ギジェルモ・リゴンドーVSノニト・ドネア

個人的には究極のP4Pの戦い、結果はリゴンドーがドネアをスピードと勘で上回った、アマチュア史上最高の実力を発揮しました。

「ドネアをしても格の違う引き出しを持っているのであった・・・そんな試合を期待します。」

そんな記事を以前書いていたがその通りになりました。
やはりアマチュア最強、抜きんでた存在のリゴンドーは勝ち方をよく知っている、そして唯一、ドネアより速く勘もいい、つまらないけどP4P認定せざるをえない実力者でありました。

初見の人にはわかりにくいかもしれませんが、この試合は普通の世界王者とも次元の違う、スーパー天才同士の極限の戦いであり、だからこそ手が出ない、歯がゆいシーンも多く見られたのでしょう、戦ってる者同士、今までの相手とは反応が違うと警戒しまくりでした。

序盤で主導権を取れないドネアをはじめて見ました。
ドネアより反応が速く、シャープなパンチを浴びせるリゴンドー

その後は手を出せない、警戒しすぎるドネアに付き合って自分も安全運転にシフトし、最後にドネアが出てきたらお付き合い、危険を犯せば倒せたかもしれない、キャリアと引き出し、余裕を感じさせる、ポイント以上に差のある両者に映りました。

ドネアにとっては自分より速い、上手い選手は初めてだったろうが、リゴンドーにとっては金メダルを取る上で負けられない相手の1人との戦い方、オプションのひとつという戦い方だったのだろうか、追いながらも手を出せないドネア、ジャブを打てないドネアというのは初めてでありました。
最終回に逆にリゴンドーに押されてしまいましたが、あんなにガードを高くしてダメージ気にするドネアも初めてみました。

勝ちに徹すれば鉄壁という点でリゴンドーは12戦目にしてもうP4P、フロイド・メイウェザー、アンドレ・ウォードと並ぶ、塩分たっぷりだけど次元の違うスタイルの確立者としてプロのトップに躍り出ました。

しかし、心憎いほどに自分を貫き、ブーイングも下さないそのスタイルは人気者にふさわしくない。
たぶん相手がドネアでなければもっと派手なアクションもできるのだろう。
やれば派手な勝ち方も圧倒もできるのに無理をしない、だからこそ負けないのであろう。

この男は超格下以外は必ずポイントリードしても中だるみというか、相手を泳がす時間を作る。
100%勝てる瞬間まで待って相手をいらつかせる。

10ラウンドには意地のダウンも奪ったドネアの方がファンに愛される人気者である事は変わらず。
軽量級の超スターに勝ったリゴンドーは今後誰とどんな試合をするのだろう?

資格があるといえるのは

アブネル・マレス
アンセルモ・モレノ
実績のある長谷川穂積
レオ・サンタクルス
山中慎介

であると言えるのかもしれない。
しかし、勝敗の興味は薄れるだろう。
その他は単なる格下のボーナス、チャレンジマッチでしかない。

唯一、アレクサンドル・バクティンだけは期待できるポテンシャルがあるとおもっているが、誰がこの人を知っている?
いくらのファイトマネーにもならない静かなマニアックすぎる試合となろう、相手が誰もいない限り実現する見込みは低いとおもわれる。

プロボクシングを愛するものとして、これでいいのか、一抹のさみしさを感じる結果となってしまったが
アマ国内レベルの日本人やリゴンドーに歯が立たないレベルの世界アマが続々とプロの世界王者となっている現状では

一度も負けられないアマチュアの頂点を絶対的に支配してきた男の方が上
最強はアマチュアの頂点である

と言いきっていいような気がします。
(かといってスタイルに偏りある村田を現状ゴロフキンやマルチネスより上に評価している訳ではありませんが、少なくとも絶対王者級であるゾウ・ジミンあたりは井岡や井上より上であろう。)

