10年後の邂逅/ゾラニ・テテVSジョンリエル・カシメロ

ルイス・ネリーVSエマニュエル・ロドリゲスが実現しなかった無念さも込めて、早めにやっておきます。今回はどなたかの指摘も加えて、勝敗、引き分けの他にもう一つ用意しました。

井上の今後を占う海外記事に、テテは弱い、直近のロシア人との試合のパフォーマンスも最低だったと書いてあったが個人的な見解は異なる。

アロイヤンはプロ4戦だが、アマでは誰よりも実績上位のメダリストで、ノルディン・ウバーリよりも結果を出してきた。そんなアロイヤンとテテの決定的な違いはフィジカル、パワー差だったようにおもう。
初回に派手なKOを狙って飛ばしたテテだがアロイヤンの技巧に封印された。勢いだけでアロイヤンのバランスを崩し、それをダウンとするミスジャッジが生まれた。ダウンではない。

その後もアロイヤンはテテの左強打を封印し続けたが体格とフィジカルが壁となり、踏み込みが届かずパンチを当てることが出来なかった。それがアロイヤンのアマチュア的限界だったとも、テテの体格フィジカルが半端なく強いともいえるものだった。階級が違うようなパワー差があった。

カシメロはバンタム級では一番小さいだろう。しかしワイルドでパワフルさが強みの選手で昔とは風貌も体つきも変わった。パッキャオに次ぐメキシカンキラーぶりを発揮して最近は連勝だけでなくきっちりノックアウトして勝っている。

このメキシカンは強かったとおもう。

アロイヤンのような高度なテクニックも、ムザラネのような愚直なブルファイトもできないが、大振り強打で局面打開していく逞しさや、ダーティーすれすれの凶悪なボディブローなど、堅実なテクニシャンを破壊する強引さ、野蛮さがある。

両者は対極であり、鬼門かつ最も狩り甲斐のある究極のスタイルマッチといえる。KO必至のエキサイティングな試合にも、かみ合わないグダグダな試合にもなりえる。

この両者、奇しくもおよそ10年前、5ラウンドTKOで同じ相手に敗れている。

https://www.youtube.com/watch?v=1EMhjWLJ0I4

身長175センチ、リーチ183センチもあるテテも今から約10年前の2010年はフライ級で、スタイルもフィジカルも発展途上だった。長身強打のアウトボクサーが屈強な小型ファイターのプレスに潰されるという典型的な負け方。両者ともに同じスタイルで今でも世界の頂点に君臨しているが、テテは自分の体格や強みを磨いて誰も近づけさせないもっと危険なスナイパーに変わった。しかし攻略法としてはこの時と同じだろう。テテにプレスをかけて距離を潰す。

これも2011年だから時期が近い。カシメロが若く細い。今とかなり違う。カシメロのおもいきりの良さも出ているが、やはりムザラネの屈強な執拗さに屈したのだろうか、どこか怪我をして突然試合を放棄したような結末だ。

マニアならご存じのように、テテは3敗、カシメロは4敗しているが、完敗といえるような内容はほとんどない。テテがムザラネにTKO負けしたのが唯一の完敗だ。今となっては階級も変わり、時間もキャリアも重ねて成長した両者がどんなファイトをみせるのか興味深い。戦いの舞台は英国、バーミンガム、観戦できるかどうかは不明だ。

https://www.youtube.com/watch?v=4MF2SYXWYK4

個人的には、アンダードッグ、最近試合をこなしているカシメロに一票いれてみる。

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コメント一覧
  1. 判定狙いさせたら強そうなテテ
    だけど相手がどうでもいいやつに判定狙いじゃ試合がつまらない言われても仕方ない
    でも井上相手だったら井上にどうやって対処するのか興味津々
    ただ井上は距離をつぶすのが上手くて速いから
    簡単に距離つぶされてパンチ浴びるような気がしないでもない
    そもそも井上どうこうの前にドネアに勝てるって言ってるけど
    もしあのコンディションのドネアならテテは勝てないんじゃないかなと思うので見てみたい

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  2. 日本独自じゃなくてソースが同じだもん。その他の目的のインタビューなんてされないもん。
    テテは山中に似たソリッドな武器を持つけど、もっと臆病とも慎重とも言えるね。相手が守備的だとこじ開けるほどではない。

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  3. 井上こそ最強のバンタムだ。俺じゃない。
    WBSS辞退してごめんなさい。俺は臆病者です。
    戦ったら確実に負けます。

    とでも言えばいいのかい?

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  4. 山中より大きなサウスポーのソリッドパンチャーという点では、シャクールよりは全然似てる気がする。山中はジャブと左ストレートだけだったがテテには右フックもアッパーもある。WBSSの時は井上の対抗馬の本命だったが、試合してないのに随分評価が下がったもんだ。バンタムでは一番の脅威かもしれないとおもうよ。

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  5. 選択肢を増やしていただきありがとうございます。
    でも今回はテテさんで。
    身長の高いソリッドなストレートパンチャーが好きなんです。

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  6. >引き分けの他にもう一つ用意しました。

    体重超過とか棄権の前科が有る選手にのみ発生する裏コマンドですかね…

    しかし、今大会のドネアは負傷を押して勝てる相手ではなかったので、テテの棄権は英断だったと言う事ですね。

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  7. 毎回、アウェイで戦い続けて不遇な境遇だからこそ怪我をしたら撤退というのも仕方ないかもしれない、もし怪我を隠してドネアとやってベルトを取られていたら数年はトップ戦線に絡めないだろうし日本やメキシコの選手みたいに何度もタイトルマッチのチャンスがあるわけじゃないのを考えたら多少のビッグマウスは許してあげてもいいと思う。

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  8. テテの最大の武器は、バックステップ。シャクールスティーブンソンの下位互換かな。
    前にいたザキヤノフみたいに、強引に近づいて行くのが攻略の近道ですかね。

    カシメロに勝ってほしいです!!

