昨日は複数ネットワークによる興行が多くメインも遅くマラソンセッションのようでしたが、ネリーVSロドリゲスが消滅した幻滅に加えてその他試合にもその理由があったような気がします。リングは全部TECATE(テカテ) 、メキシコ経済がこのスポーツを支えています。ということで簡単に振り返り・・・
デオンティ・ワイルダーVSルイス・オルティス
[st-card id=96653 ]これがヘビー級、これがワイルダーのファイトだといえる結末でしたが、観ている方としては複雑だ。極度に一発狙いのワイルダーは全く手を出さず、リングジェネラルシップだけで全部ポイントはオルティスという流れでした。
ワイルダーとジョシュアというのがずっとヘビー級の2台巨頭でした。今も人気的にはそうでしょう。破格の体格(身長)と強打を持つが故、当てれば終わりというファイトをしますが、こういう選手に勝てるのは、プレスをかけて接近戦でラッシュが持続的にできるタイプだろう。嵐に巻き込まれると脆い。アンディ・ルイスがそれをやったが、ダウン後のピンチで玉砕戦法がはまった感もある。ジョシュアは攻めてる時にスタミナを使い果たす。
なので、今でもこの2人が最強とおもっていない。オルティスは一撃食うまで完璧だったが、徐々にタイミングを学習するワイルダーなので序盤でもっと痛めつけたかった。痛めつけるのが無理でももっと疲れさせたかった。無傷、スタミナも温存ではいつか殺られる。若い世代にワイルダーを凌駕する者がいるはずだ。
レオ・サンタ・クルスVSミゲル・フローレス
まるで何かの再現Vを観ているかのような既視感のある内容。サンタ・クルスのファイトはいつもこうだ。ギリギリ競り勝てるスタイルこそ一流なのかもしれないが、相手レベルが一流と言えないのにクロスファイトなのはいかがなものか。様々な事情で牙城は高いのかもしれないが、最弱のスーパーフェザー級王者だとおもう。アルバラードVSカンシオの方が熱きナイスファイトだった。「ラッセルかジェルボンタとやりたい。」もはや、フェザー級とライト級の選手だが、サンタ様に発言の責任も階級も関係ない。実現不可能なポジションについたから言ってるだけのような気がする。ベルチェルトとかリアルな事は言わない。
ブランドン・フィゲロアVSフリオ・セハ
内容だけみれば若きプロスペクトのフィゲロアにとっての試練といえる激闘の引き分けだったが、セハの4.5ポンドの体重超過を受け入れての試合だっただけに苦い内容となった。セハが明らかに屈強でタフだった。フィゲロア自身、若く無尽蔵で強気なファイトをするので大事には至らなかったが、セハにボコボコに倒されて深刻なダメージを受けたら取り返しがつかないぞという危ない試合でした。かなりダメージが残っただろう。会場ではリマッチのムードでしたが、こんなルール違反の増強男はもう引き受けない方がいい。せかっくの才能が壊される。
ネリーVSロドリゲスも実現したらこういう試合になっていたかもしれない。
アンドリュー・カンシオVSレネ・アルバラード
[st-card id=96650 ]一番地味なこの試合が一番内容があったのではないか。雑草、ゲートキーパー同士の戦いは、カンシオがマチャドにやったような勇敢なファイトを挑戦者のアルバラードがやってみせた。初回からガンガン攻めて試合のペースを掴んでしまう、相手を痛めつけてしまうというのは失敗する可能性も高いがアルバラードは上手く実行してみせた。
チームや双子の兄弟と考えて練った作戦だったようだ。それを実行できるくらい苦節のキャリアで築いたアルバラードには実力もパワーもあった。最後の敗北から7連勝は伊達ではなかった。ミゲル・フローレスにない決意と決め手を持っていた。アルバラードに勝ったユリオルキス・ガンボアにとっても朗報だ。ロマゴンという英雄が後退してもニカラグアに複数の世界王者が誕生するというのは素晴らしい実績だ。彼らにはアウェーしかない。
徐VSマニー・ロブレスⅢ
徐は昔の柳明佑のようだ。柳のような長い活躍は出来ないだろうが、アメリカで結果を出し英語も喋る。ジョシュ・ウォーリントンとの統一戦を口にしていたが、互いにそれしか噛み合う相手がいないといえそうだ。ラッセルやシャクールとやったら大差判定負けをしそうだが、こういう選手がそれを打ち破っていく過去もよくあった。決定力不足、もろに被弾するスキルの凡庸さは隠せないが、あらゆるボクサーの手本といえる典型的な努力型だ。
”井上尚弥の一番の難敵は「英語」かもしれない。それもクリアしてしまうならカッコよすぎるが、クリアするんだろうな。” Share on Xカラム・スミスVSジョン・ライダー
[st-card id=96647 ]メディア規制で大事にはならないだろうが、ネット上、本音ではライダーの勝ちという意見が圧倒的だ。スター、メガファイトを控えるスミスにここで土がつくことは許されない。しかし試合前から予兆はあった。ライダーは前述のアルバラード同様、敗戦を肥やしに最近勝ち続け内容もよかった。カラム・スミスは昔から高く評価していたがそれは英国、ヨーロッパでの話だ。WBSSもほぼ英国人のためのトーナメントだった。これに本場も加わるとなると、階級ナンバーワン評価は早計だ。しかしこの日の敗北に近い勝利で対戦希望者は増えるだろうというのは皮肉な話。ライダーは不運だが、リバプールで世界王者になるという事はスミスをノックアウトしなければならないという意味だった。
気を取り直して週末のテテVSカシメロに切り替えよう。
フランプトン、バルデスの新たな船出もありますよ。
直接対決すればいいのにねとは言えない・・・