
今のカシメロには揺るぎなきオーラがあります。(電話越しからカシメロのパンチの音が響き渡る)今この瞬間、全ての心痛も過去の浮き沈みも全く問題ありません。唯一問題があるとすれば、英国、バーミンガムという舞台だけです。
ジョンリエル・カシメロはここ10年のフィリピンで最高のファイターの一人だ。2階級を制し、WBOの暫定バンタム級を含めると3階級制覇だが未だに認知された存在とはいえない。
多くの試合を故郷から遠く離れたアウェーで行ってきた。カシメロはロードウォリアーであり、TV向けに作られたファイターではない。それ故に人気も知名度も低いが、カシメロは過小評価されている自分の立場を受け入れている。
カシメロ
「私はまだフィリピンでは評価が低いですが気にしません。それが自分のモチベーションになるし人気など気にしない。」今週の土曜日にバーミンガムでWBO王者のゾラニ・テテを破れば、同胞のマニー・パッキャオ、ノニト・ドネア、ドニー・ニエテスに続いて3階級制覇の王者となり、レイテのオルモック出身のカシメロの知名度は増すことになるだろう。
ショーン・ギボンズ
「カシメロは海外で多く戦ってきたので、フィリピンでは人気も知名度も得ることができませんでした。何度かすごい実績を残してきました。セサール・カンチラを破った時、チャーリー・エドワーズを破った時など・・・それでも決してブレイクすることはありませんでした。」2017年のジョナス・スルタン戦、2015年のアムナット・ルエンロン戦(再戦でノックアウト勝利)などいくつかの挫折もあった。
ギボンズ
「過去の全ては清算し、11月30日こそがカシメロの新たな始まりになります。ジョンリエルはパッキャオに次ぐフィリピンで2番目に優れたファイターになります。」カシメロはバンタム級の難解なパズルに対処する。ゾラニ・テテは身長173センチ、リーチ183センチのサウスポーで、距離が遠く懐が深い。カシメロはテテの距離を克服しインサイドで自分の道を切り開いていかねばならない。さらにテテは2年間ベルトを保持し続け、かつてはIBFスーパーフライ級の王者でもあった。WBSSに参戦し初戦を突破したが、準決勝の直前に肩を負傷し辞退、1年以上のブランクを経ての試合となる。
ギボンズはテテのことをよく知っている。過去にテテが負けた試合をマッチメイクした経験がある。(ロベルト・ソーサ戦、アルベルト・ロサス戦)
ギボンズ
「テテは試合後控室で死んだように横たわっていた。我々は彼を病院に連れていかねばならなかった。ファン・カルロス・サンチェスJr戦もよく覚えている。10回にテテがサンチェスをノックアウトするまでポイントでは大きく負けていたんだ。テテ攻略の鍵はプレッシャーだ。テテのスタイルは誰にとっても恐ろしいものだが、私はテテをよく知っている。彼はハートが弱い。長いジャブが厄介なだけだ。」ノノイ・ネリ(カシメロのトレーナー)
「カシメロはテテのジャブに対処できる。勝って本当の王者、戦士であることを証明してみせます。」コンディショニングについては、カシメロはラスベガスで、かつてドーピング薬物の元売人からコンディショニングコーチになったアンヘル(メモ)ヘレディアと7週間働いた。セサール・ラミレスとの試合からヘレディアと組み、スタミナの改善に取り組んできた。ヘレディアと組んでカシメロはより強く、速く、よりよくなったという。火曜日の時点で119.5ポンドだが、試合時は125ポンド以上になるだろう。
カシメロ
「テテが逃げずに打ち合うなら試合はすぐに終わるだろう。テテをノックアウトします。」2012年にアルゼンチンで地元のルイス・ラサルテと戦い、ファンが暴徒と化した試合を含め、多くの乱気流をカシメロと共に過ごしてきたギボンズには信念がある。あの暴動でカシメロは被害を避けてリングの下に逃げ込んだが、ギボンズは肋骨を折った。
ギボンズ
[bctt tweet=”今のカシメロには揺るぎなきオーラがあります。(電話越しからカシメロのパンチの音が響き渡る)今この瞬間、全ての心痛も過去の浮き沈みも全く問題ありません。” username=”Puku”]「唯一問題があるとすれば、英国、バーミンガムという舞台だけです。」
テテはカシメロに勝って井上尚弥と戦いたいとしきりにアピールしている。
ギボンズ
「井上はドネアに対して大きな脆弱性をみせた。井上の防御に欠点があることは前からわかっていた。しかし残念なことに、井上は常に攻撃力の優位性でその欠点を補ってしまう。カシメロの方がテテよりも井上を撃破する可能性を秘めているとおもう。だからこそテテをノックアウトしてそれを証明しなければならない。私はカシメロの方が井上にマッチすると本気でおもっている。」カシメロ
「テテに勝てばより大きな可能性が開かれる。でも今は井上に対して色々話すべきではない、土曜日にテテに勝つことこそ重要なんだ。」
両者の過去に触れ興味深い内容です。
色々な事がありました。
ここでも触れたが、テテ陣営も両者がモルティ・ムザラネに負けた遠い過去を遡り、カシメロは若かった、今は違う、しかしサウスポーとの経験が少ないから極上のサウスポーの威力をみせてやると相当研究を重ねているようです。
アンヘル(メモ)ヘレディアという、ドーピングの専門家みたいな人物がカシメロの側近にいるんだな。(今はサプリメントなどの合法的なトレーニング方法を支持し、ドーピング薬物を使用した過去を捨てたと主張している。)昔のカシメロは細身の若き天然強打者だったが、今は体重も増え、ムキムキの怪物君になったような気がする。
かつてのファン・マヌエル・マルケスなども彼と組んで筋肉ムキムキだったから、特殊なノウハウは今も共有しているに違いないが、ルイス・ネリーVSエマニュエル・ロドリゲスが実現しなかった無念を晴らすためにもこの試合に注目したい。
ここを圧勝で勝ち上がるとしたら、それがテテであってもカシメロであっても、確かに脅威的な存在といえる。