階級別 フェザー レジェンド

The sky's the limit(限界なんてない)/サルバドール・サンチェス

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メヒコさんの要望に応えて記事にしてみました。もっといい記事は他にありそうです。リアルタイムでは知らない王者です。この頃はまだボクシングマニアではなかった。

サンチェス自身も、ラストファイトとなったアズマー・ネルソンも出てきた当時はそんなに知られた名前ではなく、怪物王者を倒した、圧倒した、大健闘した無名な奴からその伝説ははじまっていきました。それがボクシングをずっと見続ける醍醐味であり、よく使われる「The sky's the limit」はそんな人間たちのためにある。

サルバドール "チャバ"サンチェス44勝32KO1敗1分は神秘的なオーラをまとった驚くべきファイターだ。この天才は夭折した。死後35年以上が経過した今なお世界中のボクシングファンに語り継がれる伝説だ。

1982年8月12日、サンチェスはメキシコのケイタロ北部の高速道路を愛車の白いポルシェで走行中、トラックと衝突事故を起こしこの世を去った。享年23歳。トレーナー、ボクサー、ファンは今でもサンチェスの並外れたボクシング能力について語り、一体何が起きたのかと議論する。

我々が観て語るよりずっと前にサンチェスは通り過ぎていったが、時代を振り返りこのボクシング界で最も偉大なファイターの一人に敬意を表するしかない。サンチェスはまた、キュートなカーリーヘアーの愛嬌ある青年でもあった。

この殿堂入りの青年はスピードとパワー、無限のエネルギーを兼ね備えた完全なスキルセットを持ったパンチャーだった。

サンチェスのスタイルを分析すると、彼の最大の強みであり特徴はバランスとフットワークだ。これによりカウンターパンチャーとして頭角を現し、攻防よどみないファイターとして成長した。そのファイトをみると、よく動き、跳ねるようなステップを多用している。一見無駄にみえるその動きで彼はリズム、空間、タイミングを作っている。

体重の重心移動がスムーズでオフェンスからディフェンスへのシフトがなめらかだ。これにはバランスが重要で、両足の位置、膝の屈伸を使い体重移動している。とても複雑な部分だがサンチェスのそれは微妙にして巧妙だった。

バランスとこれらの巧妙な動きでサンチェスは打ち合いの中でタイミングを見出し打ち勝つことができた。特別なものだけが持つ稀有なスキルだ。

例えば現代のゲナディ・ゴロフキンは相手と打ち合いをすることはほとんどない。その必要がない。ゴロフキンは正確で破壊的なパンチでほとんどの相手を後退させ、守備一辺倒にしてしまう。ヘッドスリップを使ったり、カウンターを必要とせず相手を一方的に殴ることができる。

サンチェスの特筆すべき点は、低い角度からのパンチだ。見えない角度からのパンチを打たれた相手は驚きの表情とともに崩れていく。ディフェンス面でいえばカウンターパンチャーであったサンチェスは、まとめて打たれる傾向もあった。しかしサンチェスはボディワークでパンチを殺し衝撃を吸収、ダメージを抑える術に長けていた。

例えばフロイド・メイウェザーはサンチェスとは異なるタイプのカウンターパンチャーだが、反射神経、ディフェンススキル、トリックに長けている。パンチを吸収するのではなく、スウェーや首のスナップを利用しスイスイとかわす。

サンチェスのディフェンスでは連打される傾向があるが、パンチを受けても彼はステップを絶やさず、効果的なリターンを打ち返す。また、メイウェザーのように前腕を上手く利用し攻防両面で効果的に使っていた。

TBE(The Best Ever(史上最高))を自ら宣言しているメイウェザーもサンチェスを研究していたのではないだろうか?サンチェスはフェザー級では長身で長いリーチを誇ったが、腕を上手く使った接近戦も得意だった。もちろんアウトサイドも・・・。