負けがつくと評価も見方も変わってしまうけど、ドネアはこの経験を経てさらに強くなって帰ってきてくれるとおもいます。
階級を上げるのでしょうか。

今回の試合も階級アップを視野に入れ、リゴンドーより増量してパワーで倒してしまおうという意図を感じましたが相手が悪かったとしか言えません。

アマチュア完全解禁となるとボクシングの勢力図はガラッと変わってしまう可能性があります。
感慨深いと共にプロ<アマとなると興味失せる部分もあったりして・・・

夜中に細野VSジョンがありました。

結果は負傷ドロー

手数、上手さはややジョンでしたが、以外と細野にかみ合う拮抗した試合で消化不良の結末。
再戦あるんでしょうか。ジョンは少し修正せざるを得ないでしょう、あるいは細野は嫌だと逃げるかも。

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コメント一覧
  1. moonさん

    負けたら全て失うリコンドーですし
    アマでずっとそういう立場でトップに君臨してましたからね。
    打ち合わないのはイライラしますが、まぁ仕方ないよなぁ
    とおもってしまいます。

    スケートは僕には基準が全くわかりません。
    美人が有利とはおもいます。

    初心者ボクシングファンさん

    リコンドーファンって少ないでようから
    一緒に応援しましょう。

    試合は接戦だったとおもいますが、リコンドーにはまだ余裕があるというか
    ドネア相手でもスピードもディフェンスも上だなと感じました。
    どんな相手でも上回る戦い方が出来る男でしょう。

    sssdcさん

    確かに究極のボクサーなのかもしれません。
    突き詰めれば、KOなんて出なくなる競技なはずですし。

    彼が負けるとしたらダーティー絡みかなぁとおもいます。
    チューがハットンに負けたようなレスリングの試合とか。

    なんとなく、相手がいず、フェザーのガルシアとやるかもな流れですね。
    ガルシアもいい選手なので興味深いです。

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  2. リコンドーはアマ当時、日本で無敵の辻本が10代の選手にまったく歯が立たなくて、
    世界は広い、そしてキューバなので、プロになれないもんかなと思っていました。
    今回、面白いボクシングではないけれども、ある意味、究極のボクシングを見た気がしました。

    ドネアは、観客の期待に応えようとするプレッシャー分、判定の勝敗のつく試合は、
    リコンドーに対してはハンデなのかなと思いました。

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  3. 初めて投稿します。
    ドネア対リゴンドー、手に汗握る試合すごく良かったです。

    日本の報道や放送だけでは絶対知ることはなかったであろうリゴンドー。ドネアも本当にここ最近知りました。

    このサイトで本当のボクシングを教えてもらいました。

    ドネア対リゴンドー対戦が実現することはないと思っていたのにすると聞いたときにはドネア男だな!って思いました。

    試合はドネアがどこかのラウンドでリゴンドーを捕まえられるかなぁ〜って少し期待しながら見てましたが…

    リゴンドーの強さを改めて感じさせられました。

    ドネアを前にしてあのステップワーク、ハンドスピード、ダッキング、スウェー、ブロック、そしてなによりあの当て感とカウンター…正直こんなにすごい怪物だったなんてって思いませんでした。

    リゴンドーダウンしたそのあとのラウンドのまとめ方凄かった。

    再戦ちょっと期待します。

    リゴンドーこれからも応援し続けます。
    たとえ干されても!

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  4. 1〜2回を観たらリゴンドーが打ち合いに出たので早いKO決着かと思ったのですが、3回以降はヒット&アウェイ戦法に。
    ドネアもカウンター警戒でなかなか打ち込めずの展開。
    打ち合いが好きな米国のファンはブーイングです。
    リゴンドウーは勝つ為に最初ドネアを脅し、後はコツコツという戦法でした。
    プロなので、ランナーが出たら即送りバントの様な戦い方ではつまらないですね。
    ボクシングもフィギアスケートや体操と同じ採点競技(勝敗を着ける上での)という事がヒシヒシと伝わった一戦でした。

