今月は世界バンタム級にとっては特別な月だ。世界ボクシング、特にバンタム級は日本の井上尚弥を主役に動いています。そんな井上と対戦したいトップランカーの凌ぎあい、サバイバルが続きます。井上に勝つことが世界へのビッグアピール、スターへの道だ。
WBOバンタム級王者、ゾラニ・テテは、井上尚弥VSノニト・ドネアの決勝をみて、他の大勢と同じく驚いた。4月の準決勝でドネアと対戦する予定だったテテは、直前の負傷で試合を辞退するまで、ドネアが井上に対しあそこまで善戦するとは考えていなかった。
テテ
「ドネアは勇敢な試合で私を驚かせましたが、彼がタフで強いことは常に知っていました。」しかしテテはもし試合が実現していたら自分は井上とは違った戦い方でドネアに対処していただろうと述べた。
テテ
「明らかに井上とは違う方法でドネアに対処したでしょう。あんな接近戦はしないから、井上VSドネアのようなファイトオブザイヤー候補になるような熱戦にはならないでしょう。」テテは11月30日にイギリスのバーミンガムで暫定王者のジョンリエル・カシメロと対戦する。カシメロをクリアすれば、トップランクと契約した井上との対戦の可能性も高まる。トップランクとテテが所属するクイーンズベリープロモーションは良好な関係を築いている。テテは井上がドネアのパンチを多く浴びたことが意外だった。
テテ
「井上はドネアの左フックだけでなく右も受けていた。井上は素晴らしいですが、皆が言うような無敵のファイターではありません。ドネアは多くのパンチ、特に右ストレートで井上を効かせ、あと少しでダウンを奪いそうだった。私に何ができるか想像してみてください。決してファイトオブザイヤーになるような打ち合いにはしませんが。」しかし、サウスポーのテテは、井上とドネアがバンタム級に世間の注目を集めてくれたことに感謝したいと述べた。
テテ
「バンタム級の関心を世間に広めてくれた井上、ドネアには心から感謝したい。私も自分の力を誇示して、世間の関心、バンタム級の輝きを持続させねばなりません。」
日本ではWBSSに参戦しながら辞退しておいて井上に挑発ばかりするテテに「お前が言うな」状態ですが、チャンスも人気も少ないテテとしては常に声明を出し、挑発し続けることでしか自分の存在価値をアピールできないのだからプロとして当然の行為だ。そういうインタビューをメディアが取り上げ、拾ってくれる機会が増えただけの話である。
しかし、次なる機会を逃したらもう自業自得である。人気のなさ、運のなさは自らが招いた結果となる。そして、11月30日に対戦するジョンリル・カシメロは、テテを遠距離スナイパーのような塩漬けにしておくつもりはない。攻撃の凄みはドネアや井上にも引けをとらないかもしれない。
テテは実は謙虚なナイスガイなので嫌いではないが、イケイケのファイトをするカシメロを応援、支持したい心境だ。カシメロやガバリョといった話題にならないフィリピンの荒武者の方が私は怖い。
彼らこそ、ドネアの意思を継ぐ次世代のフィリピンの期待の星だ。