そして虚脱/井上尚弥VSルイス・ネリ 他

楽しみにしていただけに、その後の虚脱感が半端ないのが井上尚弥の試合後です。もうおもいのたけは存分に書いたけど自分の頭の中を整理

井上尚弥 vs ルイス・ネリ

初回に井上がダウンしたので面白い試合になりました。
マクドネル戦と同じく、いつもより「怒」モードの井上は最初から強振し、問答無用にKOしてしまう、そんな決意に見えました。しかしまさかのダウンを奪われた。おもえばルイス・ネリも初回が強く、カルロス・カストロ戦なども初回からダウンを奪っていたような。井上が攻めにはやるから応戦した故のダウンにみえました。

しかし冷静にカウント計算して再開した井上は2回で既にダウンを奪い返し、ポイントをチャラにするとそこからは鬼人のごとく。

ネリもよく応戦したのかな?両者にはスピードと破壊力のエンジンレベルが違うようで、顔面でダウン経験のないネリがストンと落ちるようなショートの左フック2度、最後はありえないような右アッパーからの右ショートでネリをグニャリとはべらせてしまいました。

あれをニュースでは右ストレートと書いてありましたが、違うなぁ、ドツキみたいな右でした。
右右を何度か披露してましたが、あれを武器に出来るボクサーを他に知りません。

4回にはネリを挑発していた井上ですが、もう見切ったが故の余裕だったのでしょうか。

面白い試合でしたが、両者の実力差はかなりあったようにみえました。

いつもよりKOモードの井上はやや雑でしたが、圧倒的に速く、パンチが強く、この階級でも抜きん出ています。漫画のような凄まじいKOシーンを連発するという意味でクロフォードを抜いてP4Pナンバーワンでよく、それでダメでも人気ではナンバーワンでしょう。マニア向けじゃない、誰もが驚愕のパフォーマンスです。

次がどうやら日本でグッドマンのようです。サウジやオーストラリアはどうなったのだろう。もはや日本が軽量級のマーケットになってしまったのかな。ずっと日本だとまた一部のアンチが出てくるだろう。

グッドマンはライース・アリーム戦がベストバウドだとおもいますが、アリームがどれだけ強いのかわからないので難しいところですが、TJドヘニーも一方的に破っています。ジェイソン・モロニーみたいな選手かなと想像してましたが、モロニーが陥落しちゃったので上位互換ということにしておく。

ジェイソン・モロニー vs 武居由樹

武居すごいな、と同時にモロニーこんなもんだったっけ?と感じてしまいました。
得体のしれない武居の査定に時間をかけて攻略法を見出していく作戦だったのか、迷っていたのか、私がトレーナーであれば武居の穴は接近戦だとおもうのでゴリゴリ削り、潰しにいくというプランを立てますが、ラストラウンドだけで手遅れでした。

しかし、武居のポジショニングやパワーがやばくてそれが出来なかっただけなのだろう。
戦術次第でもったいない敗北でした。

次はレイマート・ガバリョが指名挑戦者らしいが、結構前に出てくるパワーファイターです。
日本の比嘉とかも武居とはスタイルマッチになるだろう。
堤も左右スイッチしての踏み込みが素晴らしい選手です。
武居相手にはおもいきった踏み込みが出来るかどうかだ。

武居の今後に注目です。

井上拓真 vs 石田匠

オッズで不利な挑戦者の石田が初回に得意のジャブで王者からダウンを奪う立ち上がり。
まだ序盤だし、ダメージのあるダウンではなかったかもしれないが、序盤に相手を威圧してしまうくらいの勢いが欲しかった。

得意のジャブを軸に技術戦をしていても、パンチが多彩な拓真の方が見栄えが良くポイントをズルズル失う形となった。

カリ・ヤファイに負けて7年もの苦節を経て、ラストチャンスかもしれない試合だったので、石田のポテンシャルに期待したが、やはりどこか7年前と同じであった。

大橋ジムには井上拓真、武居由樹と二人のバンタム級の世界王者が揃った。かつてこんなことは日本であっただろうか?
序列はどうなるんだろう、練習はどうするんだろう、統一戦はしないよね。

