ルイス・ネリーVSエマニュエル・ロドリゲスが実現しなかった無念さも込めて、早めにやっておきます。今回はどなたかの指摘も加えて、勝敗、引き分けの他にもう一つ用意しました。
井上の今後を占う海外記事に、テテは弱い、直近のロシア人との試合のパフォーマンスも最低だったと書いてあったが個人的な見解は異なる。
アロイヤンはプロ4戦だが、アマでは誰よりも実績上位のメダリストで、ノルディン・ウバーリよりも結果を出してきた。そんなアロイヤンとテテの決定的な違いはフィジカル、パワー差だったようにおもう。
初回に派手なKOを狙って飛ばしたテテだがアロイヤンの技巧に封印された。勢いだけでアロイヤンのバランスを崩し、それをダウンとするミスジャッジが生まれた。ダウンではない。
その後もアロイヤンはテテの左強打を封印し続けたが体格とフィジカルが壁となり、踏み込みが届かずパンチを当てることが出来なかった。それがアロイヤンのアマチュア的限界だったとも、テテの体格フィジカルが半端なく強いともいえるものだった。階級が違うようなパワー差があった。
カシメロはバンタム級では一番小さいだろう。しかしワイルドでパワフルさが強みの選手で昔とは風貌も体つきも変わった。パッキャオに次ぐメキシカンキラーぶりを発揮して最近は連勝だけでなくきっちりノックアウトして勝っている。
このメキシカンは強かったとおもう。
アロイヤンのような高度なテクニックも、ムザラネのような愚直なブルファイトもできないが、大振り強打で局面打開していく逞しさや、ダーティーすれすれの凶悪なボディブローなど、堅実なテクニシャンを破壊する強引さ、野蛮さがある。
両者は対極であり、鬼門かつ最も狩り甲斐のある究極のスタイルマッチといえる。KO必至のエキサイティングな試合にも、かみ合わないグダグダな試合にもなりえる。
この両者、奇しくもおよそ10年前、5ラウンドTKOで同じ相手に敗れている。
https://www.youtube.com/watch?v=1EMhjWLJ0I4
身長175センチ、リーチ183センチもあるテテも今から約10年前の2010年はフライ級で、スタイルもフィジカルも発展途上だった。長身強打のアウトボクサーが屈強な小型ファイターのプレスに潰されるという典型的な負け方。両者ともに同じスタイルで今でも世界の頂点に君臨しているが、テテは自分の体格や強みを磨いて誰も近づけさせないもっと危険なスナイパーに変わった。しかし攻略法としてはこの時と同じだろう。テテにプレスをかけて距離を潰す。
これも2011年だから時期が近い。カシメロが若く細い。今とかなり違う。カシメロのおもいきりの良さも出ているが、やはりムザラネの屈強な執拗さに屈したのだろうか、どこか怪我をして突然試合を放棄したような結末だ。
マニアならご存じのように、テテは3敗、カシメロは4敗しているが、完敗といえるような内容はほとんどない。テテがムザラネにTKO負けしたのが唯一の完敗だ。今となっては階級も変わり、時間もキャリアも重ねて成長した両者がどんなファイトをみせるのか興味深い。戦いの舞台は英国、バーミンガム、観戦できるかどうかは不明だ。
https://www.youtube.com/watch?v=4MF2SYXWYK4
個人的には、アンダードッグ、最近試合をこなしているカシメロに一票いれてみる。