キレた天才・突然の暴力/ギジェルモ・リコンドー

私はリコンドーの言葉を信じたいとおもいます。高齢だが大きなダメージもなく節制のできるリコンドーにはまだまだ多彩過ぎる戦術が控えている。最後の疾走に向けた注目を集めるためのテスト、冒険をしただけに過ぎない。自分の武器を捨ててもこの程度で負けるわけがないのだと。

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ギジェルモ・リコンドーが今年2度目の試合を行った。それ以前は1年以上のブランクがあった。ワシル・ロマチェンコとの究極のトップアマチュア対決に敗れたためである。

ロマチェンコに敗れる前までのリコンドーはアマチュアの金字塔として、特に魔法に近いディフェンス技術を誇っていた。しかしそのスキルがプロでは致命的な仇となった。多くの大衆には高度で難解な彼の一方的なファイトが退屈にみえた。一部のスウィートサイエンス(ボクシング)の愛好家だけがリコンドーの巧妙で熟練したスキルを楽しんだ。

別人のリコンドー

フリオ・セハを相手に迎えた試合の初回、リコンドーは正確なフックやアッパーでインパクトを与え、いつもと同じ早い結末が予想されたがそれは間違いだった。

セハはリコンドーのパンチを上手く吸収し、多くの手数で反撃した。そして以前と違い驚くほど高い的中率でリコンドーにパンチを当てた。

試合が進んでもベテランのリコンドーは戦術を変えることを拒んだ。フットワークやボディワークを使わず、タフマンコンテストであるかのように真正面から打ち合いをしていった。その光景は驚くべきものだった。

いつものように足を使い距離をコントロールしディフェンシブに戦う代わりに何倍も殴り、殴られ、結局8回に左フック一閃でセハを倒した。

試合後のインタビューでリコンドーはわざとそのように戦ったのだと語ったが、その説明は疑わしい。

リコンドー
「私はいつも自転車を走らせ退屈だと皆が言うから、接近戦もできる事をみせたかった。短期決着でなくラウンドを重ねたかった。そして左でフィニッシュした。プラン通りだ。」

個人的にはこのコメントはファンを安心させるための言い訳に聞こえる。真実かもしれないが私はそうは額面通りには受け取らない。

反論

この日のアンダーカードには、フェザー級プロスペクトのクリス”プライムタイム”コルバートがアルベルト・メルカドと対戦した。試合は10ラウンドユナニマス判定で有望なコルバートが勝利したが、コルバートはフットワークを駆使した。何度もロープに釘付けになりスリッピングを駆使しメルカドに空振りをさせた。リコンドーはこの戦い方をしなかった。

https://www.youtube.com/watch?v=-PBSQHjoH5w

リコンドーはかつてのリカルド・マヨルガのように頭を下げるだけでセハと真っ向から打ち合い、多く被弾もした。何度か効いて足元が揺れているようにもみえた。これが彼の言う意図したゲームプランであるなら馬鹿げている。

例にあげたコルバートのみならず、テビン・ファーマーやカレブ・プラント、ゲイリー・ラッセル、カネロなどの世界王者は素晴らしいディフェンス技術を示している。以前のリコンドーもそうだった。リコンドーの言葉は空虚に聞こえる。フットワークを使って危険を回避するのとヘッドスリップしたりブロッキングで顔を守るのは関係がない。

結局、これがただの愚かなゲームプランなのか、母なる大自然がリコンドーの最も崇高にして効果的な武器を取り除いたのかは時が経てばわかるだろう。

最後に

セハに対する勝利でリコンドーはWBC王者、レイ・バルガスVS亀田和毅の勝者への挑戦権を掴んだ。リコンドーの言葉が真実であるなら、彼の悪名高き、そして羨望のスキルセットで再び王者に返り咲くことが論理的にみえる。しかし、年齢がついに”ジャッカル”に追いついたのだとしたら、ラフで無茶な路地裏の乱闘のような試合になるかもしれない。どんな続きがあるのか注目だ。

ああ言えばこう言うで、こうして議論になっただけでもリコンドーの大勝利である。
もう誰が相手でもやるだろう。条件(お金)さえよければ。
少なくとも次がとても気になる突然のスタイルチェンジ、熱く激しい、プロフェッショナルなファイトでした。

ちなみにセハはストップが早すぎるとWBCを訴えたそうな・・・

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