昨日のアマプラの余韻・・・そして今日、最難関の挑戦がここにある。アマプラもよかったけど、本当の世界の注目、中心は、今日なのだ。
シャクール・スティーブンソンは無敗の若き2冠王者、3冠目を目指す過程で対戦から逃げなかったのが吉野だった。
試合はライト級の挑戦者決定戦だが、この男は現役世界王者よりも攻略が難しい。
スティーブンソン
「2,3ラウンドで相手を分析できる。吉野はプレッシャーファイターでストロングだが、俺にとっては平凡だ。吉野は笑顔を振りまいているが、土曜の夜はその笑顔を拭い去ってやる。」
吉野
「俺はハイレベルなファイターだ。リングでは相手と自分だけだから、何も気にならない。俺を軽くみてるなら、ノックアウトしてやりますよ。」
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | R | |
シャクール | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 50 |
吉野 | 9 | 8 | 9 | 8 | 9 | 43 |
吉野のパンチが届くなら試合は動くだろうが、ほとんど無理とおもわれるが果たして・・・
ウルフルズで吉野が笑顔で入場
修一郎”レイジングブル”吉野
ここはシャクールの地元
1R
体格は互角。
吉野が前に出るもシャクールがよく見ている。
顔面には当たらないがボディーは軽く捉えているようにみえる
シャクールのショートパンチにも対応出来ている。
吉野の右は流れる。
シャクールのショートは鋭い。
様子見で互角だが、地元の
シャクール10-9
2R
やはり中間距離は絶望的に当たらない。
シャクールのノーモーションに近いショートの左で吉野がダウン
効いたパンチではないだろうが、タイミングが抜群
吉野のパンチはシャクールに比べるとスローで当たらないが
ガムシャラに反撃している。
シャクール10-8
昨日からおもっていたけど、シャクールのファイトは
那須川の目指すスタイルに近いのかも。
3R
シャクールの方が速く見切りがいいので
吉野の動きの隙をついてコツコツ正確に当てることが出来る。
シャクールにとってはやりやすいタイプなのかもしれない。
吉野が前に出てガンガン攻めるほど、シャクールのパンチが当たる。
吉野が捨て身で攻めていくが、正確性はシャクール
しかしシャクール相手にここまで前に出て打ち合う男はいない。
吉野は打たれ強いし顎を引いて打たれ方も悪くないけど、かなり被弾している。
シャクール10-9
4R
吉野がこんなに全開なのに、シャクールに被弾はない。
一歩も引かない吉野だが、シャクールは全部カバーしている。
吉野のガードも固いけどアッパーを合わされている。
4回、シャクールのワンツーの右フックで殴り倒される吉野
これは効いただろう。
シャープでコンパクトでこれは仕方ないといえる切れ味
シャクール10-8
5R
シャクール攻略の定石のようなファイトを吉野は遂行しているが、全く敵わない。
むしろ、来てくれる、こういうファイトがシャクールはやりやすいくらい。
シャクールの左からの返しのひっぱたくような右フックが鋭い。
吉野はここからが粘り強いが、ジャッジが止める可能性もある。
吉野の顔面はきれいで笑っているが、試合を止めるか話し合っている。
シャクール10-9
6R
吉野の調子が悪いわけではなく絶好調だとおもうが
全く敵わない。攻めれば攻めるほど、正確で鋭いリターンを食らう。
シャクールは決して大振りをしないが、ライト級に上げてパワーもついたようだ。
一方的な展開に、レフリーが試合をストップ
吉野はまだ全然やれると不満そうだが、一方的で勝機がなかった。
シャクールは階級を上げて適性になり力感が出てきた。
吉野が前に出てくるから、得意のショートが当てやすかったともいえる。
この階級の最強は、タンクでもライアンでもヘイニーでもロマチェンコでもなく
シャクール・スティーブンソン
だろう。
井上尚弥よりもP4Pで上かもしれない。
そのくらい被弾しない。
そんなシャクールを五輪で破った、ロベイシも世界王者になったようだし。
やっぱ半端ないな。
ジャレット・アンダーソンVSジョージ・アリアス
ヘビー級のKOセンセーションのアンダーソン、13勝全KOだが、相手も18勝7KO無敗のドミニカン。アリアスはスピードはないが、180センチのアンコ型で上体をよく振る。アンダーソンが攻めているが、いつものような簡単なノックアウトにはなりにくい。アンダーソンはトップアマ出身だが、東京五輪で銀をとった小さなリカルド・トーレスに負けているんだな。大きさで制圧していくタイプだが、トーレスのようなスピードはない。
4回、アリアスはダウンを拒否するが、滅多打ちにあう。5回に出てくるだろうか。やはりこの回でギブアップ。アンダーソン世界挑戦までは行くだろう。ネクスト、ワイルダーのような存在。ワイルダーよりは破壊的ではないが器用だ。
