権威あるボクシングライターから世界に向けて、紹介です。がっつり端折ってます。
世界戦に8勝1敗、3階級を制したボクサーは30歳を前に引退したりはしない。
日本の井岡一翔が昨年12月に引退を発表した時、ファン・フランシスコ・エストラーダが階級を上げたので、フライ級で2試合しかしていない井岡が自動的にWBA正規王者に認定されただけだと考えられていました。
井岡は突然引退を撤回しスーパーフライ級で再起することを表明しました。彼がノンタイトル戦に出るのは2015年以来です。スーパーフライ3での井岡の米国デビューは9月8日です。
過去全キャリアを日本で過ごした井岡の米国デビュー戦はメインカードではありませんが、ベストカードといえるものです。2017年の4月以来の試合となる井岡の相手はフライ級で2度の世界挑戦経験を持つ、北京五輪プエルトリコ代表のマクウィリアムアローヨ(17勝14KO3敗)です。アロヨは2月のスーパーフライ2で元王者のカルロス・クアドラスを破り、キャリア最高の勝利を手にしています。
この真の挑戦といえる試合が井岡をタイトル戦線に引き戻します。井岡はすでにWBAスーパーフライ級では2位にランクされています。井岡が唯一負けたアムナット・ルエンロンやローマン・ゴンザレスに負けた過去を持つアロヨはWBCとWBOで3位にランクされています。
この試合の勝者は世界戦の資格を得るでしょう。
米国のファンにとって井岡はニューフェイスです。この階級の新たな刺客ですが、改めて紹介など必要がないかもしれません。井岡が既に成しえてきたことを知れば人々は驚くかもしれません。
井岡は日本のもうひとりの電撃的な怪物スター、井上尚弥がデビューする数年前の2009年の4月にデビューしました。ミニマム級の無敗王者オーレドンからわずか7戦目でWBC王座を奪い2度防衛、その後3階級王者となる八重樫東とのスリリングな判定試合でWBAのベルトも追加しました。
その後階級を上げ、WBAライトフライ級タイトルを3度防衛しましたが、当時WBAスーパー王者に君臨していたローマン・ゴンザレスには決して交わりませんでした。ゴンザレスはフライ級王者としても井岡に戦う機会を与えたが、彼は決してゴンザレスを選ばず、代わりにアムナット・ルエンロンに挑戦しました。
抜け目ないタイのオリンピアンは、自分のボクシングに徹し井岡を出し抜いて撃破しました。その後、ファン・カルロス・レベコを破りWBA王座を獲得し、再戦ではレベコを初めてノックアウトした男になりました。フライ級でも井岡は当時のスーパー王者であるファン・フランシスコ・エストラーダと戦うことは決してありませんでした。
ミニマム級からやってきた井岡にとって、ゴンザレスやエストラーダとの試合を実現できなかった事を後悔する気持ちもあっただろう。軽量級で遠く離れた王者が戦うには地理的な困難もあっただろう。
エストラーダや彼と同じ、ミニマムから4階級制覇をかけるドニー・ニエテスの前座といえど、井岡の米国での復帰は全てを変えるチャンスです。2019年には王者のシーサケット・ソールンビサイも戻って来るだろう。
井岡の勝利、あるいは競った敗北は新しい市場で井岡が活躍できるチャンスを与えることになります。29歳の井岡一翔のキャリアはここから本格的にはじまります。
ビセンテ・サルディバルの例とかあったので端折りました。
随分と井岡に好意的なライターさんです。
この舞台、この相手と戦う井岡に素直に期待して見届けたいとおもいます。
注目すべきは、体力、パワーがこの階級にフィットできるのか。
技術は高くともかつての井岡はフライ級でもパワーレスにみえました。
同じ相手アムナットにはアロヨの方が肉薄しました。
シーサケットはインタビューで、スーパーフライ級の統一、特に、ジェルウィン・アンカハスとの対戦に興味を持っていました。以前からパワフルなアンカハスのファイトに注目していたそうです。アンカハス陣営は別路線でじっくりとキャリアを積んで、その時に備えている様子です。
そしてアンカハスに勝った後は井上尚弥を求めて、バンタム級に転向したいと語っていました。フライ級のクリストファー・ロサレスはシーサケットを未来のターゲットにしていました。従兄のロマン・ゴンザレスの仇、ニカラグアの仇なのでしょう。
シーサケットを主役に回るスーパーフライを引っ掻き回す主役の一人に井岡が加わることができるのか
注目です。