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  5. borokabuさん

    ドネア好きですがボクシングに対しては公平なので
    リゴンドーも好きですよ。

    僕はむしろ人気者より隠れた実力者、不人気でも実は強い人が好きです。
    ドネアにとってはショックだったでしょうね、自分より反応速度が速いやつがいるなんて。

    dog1wanさん

    また見つけたら貼り直しておきます。

    五輪 金 太郎さん

    リゴンドーの方がプランがあったようにおもえますね。
    数々の経験の中でドネアタイプに勝つプランのひとつだったとおもいます。
    前半ポイントとって中盤じらせて、後半は相手につきあうだけという。
    誰よりも速く経験豊富だから成せる技だとおもいます。

    野上のタケさん

    わずかな差だったとはおもいます。
    この二人が図抜けていることだけはわかりました。
    リゴンドーくらいアマの巨人だとプロでも即頂点クラスですね。
    しっかし性格が謎すぎる。
    金稼いで何したら笑うんだろう?

    カイチョさん
    人気者同士ですからね。
    でもロペスは肥満児なのでよほど調整しないと無理でしょう。
    かつてのスターが雑魚になりかねません。

    ドネアは長谷川もリスペクトしてました。
    俺が俺がじゃないところがいいですね。

    この二人は別次元とおもいますが山中も長谷川も他に相手がいないだけに
    対戦候補にチョイスされるくらいの実績だとおもいます。

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  6. ドネアがフェザー転向でファン・マヌエル・ロペスと試合するといってますね。
    この試合でも$0.75Mのリゴンドーに対して$1.32Mとドネアは倍近く稼いでいます。
    このまま億万長者まっしぐらですかね〜

    試合前のインタビューで最近の対戦を振り返っていて西岡をHARDEST FIGHTERと評しているのを聞いてやっぱり好きになっちゃいました。
    反対にリゴンドーが長谷川、山中と試合をしたら?
    きっと嫌いになっちゃうかも。。。。

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  7. 最初は試合を公平に見ていました。
    しびれるような試合でした。
    後半から、”ドネアいけぇー”と
    心から叫びました。

    リコンドー黒い悪魔です。
    世界一のヒール確定です。

    ここ数年、自分の中で最高潮であった、
    スーパーバンタムが輝きを失いそうです。

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  8. あれだけ序盤の差し合いで
    主導権を握り
    しかも
    強烈な左も的確にヒット!
    それでも
    プランを崩さず
    あの戦術を徹底できるって
    むしろプロっぽいデスw

    年齢的にもロスしたくないし
    ドネア自体既にBigネームなんで
    勝ち=Bigネームの
    仲間入りって思います。完勝だし

    興行となると元々軽量級は難しい訳で
    かと言って流行の階級移動で
    スターを目指したら
    あのクオリティーは難しい
    とりあえず
    再戦を熱望デスw

    リゴンドーはアマでもトップ中のトップ
    ドネアもプロのソレだと思いマス
    ルールもラウンド数も違うので
    向き不向きソレゾレあると思いますが

    図抜けたレベルにあれば
    どちらに居ても
    トップに君臨って感じデスよね

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  9. ボクシング好きでプロ顔負けのプクーさん、他皆様がこれだけのコメント・・・ドネアのファンなのですね^自分もドネアが米国のみならず日本のファンを大事にしている所、素晴らしいと思います。ドネアは元々フライ級の選手です。勿論、パッキャオの様にフライ~Sウェルター迄、制する超人もいますが、4階級目の統一戦で倒しに行って大振りし過ぎ、かなり冷静さに欠けた感じもしました。ナルバエス戦での塩試合がトラウマになっていたり、人気者としてブーイングに耐えられなかったり^それでなくとも軽量級軽視の米国ですから、焦りもあったと思う。ボブアラムのコメントでは、リコンドーはこういう戦い方をしていたら扱わないような事も言っていますし、自分の予想ではアラムに潰されると思います。反対にドネアはフェザー級でもチャンピオンになるでしょう!幾らボクシングが巧くても米国市場には勝てません絶対に^

