
いかにも、衰えた元王者の名前を借りたプロスペクトのステップアップの試合でしたが、その名前は伊達ではなかった。まだまだ敵わぬ強さだった。
その試合がオファーされた時から、パヤノは自分に課された役割(踏み台)をよくわかっていた。それが例え若く有望な無敗のダミアン・バスケスのような相手であっても。
少なくともオープニングベルが鳴るまでは・・・
試合が始まると元バンタム級王者のパヤノのタイヤにはまだたくさんの空気が残っていることが証明された。パヤノはバスケスを一方的に下した。昨年10月のWBSSの初戦で井上尚弥に衝撃的な初回KOで敗れて以来、パヤノにどれほどの力が残っているのか不安視されていた。
パヤノ
「私は誰の踏み台にもなりません。2度の敗北は世界王者が相手です。バスケス程度では私は倒せません。」序盤からパヤノの一方的な攻勢で、バスケスの計画は狂った。五輪2度出場のパヤノは放送時間の関係で短縮された8ラウンドをほぼフルマークで獲得した。偉大な兄イスラエルを持つバスケスにもわずかなチャンスはあった。4回に右でパヤノをカットさせ、流血戦に持ち込んだが、自らも流血に苦しみ、競った内容にはほど遠かった。
パヤノ
「ダミアン・バスケスはタフだったけど、俺に勝つにはまだ早すぎたんだと学んだはずだ。」勝利したパヤノはかつて自分がいた場所に戻ることを望んでいる。
ラウシー・ウォーレンとの再戦で僅差で敗れ王座を失ったパヤノは3連勝してWBSSへの参加を決めたが、彼の参加はたった70秒だった。パヤノ
「この試合は俺が踏み台になるのではなく、まだ力があることを証明するのに役立った。また近いうちに王者になることを楽しみにしている。」
この試合のメインはヨルデニス・ウガスがショーン・ポーターにスプリットで敗れるという物議を醸す試合だった。私は極端だけれどウガスの大差勝利、会場も多くのサイトもファンもウガスの勝利に映った試合だった。
ウガスは試合前
「俺はキューバ人でポーターはアメリカ人だけど、本拠地は同じだからジャッジはフェアだとおもう」
と発言したが、試合後は「判定を盗まれた」と泣きながらアピールしていた。
ジャッジはフェアではない。
パヤノVSバスケスもバスケスを勝たせたいようなムードがあり、パヤノが攻めて身体が交錯するとレフリーがすぐに引き離すような場面が多かったが、採点で小細工できるような競った内容ではなかった。初回からパヤノの闘志、踏み込み、迫力にバスケスは委縮してしまった。
自分が置かれた立場や役割が客観視できるのであれば、接戦は無用、接戦イコール相手の勝ちだ。ウガスにもパヤノのような覚悟と圧倒的な差が必要だった。
一生懸命書いてる記事だけど、最近最もアクセスがあったのがパヤノの記事だった。
[st-card id=60025 ]井上尚弥に完敗しても堂々受けてくれたパヤノには日本にファンが多いんだな。70秒間の緊張、パヤノはほとんど手を出してなくてもその強さは伝わった。
貴殿のボクシングはちょっと雑で、ショートコンビネーションとかを省いて力みがちだが、まだ十分世界王者を脅かすレベルにあるとわかった、勇気をもらえる偉大なファイトでした。
あの敗北から無敗ホープ相手に再起するなどかっこいい。
今年35歳だけど、まだまだ応援させていただきます。