全階級でもっとも待望されてきたライトヘビー級の統一戦が遂に開幕・・・コバレフもビボルも口では統一を希望するものの、プロモートや金銭などでゴネゴネか、寡黙な大人の2人同士ですんなり決定したようです。ベテルビエフは統一戦のために、プロモーターと裁判沙汰を経て、フリーに、DAZNからトップランクに移籍しての悲願がようやく叶った。
ネットワーク戦争が苛烈な今、トップランクも出し惜しみなく好カードを連発しなければならない。88歳で世界中を飛び回るボブ・アラム最後の闘いでもあるのだ。ロマチェンコもクロフォードもこれに続く・・・
アルツール・ベテルビエフ
14戦全勝14KO
https://www.youtube.com/watch?v=u89iXtyirXg
試合が少ないが、対戦相手探しの難航や自身のプロモート問題もありやっとベストな環境になった。既に34歳の破壊的ファイター。アマでは僅差もセルゲイ・コバレフに2勝しているチェチェンの熊軍曹、ではなく元五輪選手。北京、ロンドン五輪代表だが、北京では中国選手に負け(不当判定か)ロンドンではヘビー級でオレクサンドル・ウシクに敗北。しかし世界選手権等では銀や金の記録を残している。ロンドンでは同僚のエゴール・メコンツェフがライトヘビー級で金メダルなので、その関係でヘビー級エントリーしたのだろう。本来はライトヘビー級が適正の体格だ。
キャリア序盤は狂暴でパワフルすぎ、元WBA王者のガブリエル・カンピーリョや元IBF王者のタボリス・クラウドも軽くノックアウトしてきたが、試合枯れと加齢による反応とスピードの劣化か、タイトルを獲得したエンリコ・コーリング戦では12回にやっとノックアウト、カラム・ジョンソンを倒すも先にダウンを喫するなど狂暴さの中に隙や脆さもみせるようになってきた。5月のラディボジェ・カラジッチ戦では、カラム・ジョンソン戦を払しょくするかのように出る時はガンガン攻勢、守る時はさっと引いて安全という出入り、攻守の切り替えをみせた。
いずれにせよ、ピークはやや過ぎたかもしれないが、カネロもヤーデもコバレフはアリでもベテルビエフはなしというくらい、ライトヘビー級において避けられている怖いパンチャー。
オレクサンデル・グヴォジク
17戦全勝14KO無敗
本当は普通にアレクサンダーでいいっぽいが、(だってアレックスだもん)わかりやすくオレクサンドル。こちらは身長は188センチとベテルビエフよりスマートで長身のWBC王者。ロンドン五輪、ライトヘビー級で銅メダルを獲得。
ウクライナエリートの一角で、ロマチェンコやウシク同様に取りこぼしなく順当に王者に輝き安定感を増している。アドニス・スティーブンソンの長期政権を終わらせた本格王者だが、倒す前に効かされ危うい面もあった。鬼コーチのテディ・アトラスが魂が枯れた後に唯一教える門下生。
長身から丁寧にジャブを突き、距離をとるオーソドックスのアウトボクサーだが攻撃的で攻めは鋭い。倒しに行く嗅覚もノックアウトパンチも持っている。軽量級のように速くて教科書的な優等生ボクシング。並のランカーだと技巧でグヴォジクに敵わない。無理をしなければ長期政権が築けたであろう。
トップアマゆえ、新王者といえるフレッシュな立場だが、もう32歳なので完成されており、究極の統一戦に向かう。ランカー相手に防衛戦を重ねるよりもエキサイティングで勝負をかけた最高の道を選んだ。気持ちがいい。
共に、同時期に活躍した隣国のトップアマ同士なので、対戦経験がありそうな気もするがわからない。スパーリング経験くらいはあるかもしれない。
展望としては、KO決着必至だろう。ベテルビエフのプレッシャーや強襲に怯んで距離を詰められて守勢に回るようだとグヴォジクに勝ち目はない。ベテルビエフにしても、これだけの技巧派との対戦歴はなく、距離をコントロールされたり、自身の強襲にカウンターを合わせられるようだと厳しいだろう。
ベテルビエフは怖さ
グヴォジクは上手さ
の選手であり、どちらが自分のファイトを貫けるかが勝敗の分かれ目になりそうだ。期待としては残された時間が短く、プロらしい怖さを体現しているベテルビエフのノックアウト勝利に期待する。
コバレフも、ベテルビエフも、アマの宿敵にウズベキスタンのアボス・アトエフという男がいた。(ベテルビエフは雪辱しているが)このアマの巨人アトエフはミドルからヘビー級にかけてその剛腕で数々の勲章がたくさんあるが、ロンドン五輪は銅メダル。村田諒太がこの熊を退けて金メダルを獲得している。世界選手権でも土をつけた。
ベテルビエフに村田の未来の姿を重ねて応援したいとおもう。
あいつはやべぇ、怖ぇ・・・
ミドル級の村田もそういう存在になって欲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=1FrU4VK37WI