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  10. キューバンウォッチャーさん

    アマ>プロ
    というのは僕の偏見です。

    向き、不向きのスタイルも当然あります。

    普通のアマの世界王者、特に勢いで金とったレベルでなく、連覇や総なめにしてるレベルの選手に限っては、負けない戦術が色々あってプロより上だなぁとおもうわけです。

    日本のトップアマもゾウ・ジミンのテンポ、スピードは次元違うとか言ってましたし。

    村田やガンボアはその大会で戦術がはまった、勢いや運も味方につけた、その程度の金ではないかと。

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  11. 序盤にリゴンドーから近距離の差し合いを仕掛けてドネアを完全に封じたことが一番の驚きでした。
    足を使ってドネアを誘い出せればリゴンドーのペースだとは思っていましたが、まさか相手のゾーンに入っての先制攻撃でその後の展開を決めてしまうとは。恐るべき自信のほどと、客観性。

    ただ、トップアマ>プロという比較はあまり意味があるとは思えません。borokabuさんも書いているように、強い選手はアマでもプロでも勝てるというだけの話ではないかと。それに、アマで強ければプロでも相応の力を発揮できる可能性は高いですが、トップアマの失敗例も数知れません。ゾウ・シミンが破れたアテネで金だったキューバのバルテレミは10戦しないうちに6回戦レベルのラフファイターに負けて以降、再浮上しませんでした。シミンも、先日のデビュー戦を見る限り今後はなかなか厳しいように感じました。村田に至っては現時点で何か言うことも難しい気が。

    リゴンドーはアマ、プロ関係ない、稀有な才能、例外的な存在でしょうね。

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  12. borokabuさん

    序盤のようにビリビリのカウンター合戦もできるし
    キレもタイミングもフォームも最高なんですが
    結局計算して戦ってますよね。
    スタイルを変えて勝ちに徹する。

    それだけ負けられないアマで結果出してきた選手なので
    相手に合わせ、いかようにも勝ちパターンがあるのでしょう。

    タイソン、トリニダードみたいな選手、ドネアもそうですが
    そこまで考えないで、ナチュラルボーン倒し屋、勢い、才能だけでやってこれたんでしょう。

    ブリブリボクシングファンさん

    バクティンの情け容赦なきリンチスタイル
    全部避けて自分だけポンポン当てるスタイルとの試合、見てみたいです。
    あれをリゴンドーがどう捌く、逃げるのか???

    でもスタイルの幅はリゴンドーですよね。
    バクティンはいつも同じ手数と正確性で圧倒ばかりなんで。

    観てみたい筆頭試合ですが、ファンがついてこれないのでは?
    マニアックすぎで。

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  13. リコンドー勝ちましたね。さすがだけどやっぱりなんか寂しさが
    残りますね・・・。
    リングという空間を誰よりも把握してるんでしょうね。
    わかってるけどバクティン戦見たい・・・。

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  14. リコンドーがドネアを塩ずけ勝利しましたね^ただ昔から、アリ、フォアマン、フレイジャー、レイナード、今でもクリチコ兄弟、皆、アマの金メダリストです。(アンドレ・ウォードも確か金)ウーン、アマ出身でも、面白い選手、相手を叩きに行く選手もいますし・・・リコンドーは現共産国から来たから特別頑固なのかもです。メイ以外の塩ずけ選手、ウォードもリコンドーも米国でチケット売れず(500枚未満)、大手テレビ局は応援せずです。こういうタイプがボクシング界を牛耳ると冗談抜きでUFCに客は流れますね^自分は古いかも知れませんが、タイソン、トリニダード、みたいな倒し屋が好きです。そんな意味ではスタイルこそ違いますが、ドネアは軽量級の希望です。リコンドーも相手がいないのでフェザーに上げて来るかも^案外、ガルシアがジョーカーかも^

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