前回の不完全ガイドでは激熱だったスーパーウェルター級。アメリカは徹底してサバイバルマッチをやるのでかなり絞られてきました。主役も大物も不在の混戦模様となっています。
WBAスーパー・IBF ジュリアン・ウィリアムス Julian Williams 29歳
アメリカ
27勝16KO1敗1分
パワー:★★★
テクニック:★★★★
スピード:★★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★★★
戦術(キャリア):★★★★
ベルトコレクションでは頂点に君臨しているが、少し前まではアメリカで王者に少し足りないくらいの位置にいた。ステージが上がり、自覚も芽生え、どういう王者に君臨していくのだろうか。スタイルとしては突き抜けたものはないが、攻守美しく整っている。
WBA エリスランディ・ララ Erislandy Lara 36歳
キューバ
26勝15KO3敗3分
パワー:★★★
テクニック:★★★★★
スピード:★★★★
ディフェンス:★★★★★
タフネス:★★★
戦術(キャリア):★★★★
亡命キューバンも高齢でララも例外ではない。しかし打たせず打つスキルは未だに階級トップ。時にディフェンシブで、説得力に欠きジャッジ泣かせな試合をするが完敗は決してしない。未だ無敗でもいいような試合ばかりで彼がメイウェザーなら無敗だろう。
WBC ジャーメル・チャーロ Jermell Charlo 29歳
アメリカ
33勝17KO1敗
パワー:★★★★
テクニック:★★★★
スピード:★★★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★★★★
戦術(キャリア):★★★★
なんとかトニー・ハリソンに雪辱したが、彼も実質無敗でいい。王者の中では一番殺傷能力、瞬発力、爆発力、狂気を宿している。しかし若干、雑味があり、細かなスキルを省略している。
WBO パトリック・ティシェイラ Patrick Teixeira 29歳
ブラジル
31勝22KO1敗
パワー:★★★
テクニック:★★★
スピード:★★★
ディフェンス:★★★
タフネス:★★★★
戦術(キャリア):★★★★
無敗プロスペクトのカルロス・アダメスをアップセットで破り、暫定→正規王者になった。ゴールデンボーイプロモーションだから優遇されたような感じだ。長身で粘るが攻防共に突き抜けたものはない。
私的ランキング
①ジャーメル・チャーロ 24
②エリスランディ・ララ 24
③ジュリアン・ウィリアムス 22
④パトリック・ティシェイラ 20
ジャレット・ハード Jarrett Hurd 29歳
アメリカ
23勝16KO1敗
王者に返り咲く力は持っているが、ミドル級でも大きな体格でかなり減量苦だろう。体力で圧殺、KOしないと勝てないような肉を切らせて骨を断つファイターになっている。
ブライアン・カスターニョ Brian Carlos Castano 30歳
アルゼンチン
16勝12KO1分
フランスの強豪に勝ち抜き、エリスランディ・ララとも引き分け、トップレベルであることを証明している。王座は自らの返上で失っただけ。誰にも勝てるレベルにあるが、小さくて限界も感じる。
セルジオ・ガルシア Sergio Garcia 27歳
スペイン
31勝13KO
https://www.youtube.com/watch?v=rA_Jxv_OuaE
欧州圏でサバイバル戦にも勝ち残り無敗を維持しているが、もう一段あがったレベルで勝ち切れるかが課題。
ミシェル・ソロ Michel Soro 32歳
コートジボワール→フランス
35勝24KO2敗1分
若干高齢だがカスターニョ戦は勝ちでもいい内容。その他の試合でも巧さと強さが融合している。アメリカのアベル・サンチェスの下、本場で勝負に来ている。今一番総合力が高い危険なファイターかもしれない。
エリクソン・ルビン Erickson Lubin 24歳
アメリカ
22勝16KO1敗
https://www.youtube.com/watch?v=F97uWd8U1RM
https://www.youtube.com/watch?v=pswf8gnsjcA
回避不可のようなパンチでジャーメル・チャーロに負けたが、大器であることは間違いない。運とタイミングで王者になれる逸材だろう。ベーシックに強い、王者の風格がある。しかしスピードスターではない。エロール・スペンス的なファイターだ。
ジャック・クルカイ Jack Culcay 34歳
エクアドル→ドイツ
27勝13KO4敗
プロでもアマでも元世界王者でアマの時から敗北や苦労の多いファイターだ。敗戦も多いが完敗はなく、デメトリアス・アンドラーデを苦しめ、セルゲイ・デレビヤンチェンコも倒しかけた。不屈のエクアドル人。
マゴメド・クルバノフ Magomed Kurbanov 24歳
ロシア
18勝11KO
https://www.youtube.com/watch?v=JAzTTVjqoLU
無敗で楽しみなロシア人が彼くらいしかいなくなってきた。トップレベルでKOや勢いが落ちてきたが期待するしかない。ミシェル・ソロとのタイトルマッチは不運にも流れた。前戦はディエゴ・チャベスにUD勝ち。まだ若い。
ティム・チュー Tim Tszyu 25歳
オーストラリア
15勝11KO
レジェンドの息子というくらいしか知らなかったがファイトをみたら親父に似ていた。手打ち、空手のようなフォームから硬そうなパンチを放つ。しかし親父のような過酷なバックボーンがなく生まれも育ちも裕福なオーストラリアだろうからやはり親父に比べるとソフトな印象も受ける。
チャールズ・コーンウェル Charles Conwell 22歳
アメリカ
11勝8KO
