ガーナでの世界戦が2018年のオープニングでしたが、この試合こそ今年の幕開けといってよい。ここから怒涛のボクシングウィークが始まる。
(前座のイースターVSフォルトゥナが先ですが)
オッズでは、かつてルーカス・マティセがラモン・ピーターソンをKOしたようにスペンスもピーターソンを圧倒すると出ています。
マティセはかつてピーターソンを3度ダウンさせました。2回に左フックで一度、3回に2度。アルゼンチンのKOアーティストは9分もかけずにピーターソンを破壊しました。しかし5年たった今、38戦の中でそれがピーターソン唯一のKO負けです。それから2階級で王者になりました。2009年にはティモシー・ブラッドリーがピーターソンに判定勝ちしましたがマティセ戦に匹敵するようなものではありません。
スペンス
「マティセはパワーパンチャーです。あの試合に限ってはモンスターでした。彼のハードパンチがヒットしてラモンが回復できなかった試合です。」しかしスペンスはマティセのような勝ち方をするつもりはないと言う。
スペンス
「あのような結果にならないとは限らないけど、自分は12ラウンド戦うつもりです。非常に厄介な相手です。12ラウンド戦うつもりで準備してきました。それ以上のものはありません。」スペンスはピーターソンを派手に倒して過大にアピールしようとは考えていません。昨年、敵地でケル・ブルックを下して王者になった原点に戻り、2018年にキャリアを再構築したいと考えているだけです。
スペンスの爆発的な潜在能力、圧巻のパフォーマンスは、どんなウェルター級のエリートでも敵わないと感じさせます。ピーターソンではアピールに足りないと感じているかのようです。
タフで、知的で経験豊富なピーターソンも来週34歳になります。
P4Pの声も聞かれるスペンスは相応の試合をしなければなりません。スペンス
「ただ圧倒的に勝ちたい。ワンサイドで勝ちたい。ラモンは偉大なボクサーです。何でもできる素晴らしいボクサーだけど土曜の夜は圧倒的に勝ちたい。とても重要な事です。圧倒的な勝利が必要です。P4Pのトップになり、ベルトを統一し、ボクシング界のスーパースター、スポーツ界のスーパースターになるために、優れたパフォーマンスをしなければなりません。ラモンは認知はされているけど過小評価されてもいます。彼は優れたボクサーです。マティセ以外誰もラモンを倒せませんでしたし、あの試合はマティセのいいパンチがたまたま入っただけでしょう。ラモンはスキルが高く万能でタフです。私はわかっています。なのでこれはとても偉大で重要な試合であると考えています。」
スペンスより6歳上のピーターソンは、非活発なボクサーです。2015年にフェリックス・ディアスに競り勝ってからこれが2戦目です。ピーターソンはもう残された時間があまりない事をしっているので、アップセットを起こすモチベーションはとても高いです。
スペンス
「彼にとっては最後のチャンスかもしれない。世界タイトルマッチであり、彼は勝ちにきている。激しいトレーニングをして最高のコンディションで臨んでくる。特別な瞬間だと考えているに違いない。この試合はイージーだと言う人もいるけど、ラモンのキャリアを考えれば難しい試合になるだろう。防衛戦まで時間がかかったのは他の選手たちが応じてくれなかったからだ。受けてくれたラモンは本当のファイターです。」
オッズでは15-1でスペンスと出ている。
ピーターソン
「自分はアンダードッグではない。誰かがそう言ったというのではなく、自分で自分を評価するなら、私はアンダードッグではない。オッズは気にしません。リングに上がって試合を楽しむだけです。」スペンスにとっても過去最強の相手かもしれません。
ピーターソンはマティセとブラッドリーとダニー・ガルシアに負け(議論の残る判定)ただけで、アミール・カーンやケンドール・ホルト、フェリックス・ディアスらに勝っています。ピーターソンは前戦、デビッド・アバネシャンを破りWBA王者になりましたが、そのタイトルを放棄してこの試合に臨みます。WBAの正規王者はキース・サーマンであり、スペンスが本来戦いたいのはサーマンですが、彼らは互いを尊重しています。
ピーターソン
「スペンスは順調だ。アマチュアの頃から彼を知っているけど、いつかこの位置に来るとおもっていました。紙の上では、私を踏み台にしてスペンスが出世していくのでしょう。ですが、詳しい話は土曜の試合が終わってからにしましょう。」
普通の王者ではなくP4P、サーマンやクロフォードに勝つことも期待される未来のスーパースター、エロール・スペンスには圧倒的な勝利が求められているようです。あまりこの場でスペンスに言及してこなかったのは、スペンスといえども新米王者でこれからの選手であるという事。ブルックには勝つと予想していたが、内容は今一つに感じた事もあるからか?
練習ではメイウェザーすら凌駕していたと言われるスペンスですが、彼のボクシングはいわゆる負けにくいディフェンス型ではない。打ち合い、倒しに来るファイトをする。井上尚弥と同じく自分でペースを作って圧倒してしまう。技術に裏打ちされた安定感とウェルター級にふさわしいパワー、引いてだめなら押してみろの2番底があり、ウェルターではキース・サーマンすら及ばない抜けた力、スター性を備えている。
方や、ピーターソンは善戦マンだ。美しいアウトボクシングもボディの打ち合いもこなすオールラウンダーだ。しかしスペンスを効かすパワー、決定力がないのは致命的だ。善戦が関の山か?
しかしケル・ブルックが出来そうで出来なかったように、スペンスとガッツリ打ち合うことをせず、クレバーに戦えば、この若い王者に死角が生まれるかもしれない。相手を潰すためにちょっと強引なところがあるのがスペンスの特徴だ。一発一発しっかり打つので速い方でもない。
そして、こんな超エリートでも五輪でメダルに届かなかった。上には上がいるのだ。(特にロシア系が天敵だったようです。)万能、盤石ではない。技術でスペンスを凌駕するものはいる。パワーで凌駕するものもいる。
リングに上がってみなければ、結果などわからないし、ベルトを捨ててまでこの試合に臨むピーターソンの生涯一のパフォーマンスも観てみたい。