レオ・ガメスの記事を書いて昔書いた柳明佑を思い出す。こんな事がよくあるのがブログの醍醐味ですが、ここまで読み返し、本当に書いてみたかった選手のテーマを思いつきました。
先日の井岡の感動の4階級制覇のアンダーカードで、京口紘人が防衛し井上尚弥に続く今年日本人2勝目を死守。相手のタナワット・ナコーンというのがムエタイの猛者で意外な苦戦だったとのことで(観戦できてません)京口が判定で井岡がTKOになるとは予想していなかったと書かれていました。
その試合を観戦した対抗王者の拳四朗は、京口と統一戦なら「全然勝てますよ」とコメント。両者の統一戦の機運が盛り上がったようだ。
両者共に、ライトフライ級という不人気階級の不遇を嘆き
拳四朗は事あるごとにもっと目立ちたい、TVに出たいとピースサインでアピールするも次戦も村田の前座。京口も「統一王者、2階級王者のブトラーに勝っても全然知名度が上がらない。もっとアピールしなければならない」と焦っている様子だが、個人的には、己の拳で、試合内容だけで魅せていけばいいのである。タレントとして目立つのは引退後でいい。
リカルド・ロペスもロマン・ゴンザレスも、ウンベルト・ゴンザレスもマイケル・カルバハルもその試合内容だけで皆が放っておけない存在になっていった。
そして、日本で一番有名ともいえる具志堅用高だってジュニアフライ級、当時新設階級で相手レベルも今となっては謎だらけ。それでも13度の防衛と具志堅自身の魅せるファイトが時代を創った。
今、日本にはこの階級に2人の無敗の世界王者(拳四朗、京口)がいる。
かつて、ミニマムでさえ世界が獲れず、21連敗、暗黒時代だった日本の羨望の的に韓国が、それぞれ15度と17度の防衛を誇る張正九と柳明佑がいた。残念だが具志堅の記録も超え、日本人は誰も勝てなかった。(井岡おじが一回勝って負けたが)彼らを超すことが日本人にとっての宿題であり、およそ30年の時を経た今こそその宿題を終わりにすべきだ。
彼ら(拳四朗、京口)は張正九と柳明佑を超えるべきである。
それが、究極の目標であり、殿堂入りへの王道だ。
15度と17度の防衛、並大抵のことではない。
京口紘人
13勝9KO
最初の頃はその早すぎる世界戦や辰吉をジョーちゃんと呼ぶキャラが合わず、軽くみていたが、最軽量級ではフィジカルが強く逞しさを備えた有望な選手かもしれないという印象に変わった。少々被弾してもおかまいなしに相手を潰す馬力とボディアタックがあり、一流王者が備える素質を持っている。アジリティもある。
けれど今は少し雑、強引だ。わかりやすく例えればスーパーライト級のホセ・ラミレスみたいで、体力、馬力優位で相手をねじ伏せてきているが、緻密さが足りず、パンチも来るとわかるので一定以上のランカーはそれに耐えることができる。細かな技術を省略してモーションが大きく強引なので空回り、危うさも残すという印象だ。
拳四朗
15勝8KO
この男も出世が早くそこまでの逸材じゃないだろうと侮っていたが、世界でも安定感を発揮するほどのジャブの名手、距離管理の上手い選手であり見直した。童顔だが27歳と円熟期で井上尚弥より年上だ。しかし試合にはまだムラがある。強豪をきれいにクリアしたかとおもえば格下に苦戦したり、盤石の凄み、安定感はない。次戦は息の長い指名挑戦者なのでここをクリアし次のステップに向かってもらいたい。
https://www.youtube.com/watch?v=K-AWtXjvEaY
両者ともに間違いなくいいファイターであり、今後も期待できるが、田中や井岡や井上のようにこの先何階級も上を目指していくスケールは今のところ感じない。であれば、互いに切磋琢磨し、張正九と柳明佑という日本人にとって悔恨といえる歴史を凌駕する存在になって欲しい。
その先に、ウンベルト・ゴンザレスやマイケル・カルバハルの世界、ミリオンダラーが待っている。
レオ・ガメスの現代版のような同国のカルロス・カニザレスや
井岡に負けたがやっぱり強かったフェリックス・アルバラード
田中には負けたが誰よりアクティブ、勝利は全KOのアンヘル・アコスタ
今のところアコスタが世界で一番アピールしているライトフライ級といえる。注目されない階級ならば全部ノックアウトで魅せてやると、京口や拳四朗よりノックアウト勝利のプロセスが上手い。何より試合数が多い。それでもギャラはまだ低い。
アコスタに負けない実力、パワーは日本人にだってあるはずだ。
注目されたい、目立ちたいなら、リングで、拳で証明し続けること。
もっとアクティブに、最低限勝ち続けること。
試合になると「まだまだでした、すいません」みたいな事が多いのは、まだ強さも信頼も絶対的ではないからだ。
通過点のような試合でも、いい内容で勝ち続ければ道は必ず開ける。
[st-card id=32216 ] [st-card id=75722 ]