![12/30/井上拓真VSペッチ・CPフレッシュマート他](https://box-p4p.com/wp-content/uploads/2018/11/692967.jpeg)
井岡の4階級制覇をかけた戦いの前日、12月30日にこのカードが決まったようです。WBCバンタム級はラウシー・ウォーレンVSノルディン・ウバーリで決定戦が指示されていましたが、なかなか決まらずの措置だそうです。対戦相手と展望をみていきます。
WBC世界バンタム級暫定王座決定戦 12回戦
同級4位・井上拓真(大橋) × 同級2位・ペッチ・CPフレッシュマート(タイ)
ペッチ・CPフレッシュマート(タイ)
48勝33KO無敗
24歳
すさまじい戦績だが、タイ人によくあるように無名の相手ばかり。世界ランカーは皆無。デビュー戦の相手、前戦はBOXRECでもunknownと書かれています。ボクサーではないかもしれません。
ムエタイ出身のタイ人によくいるタイプとは違い、距離をとったテクニシャン型のサウスポーです。無名で雑魚戦績ばかりの相手ですが10連続KO中です。この試合は2ラウンドTKOですが、パンチは当たってません。相手が空振りしてそのまま倒れて立たないという結末です。脇が締まり、パンチの引きも速くてフォームもキレイですが、テクニシャン型といってもワンツー程度でそんなに手数が多い、コンビネーションが多彩というわけではない。
相手は悪くない気がしますが、わずか0勝1敗というキャリア。その後も負けて今は0勝2敗。どうして世界ランカーがこんな相手とやるんだろう。ダッキングが巧く、相手と比べてパワーがありますが、やっぱりワンツーと返しの右フックくらいのパターンです。筋はいいけど戦績ほどの脅威はない気がします。大きな穴もなくきれいにまとまった選手ですが、今までは全てタイだったので、敵地日本で益々手数が減って萎縮してしまうのではないか。久保隼と大森を合わせたような感じ。教科書的というのか、筋はいいけどコンビネーションのバリエーションが少ないです。
WBC世界Lフライ級タイトルマッチ 12回戦
王者・拳四朗(BMB) × 同級8位・サウル・フアレス(メキシコ)
サウル・フアレス(メキシコ)
24勝13KO8敗2分
27歳
戦績の悪いたたき上げ、雑草選手といえそうなメキシカン。井上が初タイトルを獲ったアドリアン・エルナンデス、元王者のオズワルド・ノボア、当時無敗のアブラハム・ロドリゲス(先日アンヘル・アコスタに2回KO負け)らに勝ってランク入りしている。しかし直近は1勝4敗1分と世界戦ができるのが不思議なほど。拳四朗が圧倒したミラン・メリンドにも負けている。
戦績はかなり悪いけど、世界王者や元王者など相手レベルは高く、健闘しているのでしぶといキャリアといえるだろう。小さいが腕がながいのか、距離をとって頭を振りながら的を絞らせず、長いボディなどを得意にしているようで、ガンガン攻めるメキシコファイターとはちょっと違う。まだ27歳だがベテランのような戦い方。しかしメリンドを寄せ付けなかった拳四朗のジャブ、入っても高速コンビネーションを前にしたら日本で勝ち切るのは難しいだろう。戦績よりは強い、侮れない選手とはいえるが、王者にしてはいけないレベル。
WBO世界Sフェザー級タイトルマッチ 12回戦
王者・伊藤雅雪(伴流) × 同級1位・エフゲニー・チェプラコフ(ロシア)
エフゲニー・チュプラコフ(ロシア)
20勝10KO
28歳
やはり順当に最上位のチェプラコフが相手に決まった。6歳からボクシングをはじめて、ロシア国内ではトップアマだったようだが、地域レベルなのか世界の舞台ではほとんど記録がない。
足も使うテクニシャン型だが身長165センチでリーチも短いので、パンチを当てる時は出入りを駆使してコンパクトな連打をまとめてくる。一発型ではなく連打、細かいフックを多用する。体形からフッカーだ。右ストレートのタイミングはいいが、単発で合わせる感じ。
この試合は無敗の世界ランカー同士の対戦で接戦。懐深い長身のアウトボクサーにはやっぱり苦労している。頑丈そうなので、伊藤は距離をキープして得意の右ストレートを主武器に戦った方がいいだろう。チュプラコフも十分わかっているとおもうけど。たぶん最終的にはガンガン前に出てクリンチ多めのアタックでなんとか打開してくる選手だ。この試合はアフリカンの勝ちでもおかしくない。
日本人のいずれの相手も決して安パイではないが、驚異的な選手というわけでもなく、全勝が予想、期待される。
井上拓真は大橋ジムの政治力で勝ち取った試合だとおもうので、ここをクリアして、ウォーレンVSウバーリの勝者やルイス・ネリ、カルロス・クアドラスらが絡んでくるところを目指して欲しい。
伊藤の相手はまっとうな世界トップランカーなので楽な相手ではないが、ビッグマッチを目指すならここは軽くクリアして世界に羽ばたいて欲しい。
拳四朗はいつも誰かの前座で主役の座をもっていかれる苦渋をなめているが、今覚醒して強くなっている。複数階級制覇の野望もなくライトフライ級で具志堅の記録超えを目指すと言っているのも逞しい。実は海外で評価が高まってきている拳四朗、このまま強さを追求していって欲しい。
しかしやはり昨今の統一戦の機運やスケールからして昔からの定番の世界戦でいまとなっては小粒感が否めない。