世界が認めた価値ある敗者/井岡一翔とニエテスの未来

極上、至高の技術戦となった井岡VSニエテス。海外でも評価は変わらない。スーパーフライに新たに2人の極上のテクニシャンが加わっただけである。楽しみは増えた。そんな両者の未来。

今日、皆がよく知っているようにボクシングは3人のジャッジで採点される。2人では足りない。

しばし、ボクシングファンは2人のジャッジが与えたAゲームに違和感を抱く。ドニー・ニエテスVS井岡一翔は素晴らしい試合だった。2人のベテランによって争われた空位のWBOスーパーフライ級タイトルマッチは緊張を極める極上の闘いとなった。

ニエテスは、この試合で、レオ・ガメスやロマン・ゴンザレスに続く、ミニマム級からスーパーフライ級の4階級を制した王者に加わった。井岡はミニマムとフライ級に続いて、3つ目の王座の統一を模索していた。

12ラウンドを終えて、2人のジャッジは116-112という同一スコアながらも結果を正反対に分けた。採点が一致するラウンドがほとんどない内容。卓越したディフェンスを披露した両者の評価が正反対に反映される事はボクシングではよくある事だ。

もう一人のジャッジは118-110でニエテスを支持したが、このような大きな差のある試合ではなかった。井岡はもっとポイントを稼いでいた。世界中のSNSでもこんなに差のある採点をしたものはいない。このジャッジは2人のクロスファイトに水を差した。2人のファイターがベストパフォーマンスをしたのに、ジャッジがそれに応えたとは言い難い。

ニエテスの未来

ニエテスは前戦のパリクテ戦で勢いを失う可能性があった。しかし井岡とのエネルギッシュな試合でその懸念を吹き飛ばした。パリクテとの試合はニエテスの勝利に値するものだった。本来であればすでに4階級王者であったはずだ。井岡に対する勝利はニエテスにとってキャリア最高峰のものとなった。彼は残りのキャリアで今まで失ってきたビッグネームとの対戦を追求していく立場にいる。シーサケット、ロマン・ゴンザレス、ファン・フランシスコ・エストラーダ・・・
2019年は遂にニエテスが彼らと対決しビッグマネーを掴む年になるのかもしれない。5月で37歳になるニエテスには残された時間が少ない。パリクテとの再戦は時間の無駄だ。誰がこの両者の再戦を観たいのか。ニエテスは井岡に対する勝利で証明した。依然としてエリートレベルでは底辺にいるニエテスはビッグネーム、ビッグマッチのチャンスを掴むことができるだろうか。

井岡の未来

井岡には自分が勝ったと信じる理由がある。この敗北はアムナット戦の敗北とは訳が違う。井岡は序盤、ニエテスのカウンター戦法に怯んだようにもみえたが、中盤から反撃した。ニエテスとの再戦が可能なら大歓迎だろう。しかし残された時間の短いベテランのニエテスは一人づつしか相手にできない。
井岡は短い引退を経てアローヨに勝ってすぐにニエテスに負けたが、大きな後退ではない。ロマゴンやエストラーダ、王者のヤファイやアンカハスとの対戦も同じくらい興味深い対戦となるだろう。(アンカハスがシーサケットとの統一戦を優先しなければ)スーパーフライ級で依然として高い存在価値を持っており、ニエテスに対してももっと胸を張っていい。

https://www.youtube.com/watch?v=-P5l0hWvH2M

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海外記事でも世界中のSNSでもこのような認識なのである。
SNSの時代、ボクシングファンの声をもっと反映させるいい方法が必ずあるはずだ。少なくとも、奇妙な3人のジャッジに委ねるよりはずっとましで公平な結論が導き出される。

それでも、井岡がニエテスに勝ったとは言わない。
引き分け上等な極上の接戦であったとしか、そして現状の引き出しはわずかにニエテスが勝っていたような気も・・・

戦前、ニエテス陣営が言っていたようにこの試合は準備が鍵だった。ALAジムを中心にニエテス陣営には井岡対策に十分なパートナーがいたとおもう。経験も。奇抜なスタイルではない。方や井岡陣営にニエテスに似たパートナーはいただろうか、分析は十分であってもあんな老練なパートナーいないだろう。個人的にはニエテスの事よりもALAジムのKJカタラハというのが気になっていた。井岡に似た正統派の若きテクニシャン、どれだけ練習を積んだかは知らないが、対策時のパートナーに名前が出ていた。

