それまでに両者は無敗でい続けることが出来るだろうか、期待にたがわぬ強さを誇示し続けていくことが出来るだろうか。
32歳のテレンス・クロフォードは、伝説的な戦いを追い求めながら、傍観者として立ち往生している。
3階級王者、統一王者、現WBOウェルター級王者のクロフォード(36勝27KO)は同じく評価の高いIBF、WBC王者、エロール・スペンスJrとの試合を模索している。
クロフォードは、スペンスJrが昨年10月に起こした自動車事故から回復しリングに戻ることに大きな関心を抱いて傍観者になる。
クロフォード
「エロールは元気だと言っている。トレーニングもしているようだし問題ないんじゃないかな。彼は今、ダニー・ガルシアと戦おうとしている。この試合の出来でエロールの状態がわかるだろう。ダニーはタフで誰にとっても決して楽な相手ではないからね。」クロフォードとスペンスはP4Pを問う現代ウェルター級の最高峰を証明する機会としてお互いを必要としている。
それぞれに契約先が違うが、トップランクとPBCは時に不可能を可能にしてきた。歩み寄りは起こりえる。唯一の懸念事項といえば、スペンスの大事故からの回復具合と、関係者全員が満足できるだけの資金があるかどうかだ。
クロフォードは今年で33歳、スペンスは今年の早い時期に30歳になった。
窓は時が過ぎるほどに軋む。彼らの対決を意義のあるものにするためには、それぞれが全盛期(プライムタイム)で戦う必要がある。
これが、世界のボクシングマニアが最も観たい、期待している試合で間違いないが、実現の見通しは見えない。これからという時にスペンスは死んでもおかしくないような自動車事故を起こし、復帰してみないとわからない状況になった。ボブ・アラムが抱えるクロフォードは実力に人気がついてこず、ビッグマッチは先送りが続いている。
この先1年待っても、両者の状況はあまり変わらないだろう。
両者共に底知れぬ実力者だが、時代故?個性故?デラホーヤやメイウェザーがいた頃のような爆発的な人気者とはならなそうだからだ。
キャリアだけは重ね、立派な地位を築いた両者の求めるファイトマネーは大きい。関係者が期待する額も大きい。
しかし両者の人気、コロナによる停滞では、夢のような巨額マッチは望めない。
互いにピークといえる年齢になった。
歴史を振り返ると、いつか戦いは起こるだろう。
それまでに両者は無敗でい続けることが出来るだろうか、期待にたがわぬ強さを誇示し続けていくことが出来るだろうか。
その首を狙う伏兵はたくさんいる。
ボブ・アラムもアル・ヘイモンも仕事を果たさねばならない。