Ring誌が選ぶ5年後のP4Pナンバーワン、ジャロン・エニスの試合が久しぶりにありました。
ジャロン・エニスVSダビッド・アバネシャン
相手は狂犬のような元王者、ダビッド・アバネシャンでした。アバネシャンはもうレジェンドといえるシェーン・モズリーを破って王者になったくらいの古豪ですが、いきなりラモン・ピーターソンに敗れ王座を手放し、そこからはもう過去の人状態でしたが、再び息を吹き返し、当時無敗のトップランカーのカーマン・リジャラガや五輪選手で超エリートのジョシュ・ケリーまで食っちゃって、超強力なカマセ犬、巨大な壁となり復活しましたが、テレンス・クロフォードには完敗、王座返り咲きまでは果たせない立場にいました。
久しぶりのジャロン・エニスは本人曰くタイミングが少しずれていたとのことですが、クロフォードの6回KOという結果を意識したのか、少々強引で、アバネシャンの距離で打ち合うスタイルを遂行しました。
なので、アバネシャンのいいパンチも入る、やや大味な内容に見えましたが、それでも余裕があり、少々被弾しても全く問題ないかの如く、じわじわとアバネシャンを痛めつけ、圧倒してしまいました。
結果は5回終了、アバネシャンの棄権で、それまでにダウンも食い、鼻を折ったか、ダメージが蓄積し、もう無理という判断だったのだろう。
打って打たせない、緻密な試合運びではありませんでしたが、アバネシャンの攻撃など全く問題ない、クロフォードより速くKOしてアピールしたいが故の強引さだったのだろう。
しかしこんなファイトをしていたら、もしこれが井上尚弥だったら評価を下げるだろう。「この男は被弾する、危ないタイミングでパンチを食う」という評価をされてしまうだろう。
クロフォードの方が緻密で、ディフェンスも完璧で、リスクもとらない完璧なファイトをするだろうとはおもうが、私はエニスの方をより高く評価してしまう。相手の実力を予め見極めた上で、常に余裕と遊びを入れながら圧倒してしまう。フィジカルやパワーやセンスがクロフォードより上にみえてしまうからだ。
それはどこか、全盛期のロイ・ジョーンズに似ている感覚だが、ロイにあった、不意の打たれ脆さのようなものもエニスには感じない。
試合後は、もっとビッグマッチ、ビッグネームを、クロフォードやろうぜと言ってましたが、もはやクロフォードが抜けたウェルター級に敵はいない気がします。
唯一の楽しみは
シャフラム・ギヤソフ
イスラエル・マドリモフ
といったロシア圏の選手たちでアマの世界的な実績で彼らを凌駕している面々ですが、井上尚弥は五輪金メダリストも軽く凌駕している現実をおもうとエニスにとっても困難ではなさそうです。
しかし、自信満々で足をあまり使わず多少被弾してでも強引にねじ伏せる傾向がエニスにはありましたので、これが命取りになることもあるかもしれません。
レイモンド・ムラタラVSデビン・ファーマー
超プロスペクトだけどライト級だから厳しいムラタラが、懐かしのファーマーに判定勝ち、観ていませんが、3-0も僅差なので、ムラタラの実力はこの程度なのかな。ファーマーはディフェンスに長けた不倒の男なので倒すのは極めて難しい相手だが、タンクはもちろん、ロマチェンコやシャクールに比べてもパワーレスで怖い相手ではない。メキシコ系のプロスペクトとして確かなる実力者のムラタラはどうやら、デニス・ベリンチクがターゲットのようで賢明だ。
つまり、世界王者にはなれるかもしれないが、4団体の王者の中では弱い方というのがせいぜいか・・・
ルーベン・ビジャVSスライマン・セガワ
ルーベン・ビジャはアマで何度もシャクール・スティーブンソンに勝っているほどの選手だがプロではエマニュエル・ナバレッテに僅差で敗れ、王者になれず。この試合は通過点だったとおもうが、ウガンダのベテラン16勝6KO4敗1分のセガワに敗れてしまいました。
コンディションが悪かったのか、セガワというのが曲者だったのか、試合をみると後者のようです。セガワは戦績は悪いが、最近はウガンダではなくアメリカで活動しており、トップ選手には負けてきたが、僅差のいい勝負をしてきており、その経験で才能が覚醒したのだろう。
やや変則だがパンチが伸びるしキレがあるしなによりも思い切りがいい。
アフリカンの潜在能力にアメリカの科学がブレンドされたのだろう。
プロでは非力さが仇となっていたビジャには相性の悪い相手だった。
アフリカンは未熟で粗削りだが、ポテンシャルはすごい。
だから、またドラミニと試合するという亀3よりドラミニを応援する。
亀3を蹴ってアーノルド・ケガイと挑戦者決定戦をするという話だったし、こっちの試合の方が興味があったが、亀3はどうしてもドラミニにこだわりたいんだな。
フェザー級の世界王者になってからモノを言え
なれないとおもいますが、どんな隙間を縫っていくのでしょうか。