ユーリ阿久井政悟 vs 桑原拓

苦労人ぽい阿久井を応援し、確かなる実力も備わっていたのでその通りの結果となったが、桑原もいい選手だ。
ステップ、アームブロック、ショルダーブロック、スリッピング等、海外のカッコいい選手の技を色々取り入れているんだなと感じたが、重厚な阿久井が相手では押し込まれているようにしか見えない。

桑原という選手は技術もセンスもあるので、もうちょっと地に足つけたオーソドックスなスタイルでいいんじゃないか?阿久井よりセンスは上だろう。岩田翔吉っぽいのだ。かっこつけなくていいからもっと筋金を。

逆に阿久井は重厚で的確で軸のしっかりした太いファイトが出来る選手だが、愚直で単調にもみえ、一個下の寺地の方が強いかなと感じてしまいました。
初防衛を乗り越え、今後に期待します。

バンタム級の4人の世界王者が全部日本人になりました。
今、なんとなく計算するだけで日本に10人の世界王者がいるのかな?
アメリカを抜いて世界一だろう。

下からSバンタムまでという見事なまでの軽量級王国ですが。

日本バンタム級ウォーズがそのまま世界ウォーズになっちゃいましたが、どんどん実現して欲しい。

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コメント一覧
  1. ガバリョ、健文トーレスにまさかの2ラウンドTKO負け…

    武居の次戦は誰になるんでしょうね

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  2. 最高に盛り上がったしネリのキャリアもかなりのものでしたが、6回で3度ダウンで終わりってなのは実力差があるってことで、狙いすました井上のパンチが気持ちよくヒットした。スタイルはあれどフルトンやタパレスの方が手ごわかったんじゃないかな。

    グッドマンかぁ、盛り上がる相手がいなくなりましたね。

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  3. もともと実力差はあったのさ。そんなのいまさらだろう。ところが出会い頭にダウンを奪われて親衛隊たちはあせったのさ。失神せずによくもにこたえられたなと。

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  4.  井上もダウンすることがある。人間だからミスもある。神格化した信者がもちあげるだけもちあげてたわりにはダウンした時の信者のあわせぶりようはうけた。あと本人はきいてないといってるがあきらかにきいてる。きいてなければすぐにたつはず、すぐにたたなかったのはダメージを回復させるためにたたなかった。それは本当のことをメディアをとおしてファンにきいたとはいえんよ。

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    • すぐに立つと朦朧した部分もあり、一気に止められる可能性もあるから、わざと時間かけて、気持ちをリセットしてカウント聞いて立った。賢いな。効いてないならすぐ立つはずなんて乳幼児の意見かよ。

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  5. 武居が戴冠したことで、天心も王者になると確信できました。
    天心の方が武居より速いし上手い。

    でも天心はたぶん、ゲイリー・ラッセルとかシャクール系でしょう。

    パワーは井上や武居に及ぶべくもない。亀3みたいなもんでしょう。
    TKOしても相手が倒れたり効いたわけじゃないという。

    速さとタイミングで倒れちゃったみたいな。

    世界王者にはなりそう。
    村田と同じ電通の力で。

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  6. マニアの皆さんの意見がありがたいです。

    井上だけじゃなく桑原論まで語ってくださるとは。

    井上は火力、馬力の次元が違いますね。みんなスクーターなのに井上だけレース仕様みたいな。

    阿久井VS桑原は阿久井を応援しつつ、常に劣勢な桑原もいいボクサーだなぁ、どうすれば勝てるかなぁという目線で観てしましました。

    とても才能がありますよね。

    桑原が目指すはメイウェザーではなくアズマー・ネルソンだよとおもいました。

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    • もし桑原があんなに足使わないで打ち合いしてたとしたら
      パワーは阿久井だけども、精度とディフェンスとスピードで、勝てるか接戦になってた気がします。

      やっぱり阿久井のパワーがごついから、当て逃げで勝つつもりだったのかな。
      根性みせたから今後は応援したい選手になりました。

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  7. このサイトの何かの記事で誰かが書いていましたが

