こんなドラマの後だから

山中、長谷川の世界戦が素晴らしかったので霞んでしまった週末の海外試合ですが、やはりウシクは獲っちゃいましたね。カネロもやっぱ強い。左ボディの選手だな。
軽量級も含め、スタイルに向き不向きはありますが、アマチュアトップでパワーがあるボクサーならプロでもいきなり世界とれるんでは?という疑惑を後押しする結果となりました。

村田、清水?
ウーン???・・・

時間が経ち、自分なりの総括をしたいとおもいます。

山中

長谷川の勝利のバトンタッチも効いて、決意のある素晴らしいファイトをしてくれました。何よりもリスクを負ってでも倒すという互いの勇気・覚悟がすごかった。
それがビリビリ伝わる試合だったので4ラウンドのカウンターで山中がひっくり返った姿さえ美しかった。
視聴率や人気はともかく、この日の2試合は辰吉VS薬師寺や畑山VS坂本なんかよりレベルが高く意義もある、最重要の試合だったとおもいます。

やはり山中という選手はもうすぐ34歳でもありますし、技術の幅を増やすより、右ジャブやリードからの左ストレート主体のスタイルを磨く方が強い。
どんなに研究されようと左を信じシンプルにやっていった方がよさそうです。

そこを狙う、返しの右のタイミングをモレノに徹底研究されましたが、それをも克服しました。
勝利はもちろん、モレノのおかげで課題も良さも何をすべきかも全て教えてもらった、今後を示唆する最高の試合でした。
器用さを磨いてもドネアやリコンドーには敵わないけど、左さえ当たればというのは妄想できる範疇です。

実力で日本歴代ナンバーワンのバンタム、サウスポーになったといえるのかもしれませんが、それを証明するのは13度の防衛記録を超えることではなく西岡の辿った道を進むことだけでしょう。

長谷川

加齢、ダメージによる衰え・・・
様々な懸念で悲観的な予想が大半だったのがまず不自然です。
予想や期待が当たったから言うのではありません。

長谷川が12ラウンド判定でポイントアウトされて負けた試合があったでしょうか?
一発効かされさえしなければ、常に相手を凌駕するスキルを披露してきたのが彼でした。

モンティエル戦からの試練は全て、相手が強かったからだけだろうとおもうのです。
10度防衛中の誰よりもノンタイトルを含めたここ数戦の相手の方が強かった。
体重苦での階級アップは加齢と体質で仕方のないことでしょうが、階級を上げてからは常に自身よりパワーがあり、一発で倒す力のある強打者ばかりで、長谷川自身のボクシングや耐久力も食ったら終わりなスリリングなものなので、結果、やばいパンチを食ってしまっただけだとおもいます。
距離や相手の効き方も変わってきます。

ネストール・ロチャとキコ・マルチネスじゃぁ、見直しても全然パワーが違います。

大ベテランの長谷川でさえ、プロで40戦程度。
豊富なアマ歴やムエタイのキャリアがある相手と比べれば今なお発見や進化、成長の余地があるのだ。
ましてや地方ジムですから、練習環境によってはもっと伸びる余地のある天才でしょう。

ナルバエスやモンティエルが増量と共に結果を残せなくなってきたのと同じ事ではないでしょうか?
自身の劣化より相手が違うだけ。ロマゴンもクアドラスには苦労しました。
少なくとも自分の中ではドネアはウォータースより下ではないし、トリニダードもホプキンスに劣るものではありません。
大好きなモンティエルは決してセルビーを下回る選手ではありません。

それでも、加齢や反応の鈍りは感じますし、減量やコンディショニングも大変でしょう。
ポイントアウトで負ける姿が想像できないテクニシャンですが、ドネアやリコンドーにはさすがに敵わないとおもいます。
グスマンのパワーも嫌ですね。

ジョニゴン
ブルゴス
アルツロ・サントス
オラシオ・ガルシア
カルロス・ルイス
ウーゴ・ルイス

それでも、大柄で強打者ばかりのメキシカンを連破し、残るはレイ・バルガスだけになりました。
ラスボスというにふさわしい勢いのある大器ですが、オラシオ・ガルシアやウーゴ・ルイスと大差ないかもしれません。
負けるまではオラシオ・ガルシアが自分的には一番怖かったです。

