世界で一番有名な「RingMagazine」のフルトンVS井上の分析と予測です。
アダム・アブラモウィッツという記者の記事です。
全文記載だとアレなので要約させていただきます。
さすがに専門誌だけあって、日本の記者よりはるかに優秀、というかボクシング愛を感じるね。
ここの経営は大丈夫なんだろうか・・・
フィラデルフィア出身のフルトンはアウェーには慣れている。2015年以来、真の地元での試合はない。しかし今回の試合は彼にとって初のアメリカ国外での試合となる。
この試合の評価すべき点は、公認団体から命じられたものではなく、互いの実力を証明したかった2人の偉大なファイターの対戦であるということだ。数多くのファイターがキャリアを確立し、最もリスクの少ない道を選んできた時代にあって、この2人は危険を求め、無傷の記録という神聖さにこだわらなかった。
アンジェロ・レオ、ブランドン・フィゲロアと対戦したフルトンは、インサイドで互角に渡り合い、さらに上回るクリーンな試合運びを披露。フィゲロア戦ではおそらく必要以上に打たれていただろう。しかし、彼はタフな男を打ち負かす決意を固めていた。
ダニー・ローマン戦では、アウトサイドからの攻めを得意とした。長さ、リーチ、動きを駆使してローマンのアグレッシブさを封じ込め、一貫した攻撃のリズムを作らせなかった。そして試合の最後の3分の1では、ジェット噴射のようにローマンに襲いかかった。フルトンのフレッシュさと正確さはローマンには手に負えなかった。
井上との対戦で、フルトンはどのような勝ち方を想定しているのか、意図的な選択を迫られることになる。井上に体を押し付けてチャンスを増やすのか、それともリングの外側をパトロールする井上に自分を見つけさせるのか。この試合ではフルトンが井上と打ち合う場面も出てくるだろう。問題は、井上がそのような打ち合いを歓迎するのか、それとも制限しようとするのか。この答えが試合展開を大きく左右する。
井上のパワーが122ポンドでどのように発揮されるのか、そしてフルトンは井上の最高のパンチを受け止めることができるのか。122ポンドでも井上のパンチ力は健在だろうが、そのパワーがどこまで破壊的かは未知数だ。
これに付随するのは、井上のパワーをフルトンがどれだけ受け止められるかということだ。フルトンはこれまでフィゲロア、アーノルド・ケガイ、アイザック・アヴェラーなど、堅実なパンチの持ち主とリングを共にしてきたが、いずれも井上のような一発KOアーティストには及ばなかった。フルトンのアゴはキャリアを通じての武器だが、この試合ではこれまでにない形で試されることになる。もしフルトンのアゴが "ザ・モンスター "井上の最高の一発に耐えることができれば、この試合はかなり違った軌道をたどることになる。
フルトンのフィジカル的アドバンテージ
フルトンはリーチで3インチのアドバンテージがある。しかし、フルトンにとってこの3インチは単なる数字ではない。ジャブも使うが、肩でパンチをブロックし、相手の突進を防ぐのが得意だ。フルトンはノックアウトパンチャーではないが、ストップがないからといって、彼がフィジカルファイターであることを曇らせる必要はない。彼は自分の体を巧みに使ってアドバンテージを見つけ、相手の打撃を制限する。レオとフィゲロアの前に立ち続けたが、よりコンスタントにパンチの角度を見つけることができたのはフルトンだった。
フルトンは井上よりも足の速さでも優位に立つだろう。純粋な運動能力という点ではフルトンの方が上であり、彼は12ラウンド動けることを証明している。
井上はパワーだけでなく、セパレーターとしての正確さも持ち合わせている。井上の戦いぶりを見ていると、無駄な力が入っていないところが美しい。すべてが自然に流れているようだ。ハイライトとなるようなノックアウトを何度も記録しているにもかかわらず、彼は決して無理にアクションを起こしたり、ショットの数を増やしたりしているようには見えない。相手の弱点を突くこと、マルチパンチのコンビネーションを繰り出すこと、数多くの攻撃的武器を持つこと、そして臨機応変に対応することでストップを奪う。
井上の秘密はその完璧な足。彼の動きは常に目的意識に満ちている。自分の動きを予告することなくリングカットができる。バランスは申し分ない。ポジションを外すことはほとんどない。そして、パンチが1発でも4発でも、いつでも準備ができている。
