年末の世界戦ラッシュ、正直相手が蓋を開けてみないとわからないのに対し、はっきりと展望できるのはこの試合。
井上VSナルバエス
井上曰く、「今回は勝ちに徹する、つまらない試合になるかもしれない」
とのことだが、それを選択できるのはナルバエスの方ではないか?
フライ、Sフライで計27度の防衛、対戦相手は遠すぎてよくわからないレベルが多いが
自身2度のオリンピック出場、シドニー金メダルのブライム・アスロウムを破っているし、キャリアは本物中の本物だ。
唯一の敗戦、ノニト・ドネア戦ではブロック職人に終始、倒されないだけで攻撃は全くできなかった。
この試合により、シャープな俊才にはディフェンシブになる、体格差を克服できるような術はない。
オールラウンダーだがパワーがない。
と見なされる。
しかし唯一日本人と戦った、久高戦ではドネア戦とは別人で手数お化けと化し攻撃のテンポ、リズムで圧倒してみせた。
相手の力量を見切りスタイルをガラッと変えることができる。
ドネアに敵わないとなると無理をせず一切リスクをとらない。
久高曰く、「強かったとしか言いようがない。軽いパンチをコツコツ当てられて後手後手になった。完敗」とかなんとか。
このコメントがナルバエスの特徴をよく表しているとおもう。
試合も久高の完敗ながら結構楽しめるもので、後半は強打ではないナルバエスに対し久高もラッシュを敢行するものの、波が去るとナルバエスが3倍返しくらいのラッシュをみせ久高防戦一方となってしまう、という展開。
空いてるところにコツコツしつこく畳みかけてくる。
しかしこの試合、序盤のお見合いで久高がおとなしいのでもう戦力を見切られてしまった感じだった。
[youtube]http://youtu.be/2gr7C6N7qjM[/youtube]
その後久高は大橋ジムの松本にも負け、世界戦線から後退したがこの試合はナルバエスほどの完敗ではない。
相変わらずおとなしいままポイントをとられ、終盤盛り返したが時すでに遅しといった内容だった。
ナルバエスこそ、相手に合わせ戦術を巧みに変えることができ、大柄な強打者相手と接戦を演じても負けることはない。
再戦をしても勝ちを譲らない。熟練の匠だ。
どこに穴がある、何が武器といった特徴的なボクサーではなく万能感がある。
強打を打つというより、手打気味にどこからでもパンチが出る。
その手数と的確性で試合を支配するタイプだ。
このような相手に対し井上は果たしてドネアのようになれるだろうか?
センスは抜群だが当時のドネアの方が大きく、パンチはシャープで危険度は高かった。
ナルバエスはドネア戦ほど貝にはならないだろう。
一発の怖さのないナルバエスだが、負けずにここまでのキャリアを築いてきた熟練さは相当だ。
井上は戴冠したエルナンデス戦のように序盤から飛ばしていきたい。
序盤で修正不可能なほどペースを握り、出来れば深刻なダメージを与えたい。
トリニダードがモーリス・ブロッカーを破った時のように。
井上の方がスピードとパワーがあり、見栄えで劣らない、ポイントメイクできるのではないかとおもうが
懸念されるのはナルバエスの固い守りでノーダメージのまま中盤、終盤に行く展開だ。
互角、ノーダメージで後半にいけばナルバエスの方が引き出しは多いように想う。
やはり、井上がどんなに怪物級の逸材であっても、ナルバエス相手には若さと勢いで序盤で圧倒するしかない
とおもう。
で、予想は序盤に井上が圧倒しナルバエスが苦しみながら持ちこたえるも
逆転不可能と諦め、10ラウンド棄権。
まぁ、ナルバエスの匠な技が若き俊才の夢を砕いたって別に悲しくはないけど。
もうすぐ40歳だし、年上の僕より老けているし。
40歳で井上の速さはきついです。
引導を渡すべきタイミングだよ。
大きな強打者にも勝ってるし。
ただ井上の方が確実に速いな。