少なくとも、今までの強敵相手のキャリアは大いに役に立つはずだ。

褒められた内容じゃなかったですが、長谷川がフェザーをとったブルゴスはSフェザーでロッキー・マルチネスに勝ちでもいい試合をしてました。
ならば長谷川は4階級制覇じゃんとおもったものです。

だから自分は、セハのパンチでひっくり返ったウーゴ・ルイスでさえ、長谷川のパンチの前には足を揺らさないもどかしさを感じつつ
バッティング込みとはいえ、棄権するほどのダメージを負わせた長谷川のパンチにやっとこの階級で通じるパワーがついたかとうれしくなりました。
ブルゴスも平気で立ってましたが顔は腫らしていたっけなぁ。

今もこれからも、食ったら終わりの厳しい階級に身を置いていることに変わりはありませんし、パワーや耐久力勝負では話になりません。
常に相手は長谷川より大きくパワフルでしょう。耐久力も。

こんなドラマの後だから、引退でも現役続行でもどちらでもかまいません。
引退の方が美しい幕引きになるでしょう。

けれど長谷川自身はウーゴ・ルイス戦が自身が求めた最高のボクシング、パフォーマンスだったとはおもってないはずです。
もっと圧倒的に勝つつもりでいたはずです。

亡くなったお母さんが好きだったという打たせないボクシングが完成した時
さらなる驚きの試合と結果をみせてくれるはずです。

一ファンとしてはそこまで望んだら酷だとおもっていますが、それくらいの才能、ミラクルなボクサーでしょう。

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コメント一覧
  1. ファイナルフォーチュンさん

    名前出すの失礼ですが
    やはり和氣や小原の試合とは違いましたね。
    攻防の幅がすごい。

    奥が深い。

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  2. もう、言葉がないです。才能を努力で昇華させてきた長谷川に、最後の最後に最高の結果がもたらされました。モンティエル、ジョニゴン、そしてキコマルチネスとの対戦で痛烈な敗北を重ねてきたことすら、この日の栄光をドラマチックにするのための伏線だったのかと思えるほど、長谷川穂積というボクサーは特別な存在に思えます。
    こんな幸せな気持ちになれることがあるんですね。もっと多くの人にボクシングの素晴らしさを知ってもらいたいものです。

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  3. camaroさん

    この場では控えておきますが
    皆観戦したとおもうので何か感じ取ったんじゃないですかね。

    別の機会に書きたいとおもいますが
    ロマチェンコのような超人がいる階級で
    伊藤雅雪やリッキーは自分にしか出来ないボクシングを模索して考えているみたいですね。
    頑張ってほしいものです。

    一瞬のマ夏さん

    マグサヨ出るんですか?
    彼もマ夏さんのいう試合プランなどなく才能と勢いだけのように感じますので
    どう化けていくかですね。

    井上もそうですが、とてつもない才能だなとは感じますので。

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  4. 倒せる1発がそうじゃない階級になりそれにあがき屈せず工夫し這い上がってくれましたね。まだ酔いしれてしまいます。
    24日は管理人さんイチ押しのマグサヨですね。相手はロブレス。デラホーヤの従弟に判定負けですか。ここはKOしておきたいですね。デラホーヤはSバンタム、デラのアマでライバルのオスカルバルデスは一歩先にいきました。すいません。話がそれました。
    山中、モレノ、長谷川、ウシク、グワロツキ、みんなサウスポーでした。
    ウシクだけがジャブをジャブとして武器にしていました。クルーザー級の中でデカいのにあのジャブの使い方。ジャブって大切ですね。でも長谷川のパリングは格好良い!と思います。

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  5. 負けた試合もあるけど、やはり強い選手とやると得るものは多いですよね。
    和気なんか無名の外人倒してイキがってるただの田舎ヤンキーですよ。
    1位にいた意味が分からないし世界挑戦する資格は無かったです。
    同郷岡山ですが全く応援出来ませんでした。

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  6. 一瞬のマ夏さん

    自分も長谷川のショートフック、ガツンを期待しておりましたが
    ジョニゴン戦以降、相手がデカくてパワフルなので、距離も効かせ方も若干違いそれが上手くできなくなりましたね。
    その分、ウーゴ戦では遠距離からの左ストレートが切れており、大きなウーゴより遠距離を支配してましたが。
    やっぱり当たりがやや浅いですよね。

