テイラー、スコットランドにこだわっていたのだろうと邪推するしかない。これで決まりとなると、猪突猛進ファイターのバランチェクの抜けた穴は痛いしリッキー・バーンズでは役不足だが、この際乗り切って、10月を迎え終幕を急いだほうがよさそうだ。

テイラーの地元で、待遇も不確かなままアンダードッグの王者として戦うよりも、IBFベルトを持つバランチェクにとって有意義な選択は他にあるというのも納得だ。

WBSSは第2シーズンで多くの問題が露呈した。

資金調達の問題は支払いの遅れ、試合の遅れ、選手の参加に関する不確実性をもたらした。トーナメントは崩壊する可能性があり、現在進行形で未だ問題は解決していない。先月はイバン・バランチェクがトーナメントの撤退を表明した。

しかしその後すぐにWBSSは5月18日にスコットランドのグラスゴーでバランチェクVSテイラーの準決勝を発表した。それでもバランチェクが再び参戦する見通しはたっていない。実質的には何も前に進んでいない。バランチェクと同じルー・ディベラにプロモートされているレジス・プログレイスもこのトーナメントからの撤退を検討していた。しかし4月27日、米国でプログレイスVSキリル・レリが発表された。

今回はその発表に裏付けがある。プログレイスは継続的な参戦を決め、ノニト・ドネアVSゾラニ・テテのバンタム級準決勝もカップリングされた。

プログレイスには、資金面の保証だけでなく決勝が10月7日までには行われることも約束された。元々準決勝は2月か3月に予定され、試合の遅延が選手のキャリアに影響すると不満が出ていた。ファイターはもっと試合をこなしてお金を稼がなければならない。

プログレイスは初戦を10月に行って以来試合をしておらず、5月18日のスコットランドでの予定に満足できなかった。試合が遅れるだけでなく、地元期待のジョシュ・テイラーのアンダーカードとして組まれることも不満だった。急成長を続けるプログレイスは4月に彼の地元近くでメインとして開催されることで納得した。

しかし、プロモーターであるルー・ディベラはバランチェク、プログレイス共に具体的な意見を述べていない。WBSSは選手と直接契約を交わしたようだ。

バランチェクの状況は益々不透明だ。今日まで交渉は上手くいっていない。このままの状況が続くのであれば、代役をたてる方針だ。今のところの候補は元3階級王者のリッキー・バーンズ。バーンズもスコットランド出身なので、テイラーとの決戦は盛り上がるだろう。

バランチェクが撤退することで、王座が一つ減る、元々WBC王者もWBO王者も参加していないこのトーナメントの完全性はさらに損なわれることになる。

WBSSシーズン1はボクシングのあるべき姿とファンに歓迎された。構想は素晴らしく、ウシクとスミスという王者を誕生させた。しかしアメリカでの放映権獲得に失敗した。シーズン2の残りの試合はDAZNで放映されることが決まり問題は解決された。

放映権という大きな問題は解決したが、今なお、イバン・バランチェクだけが取り残された状態だ。

プロモーターをとばして、選手と直接契約したという箇所が引っかかるが、プログレイスはインパクトではホセ・ラミレスを倒してクロフォードやスペンスに続くスターになりそうな勢いがあっても、ボブ・アラムからは「お前は誰だ」と無視される、大手契約を持たぬ選手であり、金より誇り、名誉を優先しこのトーナメントに入った経緯がある。WBSS優勝、アリトロフィーの栄光は諦めるわけにはいかないだろう。

しかし急上昇してきた彼も既に30歳と決して若くない。
先を急ぎたい気持ちは痛いほどわかる。

かつて強烈な地元贔屓で守られてきたリッキー・バーンズ
今回ばかりはどっちを味方するんだろう?

10月の決勝だと井上尚弥の2019年は2試合で終わる。9月なら希望も・・・

トーナメントというのは、予算、会場、放送局、スケジュール、収支全て先に決めて計画通りに実行しないとこうなるのだ。
どんな立派な役員を揃えても、やってることが杜撰なのは会社も政治も一緒ということか・・・
この大会の失敗や反省を経て、究極なるトーナメントや新構想が誕生することを願う。

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