陰と陽、メディアに多く取り上げられる選手だけがエリートではないという事実がある。世界王者が一番ではないと確信している。
イバン・コルブはエリートクラスの出身だ。現在ブルックリンを拠点とするウェルター級のコルブは、Sprit-Tの経営者でプロモーターのルー・ディベラの傘下にいるが、世界王者のワシル・ロマチェンコ、オレクサンドル・ウシク、オレクサンダー・グヴォジグ、セルゲイ・デレビヤンチェンコらを擁するウクライナの有名なトップアマチュアだった。
コルブはアメリカを拠点とする前に共にトレーニングをしたロマチェンコについて語った。
コルブ
「ロマチェンコとのトレーニングはとてもクレージーだったが素晴らしい経験だった。彼は今まで見たこともないようなアスリートで特別な存在だ。ナショナルチームやWSBの一員として彼とともに過ごしたことは私の人生で最高の時間でした。朝2時間トレーニングして食事と休憩をしてまた2時間トレーニングをする。トレーニングは毎回違っていてユニークなものでした。ハードには変わりないですが、単調さを解消するためにサッカーやテニスもやりました。反射神経を鍛えることを中心に色々なことをしました。とても勉強になったし感謝しています。
ウクライナのボクシングシステムは基礎的なものが多く、プロになるためのいい準備になりました。教育こそアマチュアボクシングのあるべき姿であり、多くのウクライナ人がプロで世界王者になった理由でもあります。」
コルブは現在、世界の格闘技の中心地ともいえるニューヨークのブルックリンを拠点に、伝説的なトレーナーのアンドレ・ロジャーの指導を受けている。
コルブ
「ブルックリンに引っ越してくるのは簡単なことではありませんでしたが、アメリカの文化になじむために手助けしてくれたロジャーに感謝しています。英語を学ぶために最善を尽くしてきたし、妻はブルックリンでベーカリーとスイーツのビジネスを立ち上げました。ここで育った息子もいますからここが第二の故郷です。アンドレとゲイリー・スタークがボクシングだけでなく人間としても多くのことを教えてくれました。私とセルゲイ・デレビヤンチェンコをプロにしてくれた。いつか2人とも世界チャンピオンになると信じています。私はいつでも準備ができています。コロナウィルスで隔離されている時もジムの兄弟のクリスとうまくやってきました。
ウェルター級でビッグネームと戦いたいです。東ヨーロッパ出身だから多くのファイターが私を避けます。セルゲイ・デレビヤンチェンコもダニエル・ジェイコブスやゲナディ・ゴロフキンと戦うまではそうでした。しかし今では誰もがセルゲイの試合を見たがっている。自分のキャリアも同じようなことが起きると約束します。
トレーナー、プロモーターを信頼しています。今はウェルター級の世界王者の誰とでも戦える自信があります。アマチュア時代は世界最高峰の舞台で戦ってきましたから、相手がテレンス・クロフォードでもエロール・スペンスでもダニー・ガルシアでもショーン・ポーターでも誰だって問題ありません。準備は出来ています。」
プロボクシングの弊害のひとつが陰と陽、メディアに多く取り上げられる選手だけがエリートではないという事実がある。世界王者が一番ではないと確信している。
イバン・コルブはトップアマからプロ入りしたものの、今のところロマチェンコやウシクのような栄光の道から逸れている。2017年には当時無敗のジャーモンタイ・クラークに微妙な判定負けも喫してしまった。クラークはその後ジェイソン・ロサリオにSD負けだからかなりの実力者だ。実際の内容はわからない。
アマではテレル・ガウシャあたりに勝っている。村田とやったり、ヘビー級までやってたトップアマのアボス・アトエフとの対戦歴もある。
ライト級あたりからこういう日陰の実力者がわんさかいるのが本当の世界なのだ。(軽量級はトップアマがあまりプロにならない。お金にならないから。だからインターハイクラスの日本人が活躍できている事実もある。)
私の2019年のベストファイトはこの試合だが
[st-card id=97596 ] [st-card id=97846 ]誰も話題にしない。
特にメディアは扱わない。
金にならないのだろう。
彼らの方がアマチュア最高峰レベルの選手だった。
クロフォードもスペンスも、ウェルター級はおろか、P4Pでも上位に名を連ねる屈指のファイターだが、見向きもしない、されないファイターの中に最強のライバルが潜んでいるのだ。そして多くの場合戦うことはない。
イバン・コルブ31歳はセルゲイ・デレビヤンチェンコやそれ以上の名前になれるだろうか。覚えておいて損はない実力者だ。