
アンケートをやるまでもなく、井上票が高いのは予想通りだが、果たしてどんな試合になるのだろう?
長かったWBSSを経て、試合が少なすぎるのが残念だが、このWBSSの余興ともいえそうな試合に関しては自分の中の結論は出ている。
とりあえず、モロニーの直近の試合をみて判断するしかない。
相手のレオナルド・バエズというメキシカンは25歳と若く、18勝2敗となかなかの戦績で、フェザー級でもおかしくない骨格の大きな選手なので、モロニーが小さくみえるが彼もバンタムでは小さくない。井上より大きい。元々Sバンタムの選手ではなかったか。
なので、モロニーが苦戦しているというよりはバエズがかなり強いといえそうだが、結構競った試合だ。バエズにフィジカルの優位と耐久力があるのだろうが、井上だと序盤に倒されそうな決め手のない隙の多い大柄な選手ともいえる。
インでもアウトでもモロニーの方がコンパクトで正確性があるが、バエズの方が荒々しくパンチは狂暴だ。モロニーのパンチを浴びても一発では怯む様子はない。
モロニーはインもアウトも上手く、よく動き回り、精度もバエズよりは良く、ポイントは落とさない。粘りの打ち合い、ボディと相手の出血でTKO勝ちとなった。
21勝18KOとKO率の高いモロニーだが、決して一打必倒のハードパンチャーではなく、コツコツ相手を削りストップに追い込むタイプといえそうだ。出入りを駆使するのでバッティングも起きやすい。かなりのパンチを当て、モロには食わずともかなり被弾する。技巧を支える精神力で成り立っているファイターだろう。
モロニーがどうこうというよりも、この手のタイプは相性的に井上尚弥には困難ではない、井上の圧勝しか予想できないのだ。
手数と執念タイプのモロニーだが、レオナルド・バエズと井上ではスピードもパワーもリズムも違う。根性比べの打ち合いは成り立たない。全てのパンチが食えば終了するほどのスピードとパワーが井上にはある。テンポももっとずっと速い。
となると、モロニーとしては動き回ってアウトで対処して密着すればクリンチ、あるいは真逆に接近戦のボディ打ちが活路になっていく。モロニーのボディは上手いがやはりスピードとパワーが井上とは違う。
持ち味の粘りが全く通用しないタイプとおもわれる。
やはり井上尚弥にとって脅威なのは、バンタム級で異様なビルドアップをしマッチョになったカシメロのような、得体のしれない強みを持つ規格外のファイターであり、モロニーのような教科書的なタイプではない。
超速とキャリアのゲイリー・ラッセルjr
鬼フィジカルのエマニュエル・ナバレッテ
彼らだと2階級も上だからせめてアマの大物、ムロジョン・アフマダリエフ
このような顔ぶれでないと井上尚弥にとって未知数とはいえない。
ジェイソン・モロニーは平均点は非常に高いが、全てに突き抜けたものを感じない。
決着は早ければ序盤、2回あたり
伸びても、井上尚弥VSアントニオ・ニエベスみたいな試合になるのではないだろうか。
モロニーよりも怪我、アクシデントが怖い。
あとは、千載一遇のチャンスを迎えたジェイソン・モロニーの決意、精神力に裏打ちされたタフネス、気持ちが充実しているだろうから、それがどこまで発揮できるかだ。レフリーにストップされるまで、この男は諦めないだろう。
井上は見切りがよく余裕があると、遊ぶ部分がある。
ドネアとの初回は余裕があり、尊敬する相手とチェスのような試合を楽しもうという意図がみえ、2回に眼底骨折の被弾をした。
ロドリゲスとの初回は余裕がなく、強く攻めてくるから応戦し2回で片づけた。
試合を楽しもうとか、モロニーの持てる技を受け止めようとせず、初回からエンジン全開で潰すべきだ。
あれだけのスピード、パワー、研ぎ澄まされた肉体と、練習に裏打ちされた究極のコンディション、感覚を持ってリングに上がるのだ、井上尚弥は初回、序盤が一番強い。長引くこと自体があまりよろしくない。
世界は井上尚弥にブルース・リーを観たがっている。
わかりやすい強さを求めている。
驚嘆するような内容でこの試合に勝つことで、キャリア的には少し早い気がするが、マニアにしかわからないロマチェンコが後退した今、P4Pナンバーワンになるだろう。
ということで
井上尚弥の鮮烈なノックアウト勝利
しか予想できない。