スーパーフライ級にはSuperFlyでお披露目済みな魅力的なファイターがまだ揃っています。軽量級では世界の期待値、認知が高い階級です。それぞれが、すぐに再戦ではなく別の道でさらなる高みを目指していくで全然かまわない。記録よりも大事なことはベストと戦っていく気概である。

井岡にはスーパーフライで戦っていく上での特徴と課題が明確になったとおもう。シーサケットではなくヤファイやロマゴンなどの声が強い気がするのは気のせいか、相性か・・・かつてのライバル、八重樫がシーサケットに挑むという噂話も耳にした。日本での話題では井岡もなくはない。たしかに実績やその他ネームバリューでいえばありえない話ではないが・・・

しかし、井岡、せっかく作られた王者というイメージを捨てて、ここまでの高みに来たからには、リスクの高い挑戦に挑み続けることを期待しているし、茨の道を歩んでいくのだろう。

2018年、復帰して1勝1敗、けれども、ボクシングファンは見直した。
みんな井岡を認めた。大物ニエテスと接戦を演じ傷ひとつないキレイな顔のまま試合を終えた。しかしニエテスを傷つけるにも足りなかった。
彼は日本が誇る屈指のテクニシャンである。

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コメント一覧
  1. 井岡はフィジカル的にまだかなり余白があるように見えるので、スーパーフライではかなり緩めな体をもっと作れる余地はあるんじゃないかと思いました。

    田中みたいなフィジカルバランスが理想なのかなと見てて思いました。

    テクニックは階級屈指だと思うので、アンカハスかエストラーダとの試合が見たいですねぇ。

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  2. すみません。たぶん掲示板のプラグインの影響でサイトのキャッシュやコメントの挙動が少しおかしいです。スパム以外はブラックリストという事はありません。

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  3. 私もコメントが反映されなくてブラックリストに入れられたと焦っちゃいましたがw

    もしニエテスと井岡が逆の立ち場なら、「あの試合は僅差だったが俺が勝っていた」とニエテスは言うと思うんですよねえ。日本人は生真面目と言うか、もっとアピールした方がいいと思うんですけど。ポイントの取り方も下手ですよね。1発打たれたら3発返すとか、ラウンド終了間際に軽くてもいいからパンチをまとめて打つとか海外の選手はよくやりますが、試合が僅差だとそれでポイントで有利になったりしますからねえ

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  4. 管理人さん、井岡ファンとして管理人さんに認められたのは何というかまぁ嬉しいですね、素直に(笑)。でも課題が明確になりました。ボクシングで一番手っ取り早く相手のリズムを狂わせるのはガードの上からでもいいからパンチ力で相手を警戒させる事、怯ませる事。それが出来るだけで大きく展開が変わる。相手はいつもできる事(踏み込み)が無意識で浅くなる。
    井岡は序盤でニエテスにインでポイントを(明確に)奪う予定でした。でもボディはガードの上からでは怯ます事が出来ずにアッパーを返された。これこそニエテスが練習していた事と思いました。相手の最も得意なインでボディをガードしてすぐに返す。
    でも井岡がそこでポイントを失っていったとは思っていませんしむしろ多彩にラウンドを重ねていくうちに試合をコントロール出来ていたと思います。ただ、負けを受け入れるとすれば誰もが思う事1点だけパンチ力なのか。。。日本人として普通の体格で世界で勝負するには?と考えて私は井岡のスタイルを支持していますが、それでは国内世界王者でしかないのか、、、。アローヨ戦で計量時の首回りや上半身に厚みがでたなと感じたが試合後の今までにない顔のハレ。今回の計量での腰回りの脂肪と200gアンダーといつものきれいな顔。まだ伸びしろはあるはずですが、井岡本人がどう感じたのか?
    本当の意味での適正より上げての複数階級制覇。複数階級になれてしまってますが、これってやはり難しい事ですね。すいません、長文で。何故かコメントが反映されず同じような事をかいてしまいました。。。

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