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    • テテはハードヒッターですよ。シャクールとは全然違う。山中の上位互換では?右もアッパーも鋭いから。

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      • 匿名 11/25 8:19 様
        山中ですかぁ、、、う〜ん、スキルセットが全然違うイメージですねぇ。
        テテの右と左アッパーが鋭いのは同意しますが、相手のレベルが上がると、かなり守備的なんですよね。
        ビラヌエバ戦とか、アロイヤン戦とか、ナルバエス戦もだけど、どう感じました? 相手に何もさせないやりにくさとか凄いと思いましたが、、ハードヒッターって感じはしなかったんですが、、、どうでしょう?

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      • 山中の上位互換のイメージはないですかね
        体格も違いますし懐具合も違いますし山中はどっちかというとピンポイントだけどテテはどっちかというと距離とか別の所に主体を置いてる感じのイメージ

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        • 匿名 11/26 12:22 様
          やや意見似てますね。
          ゾラニテテのヒットアンドアウェイされると、なかなか攻略は難しい。それくらい前後に動ける。
          そこをシャクールに例えたのが駄目だったかなぁ。シャクールに似てるって、そういう能力が高いってことです。

          山中は、ポイントアウトは始めから狙ってなくて、先日のワイルダーが右当てるように、試合のどこかで左をぶち当てる、そういうスタイルだと思っています。
          山中には、テテのような右フックや左アッパーはなかった。相手触れさせないほどのヒットアンドアウェイもない。だけど、試合のどこかで左を炸裂させさえすれば何とかなるぞ!という戦い方だったと思います。 

          対戦相手は、テテに対しては、どうやってテテに触れるかが大事になる。
          山中に対しては、どうやってあの左をもらわずに、自分が先に強打を当てるかが大事になる。

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          • ゾラニテテ本人もインタビューで、井上ドネア戦の感想として、、、
            「私がドネアとやっていたら、井上のような接近戦はやらない。ファイトオブザイヤーの候補になるような試合にならない。井上が無敵でないことがわかった。井上と戦うことになっても、ファイトオブザイヤー候補になるような試合にはならない。」
            ということで、本人は打ち合いを好むタイプではないことを自覚してるんじゃ無いでしょうか。

            管理人様が記事中に何度か書いてくれてますが、ゾラニテテはそんなに強気な発言とかしてないですよー。

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  9. テテはwbssを辞退するまでは評価してましたが
    あんな大事な試合を欠場することになる選手だと思った瞬間興味が失せました
    今まであまり注目されず決勝までくればこれでやっと注目されるだろうと思った瞬間にあれなので
    そういう星のもとに生まれてきて口だけ達者な残念な人なんだという印象です

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    • 南アフリカでずっと不遇で世界各地を転戦、やっとイギリスに拾われて、ずっとライアン・バーネットに訴えかけても無視されて、はやバーネットは引退してしまいました。念願のWBSSに出れた。アロイヤン戦で今のままでは駄目だと故郷を離れアメリカでメイウェザーシニアに師事、頑張りすぎた、気負い過ぎた、挑発しないと無視されるから強気なコメントを吐く。応援してあげましょう、きとんと結果出すのなら・・・

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      • スーパーフライ級時代とか不遇でしたよね。口だけ達者というより単純にハングリーな選手だと思います。負傷によって試合が流れることはボクシングにおいて割と起こり得ること。トーナメントの特質上というかWBSS運営側との兼ね合いもあるでしょうし延期するのも簡単ではないでしょうし、しょうがないとしか思えないですね。
        テテが井上の名前を出すと過剰な反応を見せる人もネット上では見受けられますが、同階級の他団体チャンピオンまたはトップコンテンダーがその階級にいるベストの名前を挙げるのは自然なこと。逆に井上側からしてもバンタムでやるとしたら数少ない対戦候補ですし、今回はテテに勝って来年井上とのカードも見てみたい。

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        • テテは昔から煽りが下手でしたけど今回も辞退してすぐ煽るのはどうかなと
          辞退した立場で煽っても相手に響かないので
          まず目の前の相手カシメロに内容も伴って勝ってから俺強いだろ!やろうよ!ってアピールするほうが賢明に思えました もっとやり方を工夫してもいいかなって感じです

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          • 不遇な立場として当然の事をしてるだけだとおもう。
            日本では井上を目立たせるために、そこだけ強調して報道されているだけ。

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          • 母国ではどういう感じに報道されてますか?
            英語の記事読んでも井上のことに固執してるコメントでしたけど
            他にどのようなコメント発してたか教えてください

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      • 英語の記事だって、ヒーローの井上のことばかりインタビューするし、そこを切り取って売れる記事にするんだから同じだよ。欲しい言葉を引き出すインタビューをするんだよ。テテはファイターとして至って普通だよ。それに固執したファンがワイワイガヤガヤ騒ぐのが狙いだ。あんたみたいに。

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        • 日本だと
          井上を目立たせるためにとか
          そこだけ強調して報道されてるとか言うから
          強調してない報道はどこで見たのか教えてほしいだけ
          まさか証拠もなくそこまで言ってて妄想とかじゃないよね
          ソースよろしく

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