キショーン・デービスVSアンソニー・イギー
東京五輪銀、クロフォードやシャクールの後継者と期待されているプロスペクトとプロスペクトの踏み台に落ちたイギーだが、割とイギーが躍動し、キショーンが苦戦している。判定だとキショーンなんだろうが、いいキャリアを積んでいる。8回にボディーでイギーがダウンもすごい闘志。9回、イギーのダメージを心配したレフリーが試合をストップ。イギーの闘志は死んでいなかったが。キショーンは世界王者になるだろうが、クロフォードやシャクールのような難解なファイトはしない。結構打ち合い被弾する。
今日はとても全部拾えないが、ジェシー・ロドリゲスの試合、セバスチャン・フンドラの試合などがあるんだな。アンダーで
ブランダン・リーVSペドロ・カンパ
なる試合もある。リーはもう27勝無敗だが、世界挑戦なるのだろうか。カンパは強いぞ。
シャクール・スティーブンソン 19勝 (9KO) 無敗
身長 173cm
リーチ 173cm
25歳
アマチュア
2013年AIBA世界ジュニア選手権フライ級金メダル
2014年全米ユース選手権フライ級優勝
2014年AIBA世界ユース選手権フライ級金メダル
2014年ユースオリンピックフライ級金メダル
リオデジャネイロオリンピックバンタム級銀メダル
プロ
WBCアメリカ大陸フェザー級王座
IBFインターコンチネンタルフェザー級王座
NABO北米フェザー級王座
WBO世界フェザー級王座(防衛0=返上)
WBO世界スーパーフェザー級暫定王座(防衛1)
WBO世界スーパーフェザー級王座(防衛1=剥奪)
WBC世界スーパーフェザー級王座(防衛0=剥奪)
試合がつまらない、判定覚悟、ボクシングとは打たせずに打つことこそ至高というのであれば、この男がP4Pナンバーワンかもしれないと本気でおもうほどのディフェンスマスター。
メイウェザー同様に相手が打つ前にもうパンチを避ける動作をしている。曲芸のようなボディワークというよりは距離管理が徹底的に優れ、前手で相手の攻撃を捌き、コンパクトなパンチだけを打って、自身には全く当てさせない。反応がよすぎて相手の次の動作を先読みして動いている。
しかし決して無理をしないので、倒しにいかず、同じ展開が続き、眠くなる。
フェザー級から上げてきて、身長も体格も悪くはないが、キレ系でパワーパンチャーではない。
吉野修一郎 16勝 (12KO) 無敗
身長 175cm
リーチ 173cm
31歳
アマチュアボクシング - 124戦104勝20敗
プロボクシング - 16戦16勝(12KO)無敗
日本、東洋無敗、元世界王者の伊藤雅雪を引退させ、ロマチェンコとも戦った中谷正義をノックアウト。もうアジアに敵はおらず、世界を目指すなら相手を選んではいられないのがライト級だ。
しっかりしたブロッキング、アゴを締めたフォームなど、打たせ方、パンチの殺し方も上手い、アマに裏打ちされた技術の確かさをベースに、相手にプレッシャーをかけてフィジカルの強さや重いパンチで削っていくタイプ。地味だが負けにくい総合力の高さがある。
この辺の階級で世界を期待された小原や岡田よりも打たれ強さもありそうだ。
アマではバンタムから上げてきたシャクール、プロデビューはウェルター級だった吉野、フィジカルの強さが違うのではというのが一縷の望みだが、シャクールという選手がスペシャルなので、吉野に勝機はなかなか見いだせない。まず、まともにパンチを当てるだけで奇跡だ。
米国でプロ活動をするロマチェンコとシャクールは練習で何度も手合わせしているようだが、もう年齢的にもシャクールが上回っているかもしれない。それほど打たれない選手としてのスタイルを固めている。
タンクも井上尚弥も塩づけして完封するならこの男
とおもわせるほどのレベルだが、オスカー・バルデスよりも、ロブソン・コンセイソンよりも、大きく、馬力があって地味に強そうだとおもわせるところが吉野にはあるので、全く期待できないとはいえない。何か秘策をもってこの高い頂に挑んでみて欲しい。
この試合をして世界挑戦者決定戦だそうだが、シャクールは無敗で3階級目を狙っている。指名挑戦じゃないと王者を含め誰もやってくれないから、下位の吉野まで話がまわってきた。
それを断らなかったから実現の見通しなのだ。
一発食えばシャクールは脆そうなイメージだが・・・食わない。
強いていえば、シャクールに吉野が倒されるようなことはない、そういう怖さではない、かな。
追記
吉野は強い。伊藤を引退に追い込み、中谷にはテオフィモよりもロマチェンコよりも明白に勝利した。
しかし吉野相手に両者ともムキになり、自分の方が格上だ、打ち合いで倒してやろうという戦い方をしていたようにおもう。吉野はあごを引き、致命打を避けながら、自分の距離、打ち合いで力を発揮するタイプだ。伊藤も中谷もそういう吉野の土俵で戦った。
シャクールは・・・
そんなことは決してしない。