よもや、個人的には田口VS田中より興味深い試合が組まれました。
ワタナベジムは本日、WBAチャンピオンの田口良一とIBF王者のミラン・メリンドとの統一戦を発表しました。大田区総合体育館で日本の大晦日の格闘技ナイトで開催されます。
以前はジムメイトで長期王者であった内山高志のアンダーカードを勤めていた田口ですが、内山の引退を受けてメインイベントに抜擢されたのは当然の成り行きでした。
当初は日本の井上尚弥が大晦日を締めくくる大トリを演じるとおもわれたが、昨日発表されたあまりに貧弱な相手は田口の統一戦に匹敵するものではありませんでした。田口は2014年にタイトルを獲得してから人気、実力とも少しづつ上昇しています。
ミラン・メリンドにとっては、日本の3階級王者八重樫東を衝撃の初回KOで下し、元王者、ヒッキー・ブトラー相手に薄氷の防衛をしてこの日を迎えることとなり、目まぐるしく飛躍した1年の締めくくりとなります。
メリンドの静かなる台頭は、テレンス・クロフォードに敗れるまで、彗星のごとく現れ、あっという間に2冠を統一したジュリアス・インドンゴと被るものがあります。最速で2冠王者になる可能性を秘めています。
両者ともにこの試合で得るものも、失うものも多いですが、ヨーロッパ側からすれば、早起きしてこの極東で行われる試合をオンラインで楽しむことは、ボクシングが沸いた今年の締めくくりとしていい選択かもしれません。
目玉がなかった日本の大晦日を締めくくる試合としては大変意義のあるものだとおもいます。京口も初防衛戦で指名挑戦者なのでワタナベジムらしくないです。
テレビ東京からTBSに変わったようですが、内山や大阪のプリンスほどには単体で弱く、過保護する必要のないボクサーであれば厳しめのマッチメイク、軽量級王者が多すぎて名前も覚えきれない状況では、常勝で飾るより、ガチの厳しさを見せつけた方が効果的と方針を改めた結果でしょうか?選手には強敵を避けるチキンハートなどないのだ。
田口は最上位ランカーのカニサレス、バレラを退けた事で自信と信頼を得ました。結構いけるぞと。今時エリートアマではない叩き上げで、技術的には心もとないところもあるけれど、長身細身で優しそうな風貌と違って、彼はスタミナと根性の接近戦のボディファイターであると今では認識しています。スパーで敵わない井上と試合に臨んだ勇気が実を結んで今に至ります。
日本に世界に通じる芸術的なアウトボクサーはあまりいず、というか向かず、見た目に反して接近戦、スタミナ、根性、ボディやショートが活路の名選手は実は多い気がします。
レパード玉熊
鬼塚勝也
畑山隆則
そして、彼ら以上に本格的な相手を選ぶほどに田口はたくましく成長してきたのだな。小柄なメリンドは接近戦も巧みで日本人に打てないアッパーなども多彩です。やはり総合力ではメリンドが有利ではないかなとおもいますが、エンドレスに前進してボディを叩き、ガードも堅実な田口はかなり期待できそうです。
仮にここで負けるとしても、実績と勇敢さでは3人いるLフライ級日本人世界王者の中で田口の存在価値は輝きを失わないだろう。
ここを制して次に向かうのはどちらか?
田口VS田中
メリンドVS田中
フライも独占している日本勢としては(一個空いたか)こういう戦いが必要です。奇しくも長谷川や内山の引退や、三浦や亀海や井上の海外の姿を目のあたりにし、やっと本物と相まみえねばという覚悟が備わってきたと感じる昨今です。
現時点での予想はメリンドですが、ブトラーにも大苦戦で結構満身創痍な状態です。カットも多い。田口は通用する、打ち破れるとすらおもっていますよ・・・
WBOは田中の怪我を受けて、アコスタが暫定王座戦に出るそうですが、WBO本部プエルトリコとしてはアコスタは何が何でも冠を持たせたい贔屓選手なのでしょう。WBCのネリ同様。