パッキャオ(37歳)の再来をテーマにボブ・アラムがアジアの開拓に熱心なのに米国進出もマカオにもなかなか出ない日本人ですが、村田に期待するには険しすぎ、日本記録に固執しすぎるワタナベジムの内山も36歳、その陰で階級が手薄くライバルもいない山中33歳がワタナベジムの悲願を超えて防衛記録を抜かしちゃうよとおもっていましたが内山より先に山中にその陰りが見えてしまいました。
果たしてピークを過ぎ、衰えがはじまったのでしょうか?
元々山中はデビューは早いが試合の少ない、帝拳では出世の遅いボクサーであり無敗ではあるが2分しているように左は凄いがその他足りない部分のたくさんある不器用な選手だったのではないか?
得意の左が試合で出るようになり、自信もつけて頭角を現しはじめたが、日本王座防衛の岩佐戦では周囲のマニアで岩佐を推す声が高かった。
事実試合は岩佐のペースではじまり、2回か3回に岩佐の左で山中は腰を落としかけた。
その後力を読んだ山中が徐々に圧倒していったが、両者に可能性を感じる高度な接戦だった。
その後、ドネアの抜けた穴王座をエスキベルと争って世界のベルトを戴冠したが、圧倒しつつも仕留めの遅いまだ固いボクシング。
次のダルチニアン戦で評価を決定づけたがこれも実は体格差と左の強さでダルチニアンが攻めきれなかったのであり圧勝とはいえぬ無難な判定優先の安全策である。
ドネアが放つ天才の煌きとは違う内容の勝利だ。
ここから自信を増した山中は盤石の王者となっていくが、長身強打の山中の弱点をついたスリヤンやテクニシャンモレノ、変則のソリス戦なんかを見るとやはり心もとない面がのぞく。
序盤リードできないと結局は左で強引に局面打開していくしかない、ジャブ、ストレートばかりの単調なスタイルなのだ。
元々、コンバーデットサウスポーであるようで右も強いのだろうし、右をもっと生かせれば左も生きるとのことで右を磨き、アッパーやフックなどバリエーションを増やすことを目標に防衛しながらスタイルの幅を広げようとしてきたのだろうが
結論から言えば左を徹底的に磨くだけ、ジャブ、ワンツー、左ストレートのみ、返しの右フックなんていらない
そういうわりきったスタイルに戻した方がよさそうである。
相手が怖いのは左だけなのだし、それで恐怖の山を築いてきたのだ。
力量差のあったサンティリャン戦で右ジャブが冴えわたり、教科書のように圧倒的なKOをしたが確かに理想的な右の使い方であったが、簡単な相手であり、いまどきこんな簡単な右ジャブは世界で見ないよなあと感じたものだ。
ソリスは強いというよりフックかストレートかわからない中途半端な右を変なリズムで振り回す独特の選手であり過信した山中の右ガードも下がりっぱなしなものだからあんなに見事に食らうのだ。
モレノ戦の山中ならもっと過剰にディフェンス意識を高めていただろう。
せっかく難敵のモレノ戦をクリアしたのに落ち目というのは悲しいが、基本は強いが変則にはかなり脆いところがあるシンプルスタイルの選手というのが山中の真の姿だろう。
10度防衛し今後はモチベーションが大事らしく統一戦を模索しているという。
しかし相手はリー・ハスキンス、かなり小柄で苦手な変則ではあるが対立王者としてはおいしい、強い王者とはいいがたい。
ランディ・カバジェロ戦は相手の体重オーバーで有利な条件提示されるも試合自体をキャンセル、まだ王者としての証明は何もしていない。
それでも今後に不安を残した山中にとっては今想定できるモチベーションの高い相手であり、変則スタイルもあって実力を図る格好の相手だろう。
体格のいい山中は実はかなり減量苦なのでは?ヒョロくは見えないが胸囲などはLフライの木村と変わらぬ数値であり年齢からこの体重を維持するのも実は結構過酷なのかもしれない。
パワー選手じゃないのに体重維持の難しい長谷川も体質と年齢によりフェザーでもきついのが真実だろう。
華やかなSバンタムから声がかかるわけでもなく、ここ2戦判定続きの状況では仕切り直ししか道がない山中、せめてバンタム最強、記録がかかる13度目あたりにはこの階級を全て統一するくらいの説得力が欲しいところだ。
山中の実力にケチはつけないが、黄金のバンタムが今は不人気スッカラカン状態なのでぶっちぎりの統一王者を目指すしかない。
次の試合は得意の左を自信満々に振って相手を痛めつける姿を見てスカッとしたいぞ。