なんて日だ!アップセットの連鎖

とてもボクシングに集中出来ない日々なので生観戦は出来ず、しかしこんな日もあるもんだ。

ジョシュ・テイラーVSジャック・カテラル

これはアップセットではなく、4冠王者のテイラーが2-1で辛勝したが、8回にダウンを喫し、議論を呼ぶ判定だったよう。カテラルが全勝の難敵だっただけだろうが、テイラーは再戦を拒否。無敗の4冠統一王者というほどの実力はテイラーにはまだ備わっていないのではないか。

ジェルウィン・アンカハスVSフェルナンド・マルティネス

アルゼンチンからの無名で無敗の刺客、小さなマルティネスの無尽蔵でエネルギッシュな攻撃に長期防衛王者のアンカハスが落城。井岡との統一戦や階級アップばかりが話題になって、この相手を通過点と見ていたふしがある。

井岡だって、田中戦以降は結構際どい試合ばかりだ。

最近のアンカハスは打ち合いからのパワー優位でねじ伏せてやろうという雑さがあった。この試合も強打で逆転の機会を狙っていただろうが、マルティネスは最後までスタミナ、タフネスが落ちなかった。同胞のアンカハスとはやらないと言っていたコンテンダーのジェイド・ボルネオの出番かもしれない。マルティネス、マイダナの教え子のようで、その闘志とタフネスは凄まじかった。

井岡はマルティネスと戦うのか、スケジュールの空いたエストラーダとまとまるのか、新王者のジェシー・ロドリゲスか、いずれにせよ、難敵であることに変りない。

ゲイリー・アントワン・ラッセルVSビクトル・ポストル

こちらアップセットではなく、今の勢いからすれば順当な結果だろう。新旧交代の図。ラッセルは五輪で勝っていた相手が金メダルとなり、アマではスター候補のジャロン・エニスが唯一勝てなかった逸材だ。兄がベルトを失い、いよいよ、弟の時代か、しかしポストルとしてはコンディションはどうだったのだろう、時期が時期だけに試合をしただけで立派。

ギレルモ・リゴンドーVSヴィンセント・アストロラビオ

41歳リゴンドー、フィリピン勢に連敗。ダウン差だけのようなギリギリの判定だが、定番の低いダッキングを狙われたようなダウンを奪われてしまった。

そんなに能力は落ちていないとおもいたいが、省エネ、リスクをとらないファイトスタイルはもうプロでは需要がないかもしれない。益々、井上尚弥がバンタム級にとどまる理由が見当たらない。ベテランのドネアだけが宿敵というのでは寂しすぎる。アストロラビオというのはフィリピン人らしくパワーと意外性があるのだろうが、かつては日本のストロング小林に負けた過去もある。

リゴンドーを観たいという需要は今後かなり厳しい。

クリス・コルバートVSヘクター・ルイス・ガルシア

シャクール・スティーブンソンほどではないが、ディフェンスと反応速度で心憎いほどの負けにくさを発揮していたコルバートが完敗。相手のガルシアは代役だが、無敗の元五輪代表、イスマエル・サラスに師事して万全の準備をしてきたと言っていた。

ジェスリル・コラレスやニャンバヤルでも当たらなかったパンチをコルバートが食ったのは、彼らが小柄だったのに比べ、ガルシアが自分より大きかったこと、自分のスタイルを過信した受け身ファイトに固執しすぎたことなどもあるだろう。

ある意味、この日一番のカタルシス、溜飲の下がる想いとなった。

こんな感じで日本の尾川堅一はSフェザーのライバルを蹴落とすことが出来るだろうか、うーん、厳しいだろうな、技術戦でもカウンターでもなく、フィジカルパワーでぶっ潰すしかないとおもわれ・・・とはいえ、参考になる試合だろう。

その他にも、古豪のクラウディオ・マレロが無敗プロスペクトを跳ね返したり、ドミニカン万歳な一日となった。

昨日以外も

ホルヘ・リナレスがザウル・アブドゥラエフに負けちゃったのはアップセットではないとおもうが、アブドゥラエフはデビン・ヘイニーに手も足も出ずに負けた過去をみると、リナレスもう限界かなとか、日本の黒田雅之が新鋭に負けたりと、新旧交代、時の流れは確実に進んでいます。

これからしばらくの間、ロシアやウクライナはボクシング界から消えそうだ。ヘビー級3階級王者がウクライナ人なボクシング界は益々先行き不透明だ。

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