マニー・パッキャオが引退表明し、(ラストファイトが素晴らしかったので復活してもおかしくないが)
第二のパッキャオを求める声がきかれる。
三浦が年間最高試合を演じたがかなり被弾し結果は敗北、内山もアメリカデビューすることなく敗北。
センス、才能、若さを純粋に考慮するとこの2人が最有力候補だ。
20歳と23歳、この二人のポテンシャルはよく似ているとおもう。
並のランカーよりも圧倒的にスピードがあり、エンジンをあげて攻撃態勢に入ると津波のような迫力で圧倒する。
空いたところに自在にパンチが出せる、相手にパンチを先に出させてもカウンターを合わせ自分のパンチのみ効果的に当ててしまう。
小さな頃からボクシングをやっていたからであろう、体に染みついた格闘センスが抜きんでている。
しかし、まだ若さも残る。
クリス・アバロスとのテストマッチでは様子見の初回を終え、2回にマグサヨはいきなりエンジンをあげてアバロスに襲い掛かる。
パワーとスピードにのったいきなりの強襲にアバロスはもうストップ負け寸前
しかしこの回を凌ぎ3回には肉弾戦に切り替えてマグサヨを嫌がらせダウンを奪う。
白熱のシーソーゲームだったが、またしてもマグサヨが津波を炸裂させてテストマッチの強敵をストップしてしまった。
井上も序盤はいつも強打をみせて相手をたじろがせ、主導権を支配してしまう。
それで圧倒し終わらせてしまうパターンだったが、一昨晩の試合では拳を痛めたのとじっくり戦うプランもあり判定まで粘られた。
無茶をすればKOできていたがそうしなかった。最終回だけ少し欲張った結果だろう。
最終回にセコンドの指示?でボディ攻めというのは珍しい。
意地の張り合いでお互いボディばかり打ち合って余裕残しの井上が徐々に圧倒しカルモナの膝をつかせたのだろう。
年齢と2階級制覇のキャリアの分だけ井上の方がマグサヨより完成度の高い大人のボクシングができていると感じるが
本質的な部分はとてもよく似た異次元の天才ボクサーだ。
パッキャオの母国、フィリピンで一番の才能と言われるマグサヨは順当ならば今後主戦場を本場アメリカに移していくだろう。
フレディ・ローチから熱心にスカウトされているという噂だからワイルドカードジムでやっていくのかな?
マグサヨがどんな性格で英語が堪能なのかも不明だが、たぶんパッキャオの後を追うような道が用意されているはずだ。
一方の井上もWBOの至宝と言われ、今回の試合のためだけにWBO会長も観戦に訪れたほど。
現P4P最強と言われるロマゴンに勝てる逸材として世界的にも注目、期待されている。
しかしまたしても拳の怪我で今年はあと2試合できるかどうか?
今の環境でも手ごろなパートナーは多いだろうし井上を取り巻く環境は悪くはなさそうだが、そこまで期待値の高い至宝のような選手をこのまま日本に残しておいていいのだろうか?
どう考えても海外の環境の方がはるかにレベルが高く刺激的な練習が可能だろう。完璧にみえる井上の課題、修正の余地さえあるかもしれない。
マニー・パッキャオの進化はフレディ・ローチなしにはありえなかったであろう過去をみても。
大手ジムでなくとも村田より後にデビューしたアマのライバル、イエフゲン・ヒトロフの方が質も量もいいキャリアを積んでいるように
井上ほどの逸材は早い時期に海外へ羽ばたかせるべきだとおもう。
井上自身の希望もアメリカ進出、英語の勉強をしたいと言っている。
結婚もしたみたいだし、本人の意思が一番大事だが、このまま日本にいても年2試合でマスコミに大いに煽られTVで弄られ、タレント化していくだけとおもわれる。
後4年が勝負と自覚しているみたいだから一番大事なその時期に、最高レベルの環境に身を置いて欲しい。
内山のような飼い殺しにならぬためにも
自分の未来のためにも
日本ボクシングのためにも
なんならマーク・マグサヨと同じ環境なら最高の刺激となろう。
多くのホープがいるだろうし、ドネアも身近な存在になれるかもしれない。
これはマニアの妄想でしかないが
絶対その方が強くなれるよね、拳の怪我も克服できるノウハウがきっとあるよ。
最初はしょっぱいファイトマネーかもしれんけど、勝ち続けてればミリオンファイトの近道だよ。
本場だったら記録だけのために井上拓真を7戦目で世界挑戦させたりしないだろうな。
ところで、一昨晩の試合の意見、重鎮だろう森田さんですが
「俺のとは、違うなあ」
という感想です。
皆さんどうおもわれます?
試合を観戦した元JBC(日本ボクシングコミッション)事務局長の森田健氏が言う。
「メキシカンはタフなボクサーが多いことに加えて、階級の違いもあるかもしれません。井上はライトフライ級からスーパーフライ級まで、2階級を上げている。階級が上になるほど、周囲のボクサーのパンチ力も増す。確かに井上のパンチ力は目をみはるものがありますが、ライトフライ級の時ほど絶対的な武器とはなりにくい。最終ラウンドのダウンも、相手のスタミナが切れていなければ倒れていなかった可能性が高い。私個人の考えですが、井上はフライ級くらいが一番輝くかと思います」