僅かにディレイとのことで6時頃ネット遮断しTVへ
この試合こそここ数年最も待ちわびた心臓ドキドキの瞬間でした。
長谷川VSマルチネス
初回は長谷川なかなかよかった。先手で手を出しマルチネスをコントロール。ボディもいい。
マルチネスはいつものような速攻がなりを潜めおとなしい展開。
しかしやはりタフネスもキャリアも一流の選手。序盤強い長谷川に対してもほぼノーダメージでのりきった。
2回はじまってから長谷川ややおかしいなと感じた。初回の最後のパンチの交錯で何かがあったのかな。
足を止め、引き気味でマルチネスの得意な距離での打ち合いに応じてしまう。
ロープ際での打ち合い。回転力は長谷川だが、ここが得意のマルチネスの強烈なフックを食らいダウン。
こういう打ち合いだけがマルチネスの一点突破、真骨頂だったのに。
以前の長谷川と違い、逃げ倒れて回復を優先するようなダウンだったが、もう猛烈に効いてしまった。
そこから立て直し、なんとか上手くポイントも拾っていたとおもうが一撃の破壊力と効いて死んだ足が言う事を効かずもうギリギリ、ヒヤヒヤの展開でした。
最終7回に決めに来たマルチネスの豪打を食い撃沈、TKO負けとなってしまった。
2回のダウンが全てだったとおもうが、バッティングやブレイク後の反則打
浜田氏も言っていたがあの反則打は一点減点では相殺できないほどに痛いものでした。
突進フックが特徴のマルチネスだけに戦術次第では勝てる相手だし今後長く防衛していく選手とはおもえないが、ここ3戦の充実度、相手レベルは目をみはる。この試合で長谷川は眼窩骨折、鼻骨骨折だそうでその強打はSバンタム離れしている。
これがボクシングの真髄だ。
こんなに身体削る真剣勝負をなんちゃって3買級は一度だってしていない。
タラレバの残る悔いある敗戦だったが、やりきった、耐えに耐えた激戦だったとおもう。
哀しくて悔しくて2度とこの試合のVを見る事が僕はできないだろう。
本人は自分のボクシングを貫くだけだったとおもうが、陣営よ、大場戦の時も感じたがもうちょっと、気持ちを鼓舞するようなアドバイスだけでなく戦術、戦略面でなんとかならなかったのかな。
キコ・マルチネスは特に極めて特化した戦術で臨むべき相手だよ。
強いが攻略の糸口ははっきりしているファイターだ。
さらに進化した長谷川を信じていたが、美しさはそのままにやはりどこか衰えが見えた。
蓄積されたダメージと3年の時を経て、計量をクリアする体を作ることがもうすでに限界だったように感じた。
最後に言葉どおり「今は私の時代」を体現したマルチネスの言葉
「予想以上のプライドを感じた。尊敬でき、あこがれさえ感じる選手だった」。2ラウンドでダウンを奪い、主導権を握りながらも「3ラウンドでみぞおちに食ったパンチは効いた。回復に時間がかかった」
とのこと。
これは試合前、試合中、試合後の長谷川の態度がそうさせたのだとおもう。
長谷川はクリーンすぎる。毎回グローブタッチ、あの痛恨の反則打も長谷川のクリーンすぎる姿勢が生んだともいえなくもない。
贔屓の長谷川を倒したマルチネスだが、この男もまた好漢であり、強者から逃げない。今後の活躍に期待したいとおもう。
山中VSジャモエ
自信満々の山中だが長谷川の敗戦に動揺はあったろう。
しかし今は山中の時代、時の流れを感じずにはいられない。
初回にいきなりすごい左ストを振っていったがあれで倒して終わらせる意図があったような、凄まじい空振りであった。
神の左と言われているが、今回益々その威力を増したようで戦慄を覚える。2回のダウンはガードをぶち抜いていた。
ヤンキーで闘志むき出しで頑張るジャモエだったが、格が違いすぎた。
しかし飯田氏がずっと指摘していたようにこの日の山中は左スト一辺倒、効いてる相手を丁寧な連打で崩すようなテクもなく、ただただ左の槍を突き刺すのみ。
ダウンとった後にコーナーに行かない悪い癖もある。
すぐ追撃したくてレフリーの後ろに行ってしまう。
これは強さと関係ないが反則でもある。
山中の左こそがよく言うノ―モーションの左であり、細い体躯から捩じるように放たれる。
コークスクリューのねじりが効いているのでフックやアッパーは打てないというか必要ないのかもしれない。
ジャモエの闘志はすさまじかったがあれだけ立てたのはわかって貰う左だったからだろう。
右も強かったというのは左に対するアンチテーゼだろう。警戒してないパンチの方が効くから。
この左頼りの大雑把なボクシングでいいのだろうか?
飯田氏はずっと指摘していた。
普通なら、良くない、狙いすぎだしバリエーションなさすぎ、エスキベル戦と同じで効いてる相手を仕留めるのが下手
と色々いいたくなってしまうが、これだけ左ストが特化しているとなるとこのスタイルでいいのかもしれないと感じてしまう。
細く一発のないジャモエと正反対のキコ・マルチネスや山中がやりたがっているサンタクルスはゴリゴリ接近して手数を多く出す。そんな接近の乱戦こそ、棒立ちの山中は最も苦手だろうとおもうが、あんなに鋭い左ストがあると接近できないよ。
あの左ストだけでドネアやリコンドーとの対戦すら期待してしまうところがある。
やばすぎる、極端すぎる左スト劇場でした。
この試合のVを見れば山中の特徴が嫌なほどわかってしまう。
その上で今後山中はどこを目指し、誰と戦うのだろうか?
長谷川が果たせなかった海外進出をもう早急に歩んでいただきたい。
この日を見て、内山と山中はもう国内卒業、海外へ行ってくださいなと強くおもいました。
ともあれ、とても切ない一夜でした。
西岡の引退でマニア魂は消えかかり、長谷川の恐らく最終戦を見届けて、もはや燃えカス、蚊取り線香の情熱しかなくなってしまいました。