ひょんなことから、ボクシングと全く関係ないところで彼と知り合いになりました。
お友達というにはおこがましいですが・・・
第15代日本ミニマム級王者
第12代WBA世界ミニマム級王者
第15代WBA世界ミニマム級王者
新井田 豊(横浜光)
Yutaka Niida
28戦23勝(9KO)2敗3分
もうリングに戻ることはないだろうからレジェンド入りとさせていただきます。
彼を知ったのは遅くて日本タイトルの鈴木誠戦からだ。
この試合、日本タイトル史上語り継がれる傑作試合である。
しぶとく王座を張る鈴木を若き天才が軽く乗り越えてしまった。
日本人離れした空間把握、アクロバティックで漫画的、大胆で多彩なパンチで圧倒してしまいました。
辰吉出現と同じ
規格外のスケールもった新人の到来でした。
しかしそれだけ圧倒的なパフォーマンスを見せた次戦では飯田大介にダウン奪われ薄氷の引き分け・・・
プロの厳しさを味わうことになります。
しかしその稀有な才能を買われ、9度防衛の安定世界王者チャナ・ポー・パオインに即挑戦し際どくもはじめての挑戦でタイトル奪取、その後紆余曲折ありましたが2階級制覇の未だ無敗の現役怪物、ローマン・ゴンザレスに敗れるまでトップを張っていきました。
畑山が「俺が天才なら新井田は神」?といったように個人的に彼は才能だけで世界王者をやっていけた数少ない人間だったようにおもう。
ジムのトレーナー含め誰もが彼の才能を持て余していたのではないか、プロとしてどこを強化してどう導けばいいかわからなかったのではないだろうか?
普通の人間に教えられることは全て最初から、あるいはすぐ身につけてしまう、そんな浮いた存在ではなかったか。
あるいはそんな己を察して彼は誰かに教わるというよりは自分で考えて、自分の好きな環境で練習していたのではないだろうか?
どこか、近寄りがたい、庶民の愛されキャラとは間逆の孤高のオーラがありました。
防衛も伸ばし、立派なキャリアを作りましたが最後の最後まで新井田ボクシングの完成、成熟を迎えることなく引退していったという印象。
スタイルがはまれば、圧倒的な運動能力差で華麗に勝つこともあれば、ちょっと歯車が狂えば地味な相手にも大苦戦・・・
才能だけで克服できない、ボクシングの壁を突き破る前に辞めてしまった稀有なる天才
そういう選手とおもっています。
強いて言えば、日本人ならではですが、能力や適性はピカ一でも体が小さすぎた、ミニマムでも小さかったというのが少なからずあったようにもおもいます。
迷い、苦しみながらも適応していき、強い時は
まるでロイ・ジョーンズのよう
なんて見惚れてしまったこともあります。
日本人なのに黒人的身体能力をみせつける類まれな能力でした。
最後の試合で怪物ローマン・ゴンザレスの挑戦を堂々と受け、がっつり打ち合い悔いなき試合をしたのが痺れました。
あの日、あの時、西岡が世界チャンピオンになったのです。in横浜
けれど僕には、主役はボコボコに敗れた新井田でした。
才能という点でとてつもない人でした。
わかる人にはわかります。
今後も知人、友人として交流していきたいとおもいます。
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