猛烈なハンドスピードと共に、サンチェスには無限のタフネスがあるようにみえた。猛烈なその持久力、スタミナはアニメ「NARUTO」の九尾の狐~nine tailed fox~のようだ。

人は経験を通じその偉大さを示す、たしかにサンチェスはまだ若かった。

サンチェスは16歳でプロボクサーになった。天才少年だったウィルフレド・ベニテス(15歳)やサウル・アルバレス(15歳)に似たスタートだ。5年目の21歳、1980年2月2日にダニー・ロペスを13回KOしてWBCフェザー級王座を獲得、4か月後には再びロペスを返り討ちした。

29か月で9度の防衛に成功、その相手は、ルーベン・カスティーヨ、ファン・ラポルテ、パトリック・フォードなどトップクラスだった。サンチェスの活発なスケジュールはそのボクシングスタイルと一致していた。

トニー・ロペス、ウィルフレド・ゴメス、アズマー・ネルソンが最も注目に値するネームであり、そのキャリアに厚みを加えた。

サンチェスの最も偉大な戦いはなんといってもWBCスーパーバンタム級王者、ウィルフレド・ゴメスとの一戦だ。プエルトリコのスター、ゴメス(32勝全KO)は当時無敗の怪物王者だったが、サンチェスは一方的な内容で8回でストップした。メキシコVSプエルトリコの象徴的な試合だ。1981年、サンチェスはシュガー・レイ・レナードと共に、The Ringの最高栄誉賞を受賞した。

翌年、サンチェスはニューヨークマジソンスクエアガーデンで挑戦者アズマー・ネルソンを15回でストップし9回目の防衛を果たすと共に、これが最後の時間となった。それから一か月も経たないうちに悲劇は起き、その短い命を落とした。

フェザー級で全てを成しえたサンチェスには、ゴメスやネルソンとの再戦くらいしか有意義な試合が残っていなかったが、もう一人の伝説、アレクシス・アルゲリョとの対戦の可能性もあった。サンチェスには無限の空が広がっていた。

サンチェスはフロイド・メイウェザー、フリオ・セサール、チャベス、リカルド・ロペス、ファン・マヌエル・マルケスら数えきれないほどの人々に大きな影響を与えた。

私たちが今できることといえば、サンチェスが生きていれば起きていただろう試合、瞬間を想像し祝福することだけだ。Sweet Science(ボクシング)ファンとして、サルバドール・サンチェスの全ての貢献に感謝する。

青年時代には医者志望で、その資金稼ぎのためにボクサーになった。だが急逝によりその夢がかなうことはなかった。

リアルタイムではないので、想像するしかないが、ボクシングの残酷でもあり面白いところは、生い立ちやハングリー精神などに関係なく(もちろんそれもよくあるが)持っている者は持っている、強い者は強いところがあり、サルバドール・サンチェスには天賦の才を強く感じる。

ヒョロヒョロしているのに強靭で
弱点がありそうでなく
まだ未完成なのに誰をも凌駕する強さ、伸びしろがある

などなど・・・

怪物王者のウィルフレド・ゴメス戦をみるとこの強さは無限大だ。
若さ、まだ無知な故の強さというのもあるのか・・・

こういう、どうしようもなく天然で(もちろん努力の賜物だろうが)あらゆる要素に伸びしろがあって、エンジンの底がないような怪物が現れるのがメキシコでありボクシングであり、人間の神秘でもあり、恐ろしく強く勢いのあった時にいきなり急逝してしまうのはなぜなのだろう。

サルバドール・サンチェスのボクシングには見た目だけではわからぬ何か、本質が隠れている。生きていれば、もっと強く、完成されていったとおもわれる。全てのボクシングファンは彼のボクシングを深く研究していく価値がある。

http://kanemura-f.my.coocan.jp/ring5.htm
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原始的で単純明快なスポーツです。生涯一度の敗北、無敗で引退したボクサーもいます。負けても次頑張りますというスポーツとは違う残酷さ、無常さが好きです。

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