昨日はボクシングマニア、特に井上という切り札のいる日本人にとり特別な時間を堪能させていただきました。ライブストリームは固まることなくスムーズに観れたので世界的にはそれほど観戦者は多くなかったのかなとおもわれますが・・・
ロマゴンVSシーサケットが、パッキャオVSハットンのように永遠に使われそうなシーン、衝撃的なKOになり、Sフライという軽量級の凄みも伝わったことでしょう。
フル動画は上がったり、消されたりの繰り返しなので、HBOの公式を貼っておきます。
さすが最大手でクールなダイジェストがすぐ上がります。
振り返り
エストラーダVSクアドラス
個人的には大差でエストラーダ。
クアドラスは体重戻しか、エストラーダに比べ大きく天性の才能では勝っており、俊敏に、自在にスイッチしイマジネーション溢れるボクシングを展開していましたが、エストラーダのボクシングは詰将棋のように的確にクアドラスの打ち終わりを捉え、角度も多彩。一発のクオリティの違いが顕著でした。
クアドラスのボクシングではラッキーなカウンターでしかダウンを奪えないが、エストラーダのそれはいつか決まるであろう説得力がありました。
こんなに技巧派だったけな?な上手さ、強さでしたが、やや小柄で、突き抜けたパワーも圧力も感じません。クラシカルなベテランボクシングに見えました。まるでマルケスのようで総合力はめちゃ高いなぁ。
井上尚弥VSアントニオ・ニエベス
いつも通り、井上は初回から積極的に手をだし圧倒的にペースを奪ってしまう。出すパンチ、ジャブのキレや威力、クイックネス、クオリティが圧倒的。この破壊的なジャブが一番の武器だろうか?様子見でガードを固める相手は益々萎縮し貝になってしまう。
ニエベスの戦い方は井上に対すると理に適っているものだとおもうが、懸命にブロックしてもダメージと恐怖は蓄積していくばかり。この戦い方ではダメなのだ。
ニエベス
「彼はとどまることがなかった。情け容赦なかった。とても力強く、とても俊敏だった。」
上手い、強いというより、モノが違うという怪物性は十分伝わっただろう。
彼をみて、「やっぱり化け物だ」とか「相手が弱いのでわからない、課題はありそうだ」などと世界のマニアでも意見が活発だが、一流選手や指導者の立場ではどう見えたんだろう?
やっぱり
「宝の持ち腐れ」
本場でやって欲しいと感じたのではないだろうか?
ニエベス相手ですが、昨日で評価はロマゴンを超えてしまっただろう。
井上の今後は恐らく、年末に日本だとおもわれる。
今まではナルバエス戦を除いて、練習でもっと強い選手相手に掴んだ手ごたえ、裏打ちがあったとおもいますが、これから対戦していくだろう相手は練習でもやった事がないような強さや技巧の選手となってくるはずです。そこが、ロマチェンコやクロフォード等、普段からトップレベルと練習しているであろう選手と違うところです。
環境、そこだけが一抹の不安といえます。
シーサケットVSロマゴン
初戦を振り返り、シーサケットの圧勝を予想したマニアの方はさすがです。ロマゴンの勝ちもある初戦でしたが、ああいう内容からの再戦は勝った方が大いなる自信と成長をみせるものなのか。準備期間が初戦より多く、ロマゴンのパンチなら食っても大丈夫な自信を感じました。
シーサケットは間違いなくファイターであり、打ち合いが滅法強いタイプで、第二のパッキャオになるには課題が多すぎるが、頑丈、屈強さは群を抜いています。
ロマゴンの勤続疲労と複数階級のツケの果てにみえますが、シーサケットも元はLフライで同体格、年齢も一緒です。ハングリー差が違ったのだ。
ロマゴンが終始不調そうな表情で、何より初戦と戦術に変化をみせなかったのが以外でした。全く同じパンチでダウンしているし。
シーサケットにとり、ガンガン打ち合ってくれるロマゴンは最高にかみ合う、大好物の選手なのだ。
それを承知でなんであの戦術なのか、本人の意地かセコンドワークの無機能か。
なので今後シーサケットが無敗の快進撃を続けていくとはおもえません。
エストラーダのクレバネスや井上のスピードと足に成す術がないかもしれません。
ロマゴンの実力やキャリア、敬意は変わりませんが、複数階級の成れの果てはこうなると、ドネア然り、ロマゴンが教えてくれたのではないでしょうか?
井上には適正階級を長く続けて欲しい。八重樫のような複数コレクターに向かう必要はない。
この日出なかった、アンカハスやヤファイ、元フライ級王者のカシメロなど、役者豊富で素晴らしい階級です。
ここを去って、メンツのさみしいバンタムに向かうのは残念ですが仕方ないのかな。