FEATURES
2018世界の終わりと船出/ジャモール・チャーロVSマット・コロボフ他

やはり世界的にはさほどビッグイベントではなかったようで、チャーロ兄弟が不甲斐なかっただけの試合と報道されているようだが、個人的には今年一番目の離せない緊張感のあるハイレベルで崇高な試合であり、苦戦といえどチャーロ兄弟の強さを再確認した次第だ。

おもったより、コロボフ敗戦の寂しさが尾を引いたので、私はつくづくコロボフファンであったのだろう。

ジャモールは強かったけど、兄弟共々、抜き打ちのVADA検査を受けておらず、罰金が科されていた事実を残しておく。事前通告もなくいきなり検査にやってくるのだそうで、その際、家におらず知らなかったという理由だ。携帯電話にも出なかった。

コロボフは今までのチャーロの相手とは違う実力を発揮したが、それでもチャーロは屈強でタフで厚い壁でした。スーパーミドル級でも十分な体格と体力を示し、双子の弟とはフィジカルの違いが顕著である。

WBC暫定ミドル級王者のジャモール・チャーロ(28勝21KO)はマット・コロボフ(28勝13KO2敗)とのハードな試合をユナニマスデシジョンで勝利した。

サウスポーのコロボフは序盤、左ストレートでチャーロからカウンターをとることに成功した。チャーロの前進にボディカウンターを合わせることにも成功していた。集計によると、有効打でも119-114でチャーロを上回った。

しかしチャーロは試合を通じてジャブを効果的に打ち、試合中盤にはコロボフの右目が閉じるようになり、徐々に打開していった。ジャブでは56-9でコロボフを上回っており、試合を通じて200発以上多くパンチを繰り出した。

12ラウンドにチャーロはコロボフを効かせ試合を終わらせようとしたが、コロボフはホールドや経験値で生き延びた。左フックでコロボフを打ち抜き、膝を揺らしダウン寸前まで追い込んだ。

12回を終えて、スコアは119-108、116-112×2でチャーロを支持。双子の弟、ジャーメルの敗北を見届けた直後でも、兄はタイトルを守り抜いた。

コロボフは勝利に値するファイトが出来たと信じている。

コロボフ
「勝ったとおもった。間違いなくどちらに転んでもいいような試合だったとおもう。観た人の声を信じている。私は最も避けられてきたボクサーであることは今日示すことができたとおもう。この試合が次のチャンスにつながってくれればと願う。」

https://boxvideo.sports-web.net/premier-boxing-champions/9992

ジャーメル・チャーロVSトニー・ハリソンの結果を受けると、この試合もスコアではコロボフの勝ちに値するものだとおもいましたが、ジャッジが別人だったのか、コロボフにとっては残念な結果となりました。

いくらなんでも119-108はないだろう。
どうすればチャーロに勝てるんだという残酷なスコアです。
信用に足る人物とはいえません。

個人的には、各ラウンドにポイントを分けるなら、クリーンヒットの多いコロボフの勝利になりましたが、その他の要素、当たらずともにパワーや圧力で主導権を握っているのはチャーロであるようにみえました。

そして最終回のチャーロの爆発、これはダウン相当の判断でも構いません。

このような結末は、デオンティ・ワイルダーVSタイソン・フューリーも同様でした。
序盤に一回、最終回に痛烈なダウンをしたフューリーですが、それでも世論の支持は大きくフューリーでした。採点ルールに沿うと、スキルをみせたフューリーが加点していったのだから当然です。しかし、レフリーの判断ひとつで一発ストップでもおかしくないほどの痛烈なダウンでした。あれがレフリーストップであれば、ワイルダーはヒーローでしょう。実際ストップするレフリーもいるはずだ。

採点は難しい、素人であれプロであれ、間違いなく個人の好みに左右されます。特に最近はそれが顕著で、ジャッジによって選手の運命を分かつ残酷な結果が多すぎます。

応援していたハリソンの戴冠には共感するものがあれど、ジャーメルは気の毒すぎます。

カネロVSGGGも、2試合ともに気分の晴れるジャッジではありませんでした。
しかし、勝者とコールされた者に全ての栄光が与えられてしまいます。

ジャッジのルールを根本から見直さないと、益々このような、歯がゆい、119-108のようなとうてい理解できない事が繰り返されることになる。何か抜本的な対策が急務だ。