    劣化、終わったとささやかれる中で

    ヘナロ・カマルゴ戦だけは全盛期かそれ以上の圧倒でしたからね。
    加齢による退化は少しはあろうかおもいますが、相手が違うのが一番の違いだとおもいます。
    それを克服してるんだからすごいです。

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  7. 一瞬のマ夏さん

    ウシクはあの熊みたいなベテルビエフにも勝っているんですね、アマで。
    クルーザーでは大きいし戦い方のツボはおさえているんでしょうね。

    ボクシングには大雑把にアウトボクサー、ファイターと分類されますが
    フィジカルとか色々あるよなぁとつくづくおもえた長谷川や小原でした。

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  8. 感傷的でかっこつけたマスコミ記事が目立ったので
    あえて、冷たいマニア視点で語ると

    9ラウンドの長谷川の打ち合いは2度ほどクリンチにいってるんですよね。
    皆が打ち合いするなと言うように。セコンドもそう叫んでいたのでは?

    そのクリンチをルイスの分厚いフィジカルで弾かれたので覚悟の打ち合いに突入しています。
    やっぱりバンタム黄金期のように戦いたくてもそれができないパワー、フィジカル差の中で
    最良の選択をしているのだとおもいますね。

    レイ・バルガス戦の懸念もそこだけではないでしょうか?
    引退ならそれでも全然いいんですが。

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  9. みなさん書いておられる通り両者供に素晴らしかったですね!
    この試合で山中・長谷川・モレノに共通していたのは勝つ為の試合プランがちゃんとあった事、それを見ている我々が感じ取れた事。井上のときにコメントさせてもらいましたが試合プランが感じられないと書きました。やっぱりそれでは物足りないのです。ボクシングはこうでないとという試合を見せてくれました(特に山中)。
    長谷川は近距離のショートフックで倒して欲しかったのがホンネです。それが出来ると信じてたので。でも勝って良かった。
    長谷川は大きい相手の方がやり易そうに見えます。12月にはリゴとフローレス。Sバンタムも面白くなって欲しいですね。
    ウシク勝っちゃいましたね。残念でした。
    4~5R位でしょうか、ウシクのジャブが止まりかけてグワロツキのプレッシャーが強くなって懐にスッと入るけど右が出ない。左の強い1発を狙いすぎて力んでしまっていたかな?ウシクは無理をせずジャブを出し続けてまだ9戦とは思えない盤石の戦い方でした。面白味は無かったですが王者になった事で、これからは派手に倒す事を意識して欲しいです。ロンドン辺りで活躍していたトップアマ、やっぱり強いです。悔しいけど脱帽ってとこです。

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  10. 岩佐や和気、小原も生で観に行ってたらしいです
    この2試合を観て、自分達に足りないものを改めて感じ取って欲しいと思います
    山中選手は日本人歴代最高のバンタムだと思います
    まだ大森や井上拓が追い越せる選手ではない
    ソリス戦で下がった評価を取り戻したと思いますし、ディフェンスと左を更に磨いて海を渡って欲しいです
    ただ、周りの連中が具志堅の記録がどうこう煩いので、抜いてしまって黙らせて欲しいとも思ってしまいます
    今の時代、防衛回数なんて大した価値無いし山中自身も「興味無い」って言ってるのに

    長谷川選手もまた、和気が敵う相手ではないと思います
    それくらい厚みのある選手です
    9回のあの劣勢からの打ち合いで勝ってしまう芸当は見事です
    全盛期の姿を彷彿とさせました
    技術、スピード、経験だけならまだまだ山中より上なのかな?と思います

    そろそろ井上尚弥君世代にバトンタッチするのかなあと予感してた分、よりこの2人が頼もしく見えます

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  11. 管理人様

    客観的に見ても年間最高試合は間違いなく山中でしょう。
    ダウン応酬でよりエキサイティングな上、完全KO勝利でケリつけましたから。

    長谷川の試合を推すのはあくまで個人的なものです。

    山中もまさかKOで勝つとは思っていませんでしたが長谷川は100%負けるだろうと思っていました。

    西岡の敵地ジョニゴンを完全KOした試合もそうでしたが負けると思って見てた試合を制する姿は心に響きます。

    不利に思えた試合を制するほど。

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  12. サーシャさん

    自分なりの総括は書いた通り。
    感傷的でナルシスティックな記事がマスコミの紙面をに賑わすことでしょう。

    でも、年間最優秀に近いのは山中の試合ではないかな。
    バンタムとSバンタムの2試合でしたが、最も爆発的なパンチを披露したのも山中でしょう。

    長谷川の勝利は感傷の部分をはずせば順当な勝利ではないかな?

