天使の街(シティ・オブ・エンジェル)/カレブ・プラントの運命

今年最初の世界タイトル戦はアップセット、王者交代で幕を開けました。
カレブ・プラントVSホセ・ウズガテギは、挑戦者が序盤覚悟を決めて躍動し、スキルを見せつけてリードするも、体力、経験で勝る王者が徐々にフィジカル、パワーの差をみせつけて追いつめていくというスリリングなものでした。

しかし、確かなスキルと覚悟を決めた挑戦者のプラントは王者の攻勢を見事にかわして、初挑戦、無敗でベルトを奪取しました。そんなカレブ・プラントには、負けるわけにはいかない大きな理由がありました。

カレブ・プラントは4年前、生まれてわずか19カ月の娘アリアを病気で亡くした経験がありますが、世界王座を獲得したのも同じ運命であると考えています。

プラント
「アリアがいる”天使の街”(ロサンゼルス)でタイトルを獲得することは俺の運命だったのです。」

アリアは2015年1月29日に亡くなりました。2歳の誕生日を迎える4カ月前の事でした。彼女は肺炎から発展した呼吸器感染症という稀有な病気と戦っていました。1日100回以上の発作に苦しんでいました。

彼女の容体の変化に伴い、プラントは試合を中止せざるをえなかった経験もあります。

しかしロンドンオリンピック候補であったプラントは娘の名誉のために、戦いを辞めることはしませんでした。ランクを少しづつあげて遂に迎えたホセ・ウズカテギ戦は、当初2018年の夏に予定されていましたが、手の故障により延期されました。その間、彼の忍耐力はテストされました。

PBCとFOXで中継されたこの試合ではプラントのサイドストーリーやアリアの勇敢な生を紹介しました。プラントの肩にあるタトゥーには天使が描かれています。天使は予想を覆し、アンダードッグのプラントに勝利をもたらしました。

プラントは4回までにウズカテギから2度のダウンを奪いましたが、バッティングによるカットや後半の疲れで中盤以降大いに苦しみましたが、なんとか克服しました。最初の6ラウンドを全て制し、長年のトレーナー、ジャスティン・ギャンバーの指示を忠実に守り抜きました。

プラントはテネシー州メンフィス出身のトーマス・ハーンズが、5階級制覇をかけてバージル・ヒルを破って以来、テネシー州出身でメジャータイトルを獲得した王者になりました。

もちろん、偉大なトーマス・ハーンズに肩を並べたというつもりはありません。

プラント
「俺がボクシングをする限り、ゴールは常に誰かをインスパイアすることだ。自分のキャリアをみている人に言いたい。俺ができるんだから皆も出来ると。アリアはいつも俺を見守ってくれた。俺にはそれができると毎日言ってくれたんだ。」

https://boxvideo.sports-web.net/premier-boxing-champions/10166

事前に観た動画通り、カレブ・プラントというのは卓越したスキルとスピードを持つ一流のファイターでしたが、懸念通り、スーパーミドル級ではフィジカルに不安が残る面をみせました。より大きな対立王者、カラム・スミス、ヒルベルト・ラミレス、デビッド・ベナビデス(はく奪)らに比べるとまだ新米の一番下の王者といえるでしょう。カネロがターゲットにしそうな王者といえるかもしれません。

しかし彼には、戦い続ける、勝たねばならぬ、格別の理由がありました。
その決意がある限り、今後もさらに進化したカレブ・プラントを魅せ続けてくれるでしょう。
クールなテクニシャンです。

おめでとうございました。

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