8月16日木曜日、伊藤に次ぐ重量の貴重なスーパーバンタム級世界王者、岩佐の注目の防衛戦があります。
明らかに一発のパワー不足に感じる岩佐ですが、相手のパワーを利用して?あるいはタイミングですごいダウンを奪うシーンも多くパワーレスの体力不安なのか、パンチャーなのかわからない面があります。みんなそうですが、人生を賭けてる感の強いドヘニーの興奮を逆手にとるようなカウンターで速攻や電撃KO勝利を期待します。
https://www.youtube.com/watch?v=GM1euxCNZzQ
岩佐に関しては現日本人世界王者の中でファンの信頼が一番低いかもしれないと辛らつな事を書いたが、それは期待値が高い選手だからともいえる。こんなもんじゃないだろうと。対抗王者の方が強さが目立っているのも影響しているかもしれない。
当時の山中は仕方ないにしても、リー・ハスキンスに倒されるボクサーではなかったはずだと。
[st-card id=31199 ]そもそも、和氣をボコボコにし全KOの怖さが目立ったジョナサン・グスマンを見事に攻略した小國には左を当てまくり圧倒的な楽勝であったし、凱旋初防衛戦となったエルネスト・サウロン戦も凡戦の判定だったが、実力差は明白な楽勝であった。
岩佐の実力に疑いはない。
しかし岩佐に期待するのは、安全運転の判定ではない。世界のレベルで常に安全運転できるほどの技術的優位性もないはずだ。神のディフェンスを持つボクサーではない。センスと切れ味鋭いパンチで美しいKO勝利、決意と根性のみえるハイレベルな戦いを勝ち抜いて欲しい。
そういう期待があるからこその今の評価なのだ。
対戦相手のドヘニーに関してはこちらに紹介した。
[st-card id=20213 ]アイルランド国籍なのに、オーストラリアでキャリアを構築し、直近では移民の多い米国ボストンを拠点にしているという。今どっちで準備しているのかは不明だが、元々アイルランドのトップアマであったらしい。国際舞台ではロンドン五輪で銀メダルをとる、ジョン・ジョー・ネビンがいて上にいけなかったっぽい。
ドヘニーのボクシングを注意深くみたわけではないが、アマの下地に裏打ちされたテクニシャンにして、KO率が示すようなアグレッシブさ、パワーもあるようだ。岩佐という世界王者としては今はやや美味しい?相手への挑戦に世界タイトル獲得の可能性が高いと燃えているようでもある。アイリッシュは伝統的に根性がある。
一般への訴求は弱い試合だが、この試合が今後の岩佐を図るひとつの試金石になるだろう。
岩佐の2敗は共にサウスポーであり、サウスポーであるドヘニーはハスキンスよりは大きくパンチも重そうだ。
岩佐は高校4冠だかで、センスとスピード、テクニックが光る天才肌のスタイルだが、それだけで世界のトップをはれるレベルだとは思わない。世界には国際舞台で活躍してきたトップアマもたくさんいる。
だから、その部分をアピールして戦っていくだけでなく、王者として一皮向けた姿をみたい。小國戦のようなパフォーマンスをその他の外人ランカーや対抗王者相手にもみせて欲しい。サウロン程度の技量の相手なら、岩佐は圧倒的な技術差で勝てる。しかし山場のない判定勝利など望んでいない。あれほど技術に差があるのなら、きっちり倒しきって欲しい。
さらには、技術で圧倒していても長丁場になると相手の反撃にあい、岩佐も危ない被弾をする。打たれ強さに疑問の残る岩佐のああいう姿はヒヤリとするし、強敵相手だと致命的になる。
世界王者になってからの岩佐の試合は客観的にみると圧勝続きです。それでもファンの信頼と期待に不安があるのは、その煮え切らない、もどかしい、危うい戦い方にある。サウロン戦をみるに、強打を警戒し踏み込みが甘いのかもしれないが、岩佐に一発のパワーはない。タイミングや急所を突くセンスで生み出してきたKOだ。
フィジカル強化に余念がないというが、未だこの階級でフィジカルが頼もしい選手でもない。恐らく今回も小柄で太いドヘニーの方がフィジカル、耐久力は上だろう。重さのドヘニー。キレの岩佐。そんな指名挑戦者を持ち味であるセンスとスピード、日本人世界王者としては一番のキャリアでどう克服していくかで、統一の機運も高いこの階級に打って出ていく信頼と自信を得ることができる。
そういえば、岩佐が世界挑戦をかけて、米国で決定戦の予定があり、相手の体重オーバーにより不戦勝という形で世界挑戦できた経緯があるが、その時の相手、ルイス・ロサは交通事故で他界してしまいました。数奇な縁でもあるので岩佐にはロサの夢の分まで頑張ってもらいたい。