昨日もう一試合、ある意味面白かったのはジャレット・ハードの手術からの復帰戦でした。世界ランカーに対し本気を出せば余裕さという勝ち方でしたが、本気を出す前は作戦が上手くいかずタジタジで、決着まで採点では負けていたのでは?
IBF WBA統一スーパーウェルター級王者のジャレット・ハード(23勝16KO)は英国のジェイソン・ウェルボーン(24勝7KO7敗)を4回KOで破りタイトル防衛に成功した。
ウェルボーンは決着の4ラウンドまで常にアグレッシブに攻め、ハードをロープに追い詰め、上下にパンチを振っていった。
このままでは困ったと感じたハードは突然スタイルを変え、バックステップを止め、ウェルボーンに強襲し、ボディアッパーで彼を倒し、30戦を超えるキャリアを誇るウェルボーンを停止させた。
試合後に無敗のWBC王者、ジャーメル・チャーロがリングインしハードに詰め寄った。
ハード
「チャーロと試合をさせてくれ。もう一試合挟んでこの試合は実現する。チャーロよ、電話に出ろよ、日付を決めようじゃないか」チャーロ
「この試合は楽な仕事だ。俺はお前のベルトが好きなんだ。似合っているじゃないか、ハードは一試合挟むと言ったが、俺は今すぐだ。」今年4月にエリスランディ・ララを破り、2冠統一したハードは肩の怪我の手術を経て再起した。
この試合では220発のパンチの半数以上、118発のジャブを出した。ハード
「肩を手術して、ジャブがどう打てるか試していたんだ。ロープを背にしてもいい感触でできたとおもう。いくつかパンチを食ったけど、ウェルボーンはTV放映されていいところをみせれたんじゃないかな。ファンの苛立つ声が聞こえてきたから、打ち負かして倒すことに決めたんだ。」
https://www.youtube.com/watch?v=KTkx2wXGqTY
チャーロ兄弟というのはイカしたファッションの時もあれば、どうしちゃったのというイケてない時もある。この日のジャーメルは後者で、タキシードに赤い蝶ネクタイ姿で現れました。そのままケンカ、殴り合いがはじまりそうな勢いでしたが、お互いがコメントするとスッと引いていきました。よくできた演出です。
これなんかは似合う。青い方は欲しい。
共にPBCの手の内の選手なので、この両者の試合は2019年には実現しそうである。しかし影武者のようなアル・ヘイモンがどんな時期やタイミングを用意するかはわかりません。
ハードはアマチュアでは地域王者レベルで決してエリートではありませんが、恵まれた体格、体力、特徴的なスタイルでプロの王者に輝きました。腕と肩、ボディワークでパンチを殺す達人ですが、外すのではなく受け止めるので被弾はします。そうやって相手の攻撃をやりすごすと密着した腕からコンパクトに畳まれたジャブやストレート、アッパーで相手を潰しにかかります。体力、馬力、タフネスがないと機能しないスタイルともいえ、独特の孤高のファイターです。
チャーロはスピードと切れ味が半端ない、スタイリッシュな倒し屋です。この日のウェルボーンがチャーロであったらハードは凌ぎきれなかっただろう。パンチの切れ味や角度、スピードがまるで違います。
ハードは本来は統一王者の貫禄として、もう少し、クールでクレバーで強い、かっこいいところをみせたかったのだろうが、ウェルボーンがしつこくて防御に忙しく、状況のヤバさを感じて強引にねじ伏せてしまった印象です。
それが出来るくらいの能力差というのもすごい事ですが、それは主に体力、パワー差でしょう。
大柄で、スーパーウェルターを一掃したらミドル級の転向を視野に入れるハードですが、得意の肉を切らせて骨を断つ戦術はもう少し修正が必要です。もう少し攻撃を重視し、ロープで守る時間は最悪のピンチの時のみ、これに頼って凌いだり、横着しているようだときっといつかパンチャーに仕留められてしまいそうです。
好みの怪物君、ハードですが、怪物のような強さかというとまだ信用できないのでした。独特で面白いけど、チャーロの方が普通にシャープで強くみえますし、ムンギアの若さの勢いも相当です。
世界王者になるとスタイリストでもつくのかな、近頃はハードもチャーロも試合より髪型やタトゥーやファッションの方に目がいってしまいます。
髪型やファッションに凝ることはできても、ボクシングスタイルまでは華麗にはなれない。
このままじゃちょっとダメだろ、ハード。