    井上の弱点がわかりました。

    正々堂々戦ってくれるので、悔いなき勝負が挑めます。

    井上の方が速くて上手くて破壊的ですが、一か八かで勝負できます。

    クロフォードとかウシクはやりづらいファイトをします。

    井上はメチャ強いが、やりやすいです。

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  8. 井上チャンピオンは、入れ込み過ぎ感があった。ダウン後の冷静さと立て直しはやっぱり人外レベルだと思います。モロニーに関しては、同じ印象で、もっとスマートにやると思ってましたが、想像以上にサウスポー苦手だったんだろうなーという感想とちょっと残念というかチームのフォローの問題なのかなと思いました。とにかくジャブが少なすぎた、それはサウスポー対策がなされてなかったからだと思う。

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    • WBSSのロドリゲス相手にはあんなにゴリゴリやれたのにね。井上尚弥には完敗したがもっとスマートに戦えてたのにね。

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  9. 無駄を削ぎ落した阿久井と、いろんなもの盛って盛って盛りまくった桑原。
    正直、倒されずに済んだだけよくやったと言えるほど、スタイル的に相性最悪だったと思います。
    結局は初戦の倒されっぷりが、両者の力関係をそのまま表してた。

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    • 桑原は誰が専属トレーナーなんですかね。
      八重樫とかなら、その違いがわかり、才能豊かな桑原を良い方向に導いていけたとおもうんですがね。

      桑原はシンプルに井岡のスタイルを模倣したら強くなると思う。

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  10. 井上尚弥という真似のできない先輩がいるのは置いといて

    桑原は寺地のようなスタイルになればよい。

    ステップワークは奥の手にしておいて、逃げないでガンガン打ち合うスタイルにして、それでも厳しいようならアウトボクシング。

    才能はあるしディフェンス勘もいい。

    かっこつけすぎで無駄な動きが多くてもったいないよ。

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  11. 阿久井と桑原は対照的すぎるんですよ。

    野武士とアイドル

    石原軍団とジャニーズ

    なんですよ。

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  12. 武居はお見事でしたが、私は根っこからボクサーである堤聖也や比嘉大吾を応援したいです。距離を克服しちゃえば武居は攻略できるでしょう。

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  13. モロニーは恐ろしいほど左が苦手のようです。スパーリングパートナーを務めた堤他3人の話をバレンタイン氏のYouTubeで見ましたが、オーソドックスの選手とやる時とは別人のように戦い方すらわかっていないってことのようです。

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  14. ネリは顔面でダウン経験がないと書かれてますが、格下相手に何度か顔で倒されてますよ

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  15. 速くて威力も凄まじいから誰も止められないし、打たれ強い選手でも関係なく倒れてしまいますね。

    弾かれっぷりが他のボクサーのパンチとまるで違う。

    グッドマンも確かにまとまりがあり強いですが、ハンドスピードと衝撃が段違いなので、あっけなく吹っ飛ばされるでしょう。

    誰とやっても、タンクとサンタクルスくらいの威力の差を感じました。

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  16. 6回にネリに自由に打たせて全部ブロックして、さあ今度は俺よとボコボコにしてフィニッシュ。これが二人の実力差

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  17. フィニッシュパンチが凄すぎて何度も観てますが、ネリの連打を全部ブロックした後に、次は俺の番ねと連打を打ち、1分58秒、右でネリの顔面跳ね上がり、たぶん、これが効いたね。

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    • この回の攻防で心身共に、ネリの心が折れた。
      挑発されて自由に打たせてくれて、何倍返しもされて。

      井上の挑発を下品と言う人もいるみたいだが、あれは心理戦だよ。

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  18. 今回の立ち上がりが雑だったのは、34年ぶりの東京ドーム開催でメインかつ相手が因縁のあるネリだったため、精神状態が普通ではなかったからでしょうね。

    流石にフェザー級に上げてこういう戦い方はしないと思いたい。
    ベナド相手だったら初回のアレで終わってしまう。

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    • 全体的に雑だし、腰が高いままだったね
      ドームみたいなでかい会場だと、井上ですら緊張してああなるんだなあ

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    • しかしきれいに丁寧に戦うより
      スピードとパワーで序盤から威圧しちゃう方が
      結果的には楽に勝てちゃうんですよね。

      ナルバエス戦のように、初回でやべぇっ、エグイって思わせちゃうのは戦略だとおもいます。

      きれいに丁寧に長丁場戦うと

      アクシデントがあるからね。

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