大晦日のマカオ、井岡VSニエテスではなく京口にスポットを当てた記事の紹介です。舞台はマカオですが、この試合は昭和の日本でよくあったようなオールドクラシカルなわかりやすい試合といえるのではないでしょうか。
大晦日の格闘技は日本人にとって恒例行事です。今年は香港から続く珠江デルタ沿いの元ポルトガル領「アジアのラスベガス」マカオで3つの世界戦が開催されます。休日を過ごす日本人へのプレゼントです。
IBFミニマム級の王座を返上した日本の京口紘人はWBAライトフライ級王者のヘッキー・ブトラーに挑みます。
京口
「自分のキャリアではブトラーは過去最強の相手です。」ブトラーが京口のジムメイトである元統一王者の田口良一に勝ったことを考慮するとそれは正当な評価です。
京口
「田口さんはブトラーにどうやって接近すべきかアドバイスをくれました。もちろん、あの試合を踏まえて僕なりに戦います。年齢は関係ない。」経験豊富で年上のブトラーは京口に今まで経験したことのないボクシングIQをもたらすだろうが、京口はブトラーより5歳若く、既にミニマム級の王者という実績もあります。
京口はこの試合でノックアウトを狙っている。11勝のうち8KOの京口に対しブトラーは35試合中KOは10です。パワーの利は京口にあります。この試合に勝利し、京口はライトフライ級の統一を目指す。必然的にWBC王者の拳四朗がターゲットとなる。
京口VS拳四朗、日本ではビッグマッチであろうが各々のTV局の契約を考えると実現は簡単ではない。しかし先週、両者はスパーリングという形で共演を果たしファンを喜ばせた。
スパーリングはお互いにとって有意義なものであり、将来の対戦につながるものだろう。京口はこのスパーでも拳四朗に対しアグレッシブだった。このスパーを経験し拳四朗陣営が将来の対戦についてどうおもったかはわからない。
京口
「拳四朗陣営は何ともおもっていないでしょう。スパーリングと実際のファイトは全く違いますからね。」将来像を描きつつ、直前に迫ったマカオの試合に焦点を合わせている京口
京口
「マカオでの試合が楽しみです。日本では大晦日に格闘技を楽しむ文化があります。これは私を含む全ての格闘家が、日本のファンにアピールするチャンスなのです。ブトラーのベルトを奪うため、全力を尽くします。」
一発の怖さのないブトラーよりも、同じ南アフリカから試合枯れを懸念されるベテランのモルティ・ムザラネも参戦し、日本の坂本と戦います。こっちの方が個人的には観たい試合なのですがTV中継はされない模様です。(ダイジェストで少しだけやるかな)
ブトラーと京口の試合は互いに王者経験者同士ではありますが、昔の日本人のよくある世界戦。若くパワフルで勢いあるホープが、ベテランテクニシャンをその勢いのままに突破できるかというシンプルなものといえるでしょう。
機動力とトリッキーさが武器のブトラーを捉えるために、京口はブルファイターのごとくプレスをかけて左ボディを狙っていくだろう。そうとわかってブトラーはキャリアとセンスで巧く立ち回るのか、それとも力強いアタックに屈するのか・・・
田口に対しても、運動量、手数はブトラーが上でした。序盤飛ばしに飛ばしてペースを掌握しました。ブトラーが京口のプレスに下がってディフェンスばかりというのは現実離れした話でしょう。そんなに甘くありません。
京口はミニマム級では重厚で、いい選手なようにみえましたが、強豪との試合は実現せず、全容を図りがたいのが実際のところです。彼が、大先輩の辰吉がグレグ・リチャードソンを破った時のようなパフォーマンスを発揮するのであればホンモノです。善戦空しく空回りさせられてしまうなら、現状はそこまでの選手という事だろう。
対戦経験者の田口を身内に抱える京口陣営の方が事前対策は有利です。
ブトラーの変則を踏まえ、リングIQを駆使したアイデアあるアタックが必要です。がむしゃら、根性だけでは無理でしょう。捉えどころのないブトラーを得意の展開に引きずり込んで、撃破してもらいたいものです。