それでも昨日下された裁定に異議をはさむ気持ちはない。

コロボフ35歳が言うように、避けられ続けた強豪の次のステップへと続くことを願うのみである。

そしてデトロイトの子供たちにメリークリスマス
日本を除く世界のビッグマッチは2018年を終えた。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
What’s your Reaction?
最高
最高
0
いいね
いいね
0
ハハハ
ハハハ
0
うーん
うーん
0
がっかり
がっかり
0
最低
最低
0
コメント一覧
  1. アバター 匿名 より:

    判定基準も大事ですけど、カネロGGG1を見ての通り
    そもそも判定している人間がおかしいんです
    そこをどうにかしないと

    0
    0
  2. アバター 富士山 より:

    ほとんど差がない10-10
    明らかな差がある10-9
    ダウンがある10-6

    さらに3人のジャッジで1つの点数。3人が一致した時のみ点差をつける。
    つまり、10-9,10-9,10-10なら、10-10となる。

    ダウンは自動的に10-6になるので、際どいものは、後から映像で確認し訂正する。

    そうすると、
    ジャメールの試合は引き分け。
    ジャモールは12Rのみ取って、120-119で勝利。
    ワイルダーはヒューリーに、大差判定勝ち。116-108くらい?

    ダウンって、ブレイクせずそのまま続行したらほぼ勝負が決まるところを止めるんだから、もっと重要でしょう。

    0
    0
  3. アバター カリメロ より:

    僕は強引に差をつけなければいけないラウンドの場合は10X10でいいと思います。それで引き分けが増えても仕方ない。両者同じぐらいの力を出し合ったのに、その試合に起用された審判によって選手の勝ち負けが決まるのっておかしいと思う。ほとんど差がないのに勝ちにされた選手と負けにされた選手の心理的影響や彼らの将来に大きな差がでてくる。その場合は引き分けでオッケー。という現在の僕の考えです。他にもっといいアイデアがあればいいんですが。

    0
    0
  4. アバター プクー より:

    やっぱり世論の声が試合を象徴していますので、これを取り入れる事は難しいでしょうかね。好き嫌いや人気などの障害はあれど、ほぼ公平な結果に導かれるとおもいます。

    昨日はチャーロ兄弟の勝利となるはずです。

    0
    0
  5. アバター プクー より:

    ここ数年、DAZNやWBSSのような新たなものが出て来ましたが
    ボクシングのルール改正にも真剣に取り組んで欲しいですね。

    元王者とか、説得力のある顔ぶれをジャッジにするとか
    いいところだけを機械に頼るとか
    障害を乗り越えて、数の力でジャッジするとか・・・

    0
    0
  6. アバター より:

    コロボフのあの投げつけるような左は西岡を少し思い出しますね。
    119-108は競ってると感じたら全部チャーロにやっとけ的なふざけた感じ。。

    0
    0
  7. アバター 一瞬のマ夏 より:

    採点、難しい問題ですね。私はマストシステムというものをどちらかに優劣をつけて10点入れないとダメというのが世界の傾向というのに最近疑問は抱いています。本来は10ポイントマストシステムはどちらかにあるいは両方に10点を入れましょうというものだったのでは?と思うのですが、、、。ラウンドマストなんていう言葉は正式には無いんじゃないかと思います。
    今まで世界的な傾向だしなぁと思って私も自宅で観戦しながらどちらかに10を付けてましたが(笑)、ここまで難しくなるなら本来の10-10ありでいいような気がします。
    要はボコボコやられてる選手がラウンド終盤で一発でダウンを奪ったとするとみなさんどう付けますか?9-8ですか?でも本来は10が必要なので10-9,10-8、あるいは10-10になります。この方が最近の???なジャッジにも納得がいくように思います。ただ懸念されるのは10-10のラウンドが多くなりすぎるとき。つまり引き分けが増えてしまう事。
    やっぱり難しいですね。
    あと管理人さん120-108、108-120、114-114なんていう試合、これは今の傾向で言えばアリなのだと思います。どちらかに10点をいれなきゃと思っている以上は。
    どっちかにふらなくてはならないと思っていての有効打、リングジェネラルシップ、アグレッシブ、ディフェンスのどれをジャッジが重視しているかでそんなアホなな採点はあると思います。
    特にラウンド毎に小計をしていなければ。。。まぁ、カネロの某女氏ジャッジさんは変でしたが、、、。
    逆に本来にすれば120-120,120-120,120-120のドロー。こっちの方が少なくなるようにも思えるのですが。。。
    選手がKOを狙わないようになるようなルールだけはプロとして失格ですけど。

    0
    0
コメントを残す

※相手に対し失礼だとおもわれるコメントは削除される場合がございます。

おすすめの記事