リオ五輪米国代表で、インドのベガス・クリシャンに惜敗というのはエロール・スペンスと被る。(スペンスは勝敗逆転したが)対戦相手のパトリック・デイの死を受けて心身の回復が必要だがまだまだ若い。普通のスタイルで突き抜けたものがないようにみえて米国代表だけあって質実剛健なところがある。
チョーデイル・ブッカー Chordale Booker 28歳
アメリカ
15勝7KO
https://www.youtube.com/watch?v=jBHcmHBAuqU
コーンウェルがライバルで五輪の夢を持っていかれたアメリカトップアマ出身。
セルヒー・ボハチク Serhii Bohachuk 24歳
ウクライナ
17勝17KO
アメリカで全KOのインパクトで快進撃を続けてネクストゴロフキンと言われているプロスペクト。線が細いしスピードも普通なのでとてもそんな風にはみえないが、アメリカで結果を出しているからには普通でない何かを持っているのだろう。今はまだ格下。トップレベルとやってどうかだ。
スレイマン・ディオプ・シソコ Souleymane Cissokho 28歳
セネガル→フランス
11勝7KO
リオ五輪では金のイエレウシノフに敗れて銅メダル。しかし伸びしろやプロ向きなのはこっちかもしれない。フランスなのでキャリアがおもうように進まないかもしれないが最高の逸材であることは間違いない。怪物候補かもしれない。
イスライル・マドリモフ Israil Madrimov 24歳
ウズベキスタン
4勝4KO
https://www.youtube.com/watch?v=3NI7EvQBfUI
ボクシングの政治か、大事な試合を落としたのか知らないがなんで彼が五輪に出なかったのだろう。数々のアマチュアタイトルを制し、プロ4戦にしてもう世界戦の声がきかれ、戴冠してもおかしくないほどの強さをみせる。小さくて雑なところがあるがファイターのようでいて左右関係なくスイッチするし、バック転もするアジリティ。風貌がゴロフキンに似ているが、器用貧乏であそこまでパワフルではない。
ジェームズ・メットカルフ James Metcalf 31歳
イギリス
20勝12KO
https://www.youtube.com/watch?v=HlZpuLK8vfY
まだサバイバルしているとはいえないが、全勝をキープしているイギリスのイケメン
スコット・フィッツジェラルド Scott Fitzgerald 28歳
イギリス
14勝9KO
こっちの方が戦績の中身は濃いか。元トップアマ。数々の強豪とアマで手をあわせている。
バクラム・ムルタザリエフ Bakhram Murtazaliev 27歳
ロシア
17勝13KO
アメリカを主戦場にしているという意味ではクルバノフよりプロモーターに力がありそうだ。いつもセルゲイ・コバレフのアンダーに出ていた小型コバレフ、小型ベテルビエフのような怖さを秘めたロシアンファイターだが対戦者レベルがあがると技術で差を出せず力づくでなんとかする際どさもみせている。俊敏な米国王者には届かない気がする。
イスラム・エディスルタノフ Islam Edisultanov 34歳
ロシア
9勝6KO
わからないが、ロシアの無敗選手なので。年齢が厳しい。
アーテム・オガネシャン Artem Oganesyan 20歳
ロシア
11勝9KO
こっちは逆に若すぎてわからない。若いので対戦相手も無名だが、プロアマ負けが見当たらない。カナダを拠点にしている。ロシアのカネロと書かれている。有望だな。
アバス・バラオウ Abass Baraou 25歳
ドイツ
8勝5KO
アマチュアの下地がしっかりしたドイツ発のプロスペクト。
ハロ・マテボシャン Haro Matevosyan 27歳
アルメニア→ドイツ
10勝6KO
よくわからないが、トップアマでないとこういうキャリアにはのれない。
トラベル・マジオン Travell Mazion 24歳
アメリカ
17勝13KO
アメリカの次世代スター候補といえるプロスペクトで昨日の試合も経験豊富な相手をボディで初回に粉砕した。相手はあばらが折れたような痛がり方だった。しかし米国黒人ホープは圧倒的な時とそうでない時の差が激しくレベルを上げてみないとわからない。
サドリディン・アクメドフ Sadriddin Akhmedov 21歳
カザフスタン
11勝10KO
まだ21歳のプロスペクトでカナダを拠点にしている。
この若さとKO率、アマでは世界王者のシャフラム・ギヤソフに勝った過去もあり、期待値は高い。
バラズス・バスカイ Balazs Bacskai 31歳
ハンガリー
12勝6KO
リオ五輪代表。トップアマで豊富なキャリアがあるが、スレイマン・ディオプ・シソコがどうしても天敵だった。
モハメド・ラビ Mohammed Rabii 26歳
モロッコ
10勝5KO
リオ銅メダル。ギヤソフに敗れたが金メダルのイエレウシノフやジョシュ・ケリーに勝っている。フランス拠点だったが今はドイツだったり定まっていない。アメリカでプロモート契約して欲しい逸材。
エマニー・カロンボ Emmany Kalombo 年齢不詳
コンゴ
14勝14KO
ややネタだがコンゴで戦い続けているわけではなく南アフリカに出ている。
年齢不詳だが写真を見る限り若くはない。
マディヤル・アシュケイエフ Madiyar Ashkeyev 31歳
カザフスタン
14勝7KO
アマチュア経験豊富なカザフスタン人でアメリカを主戦場にしている。
31歳。色々と間に合うかどうか。
ウェルター級ほど、アメリカ一色、PBCに染まっているわけではないから
マゴメド・クルバノフ
イスライル・マドリモフ
スレイマン・ディオプ・シソコ
アーテム・オガネシャン
モハメド・ラビ
らに期待してしまうが、有望なのは、大手と契約したりアメリカ人であったりで
イスライル・マドリモフ
エリクソン・ルビン
ミシェル・ソロ
トラベル・マジオン
あたりだろう。
王者が最強とはおもえない階級だ。