彼のショットの構え方は研究に値する。彼はパンチのスピードとパワーを変化させ、相手が何が来るかわからないようにするのがうまい。コンビネーションでは、最初の1発か2発のパンチからパワーを奪い、3発目を叩き込む。また、頭とボディを予測不能な連打で織り交ぜることもある。確かに井上のパワーは凄まじいが、ただ単発のパンチを連発して当てるよりもはるかに複雑だ。彼はリング上ではチェスプレーヤーであり、対戦相手より何手も先に動く。
ボディ
井上のボディパンチの威力は相当なもので、左ボディフックは強烈だ。彼はこのパンチでリードすることも、コンビネーションで終わらせることもできる。しかし、フルトンのボディパンチは過小評価されている。彼は独自の精度で相手を消耗させることができる。
両者ともボディに徹するだろう。しかし、この試合は12ラウンドのマラソンになる可能性があり、弱った相手はより簡単に倒される。また、井上の方がノックアウト力は上だが、フルトンのボディパンチの能力を過小評価してはいけない。
予想
フルトンがアンダードッグであることを考えると、この試合はフルトンが井上とどう戦うかによって大きく展開が変わる。序盤から井上にメッセージを送り、階級が上であること、井上のパワーに怯まないことをアピールするのか、それとも序盤は慎重な試合運びで井上に自分を見つけさせるのか。フルトンの戦い方次第で、銃撃戦が見られるのか、それとも頭脳戦が見られるのかが決まる。
ダニー・ローマン戦のパフォーマンスを見る限り、フルトンは井上を倒すだけのスタイルを持っていると思う。フルトンには井上をアウトサイドで制し、井上の攻撃的脅威を無力化する能力とフィジカルツールがあると確信している。
しかし、私はフルトンのリング上での決定力に懸念を抱いている。フィゲロア戦を必要以上に難しくしたのは、自分がマチズモの戦いに勝てるということを証明するためだったと思う。私はフルトンが常に勝つことを第一に考えているとは思わない。彼はスタイルポイントを信じている。そして、これは井上に対して取るべき無策なアプローチだろう。
私はフルトンが序盤でリードを奪うと思うが、定期的に動きを止めて井上と交戦するだろう。試合が進むにつれて、井上が爆発的なパワーショットで打ち勝つと予想している。井上の成功の一部は、彼自身の執着心と隙を作る能力によるものだろうが、フルトンが少し気の緩んだところ、少しカジュアルすぎるところが、試合中に裏目に出るだろう。
私は、フルトンがチャンピオンシップラウンドで判定をこじ開けると見ている。114-113でフルトンの勝利としよう。フルトンは無敗記録をキープしたまま生き残ったが、彼のパフォーマンスの安定性については疑問が残るだろう。井上のノックアウトはあり得るか?もちろんだ。しかし、私はフルトンが嵐を乗り切るのに十分な結果を残すと思う。序盤は彼の堅実なファンダメンタルに助けられ、終盤は彼の運動能力が勝利を決定付けるだろう。しかし、猛烈な攻撃にも耐える必要があり、勝利を引き寄せるにはガッツと狡猾さが必要だ。井上の方が印象に残る場面が多いかもしれない。それがボクシングだ。
この記事に対するコメント
ダニエル・ローマンはフルトン戦では以前の面影はなく、もともとビッグパンチャーではなかった。井上に勝つためには、フルトンはこれまで以上に深く掘り下げなければならない。井上に勝つ可能性はあると思うが、終盤の井上の仕打ちに屈する可能性の方が大きいと思う。フルトンが井上に勝つ現実的な可能性があると思わせるのは、バトラー戦での井上のリングカットの悪さである。フルトンには通用しないだろう。
分析は実に鋭いが、私の見解とは違う。
識者はみな、判定を視野に入れたマラソン(長期戦)を想定しているようだが、序盤の瞬間最大風速、判断力、おもいきりの良さ、それが井上の極上の能力であり、たしかに試合が長期戦になり判定までもつれるようだと雲行きは怪しくなる。
しかし序盤から中盤で決着するか、既に趨勢はみえているような展開に井上が持っていくと私はおもっている。
よって、このプロの記者の長い分析よりも、ファンのコメントに共感する。
あれだけ守りに徹したバトラーの追い詰め方は超一流といえただろうか、少し素人臭さを感じたし、ドネアとの初戦の終盤も不慣れな動きを感じた。つまり経験不足、接戦やピンチや想定外に慣れていないのだろう。
無茶をしろとはいわないが、序盤からフルトンに恐怖を与え何も考えられなくすることが勝利のカギで、結果は接戦ではなく明確に圧倒、出来れば序盤でノックアウト
を期待、妄想している。
フルトンの技術を堪能しなくて良い。