7戦目で世界をとった井岡の初防衛戦はランキング一位のメキシカンエルナンデス。確かな技巧派であったエルナンデスにスピードと体力で上回った上での完勝といえる内容でした。
正直井岡のことはあまり関心がなかった。7戦目でまだ印象がないのと最近のミニマムはヒーロー不在で盛り上がりに欠くからか。
しかしサッカーの延長で見た試合は相手が一位にふさわしい技術の洗練を持った確かなボクサーだったこともあり井岡の完成度の高さや今後の飛躍を感じさせる中身のある試合でした。
アマチュアキャリアのある井岡はとても基本に忠実でジャブやボディをうまく打つ。スピードもカウンターも一流だ。
しかし現時点で一番いいのはパンチが全てコンパクトなショートで引きもはやくバランス崩さずブロック、ディフェンスもしっかりしているところか。
そしてミニマムでは体が大きいので前にプレッシャーをかけていくところがいい。
試合のほとんどで足の速いエルナンデスのフットワークを追い詰めていました。
エルナンデスはおもった以上にシャープだしアッパーなども美しい洗練されたメキシコボクシングを序盤見せており一位の名に恥じない選手とすぐわかりました。カサレスよろしくスイッチも上手かった。
しかし中盤から後半でスピードもプレッシャーもコンパクトなショートパンチも落ちない正確な井岡を前にしてどうしていいかわからない状態になってしまい、ボディも効かされて立っているのがせいいっぱいとなってしまいました。最終回も逆転の勝負をできる余力はありませんでした。
技巧派メキシカンよろしくスリッピングアウェイも巧みでしたがボディは効きました。
初回、2回あたりは挑戦者の技巧に不気味さを感じましたが結果こんなに差が開いたのは技術差というより体力差が大きかったようにおもいます。
一発パンチのシャープさを持つ挑戦者でしたが体のサイズが井岡よりはるかに小さくて圧力をかけられていました。
打っても打ち返されるしコンパクトで速いので避けきれない。体力に押されボディで疲弊し挽回できなくなってしまった印象です。
新井田がロマゴンに完敗したように技巧はあっても大きくてシャープな相手の圧力に抗いきれなかったように感じます。
井岡はキャリア浅いですが動きがコンパクトで攻防のバランスがいいので体のアドバンテージがあるこのクラスでは安定感があるとおもいました。
ボクサーファイターでしょうがパンチがコンパクトでスピードと勘があので長い距離よりショートレンジが強そうです。
まだ攻撃バリエーションが少なくてリズムもテンポも同じに見えますが、危なかしさの少ない安定感あるスタイルで今後が楽しみになりました。
スリリングな試合をする先輩王者も井岡に見習うところあるんじゃないでしょうか。