    階級が逆にみえる両雄でした。

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  13. 山中は国内開催でやる限り余程の強豪でない限り負けないでしょう。
    地元判定含めて。

    しかし採点以上にシーソーゲーム、と言うより大逆転のKO勝利に僕は見えましたがそれをモノにするのが本当の実力。

    あとは海を渡って真の実力者である事を証明するだけだと思います。

    今でも未だ海の向こうで戦えば山中を超える実力者がいると思いますから。

    長谷川は素晴らしい試合だった一言に尽きます。

    リゴンドーやドネア、グスマンには劣るかもしれませんがルイスは正統なWBC王者で、その相手から文句無しのタイトル奪取だった事に疑いの余地はありません。
    偶バツは事故でしかないし、現に長谷川も目尻を切っていたからお互い様でしょう。

    だったら岩佐や和氣、小國が勝てるのか?
    やってみないと分かりませんがおそらく厳しいんじゃないかと。

    長谷川のゲームプランも印象的でした。
    オーソドックスの左強打を封じるのに理想的な戦い方。
    最後の打ち合いを制した時の身震いが未だ忘れられません。

    結局は長谷川も西岡と同じで敗戦を糧に成長と深い味を魅せてくれました。

    僕の過小評価や長谷川への懐疑的な見方が誤っていた事を証明してくれたベストバウト。

    僕は長谷川のこの試合こそ年間最高試合に推したいと思います。

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  14. ドロンパさん

    今回もウーゴ・ルイスが大したことなかったと酷評する輩も現れることでしょう。
    現に初回のバッティングからややおとなしめで微妙な感じでしたが
    あの体格と過去試合のパンチはやばかったです。

    それに対抗する戦術をしっかり遂行してたし、パワーはなくともキレがあったので、さすが長谷川と唸りました。

    ボクサーに愛されるボクサーって事で多くの賛辞も出てたみたいで本当にすっきりしました。アモーレさんはノーコメントにしときます。

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  15. 仰られてる通り、確かに長谷川ほど数多くのハードな相手と戦ってきた日本人はいませんね。ほんと、最近の相手は皆でかくて強烈ですね…そして勝ってしまうんですからやはり天才ですよ!しかも長谷川の試合は誰よりも面白い!しかしアモーレさんは魂を揺さぶられないんですかね?あなたもプロボクサーでしょ?男をみせなさい!

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  16. れい れなーどさん

    モレノは負けたこの試合で
    なぜゴーストなのか、強いのかよくわかりましたね。
    ダウンをはじめてみたので、何か変わってしまうかもしれませんし
    試合組むのはなかなか大変な国だとおもいますが
    再起するなら応援したいですね。

    本田さんのコメントにより
    海外進出はあまり考えていなそうな事がわかりました。
    英国を出ない連中は難しいそうです。ってことは山中も日本を出ないって事。

    ウォーレンとかはビッグネームじゃないんでリスクばかりで実入りがないですね。
    パワーがあるのかよくわからないし、まだ謎の多い選手ですが、やっぱ速いですね。

    五輪はダメでも世界選手権とかは獲ってるようですよ。
    2006年はリコンドーともやってます。17-21だって。

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  17. 山中モレノ第2戦は年間最高試合は勿論、日本史上最高試合だとおもってます。今後モレノは上の階級でやるようですが誰とやっても楽しみです。グスマンには勝てるとおもってます。ドネア、リゴンドーVSモレノも堪らないです。モレノ頑張れ!!
    山中の今後はハスキンスはすぐ倒すとおもいます。マクドネルはなかなか強いとおもってます。パヤノもウオーレンもまだ実績不足でわからないですがウオーレンは過去の実績は凄いですが一度もメダル取れてないしパヤノ戦みると大振りだしスタミナないしボクシングが雑に感じ山中がアメリカに乗り込んでやるほどの選手じゃなく感じました。あの大振りは山中モレノに当たらない。マクドネルとウオーレンやるならマクドネル勝つとおもってます。
    しかしプクーさんの毎回予想適中には脱帽です。長谷川が勝って会場でブルゴス戦以来、泣きました…

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