印象、写真じゃわかりにくいが、これは未来ある若者と引退もよぎるベテランの戦いだ。およそ10も歳が離れた両者。
アンケート通り、若く無敗の3階級王者、田中恒成に大きく傾く事前予想だが、田口が負けた姿など(井上戦以来)みたことがない。ブトラー戦も含め、この男はしぶとい、ノンアマ、たたき上げならではの味がある名王者なのだ。
3階級制覇王者の田中恒成は今週土曜日、岐阜県のメモリアルセンターで同国の田口良一相手にWBOフライ級の初防衛戦をする。リング誌ではフライ級の2位にランクされる田中(1位はムザラネ)は昨年9月に木村翔との激戦を制し3階級目のタイトルを獲得した。
12戦のキャリアで3階級制覇というのはワシル・ロマチェンコに並ぶ記録だ。23歳の田中は次の試合を楽しみにしている。
田中
「日本だけでなく世界のボクシングファンに向けて、フライ級のビッグマッチを提供できて嬉しいです。田口は相手が強ければ強いほど力を発揮するファイター。勇敢でスタミナとジャブが素晴らしい。」田中と田口は2017年の年末にライトフライ級で統一戦を合意したがその前の試合に勝つことが条件だった。両者ともに勝利したが、田中はタイのパランポン・フレッシュマート戦で目を負傷し統一戦を辞退せざるをえなかった。その時の約束を果たしていない田中はずっと心残りだった。
田中
「僕たちには果たされていない約束があり、責任を感じていました。立場は変わりましたし当時とは別の戦いになりますが、こうして対戦することができて光栄です。」対する田口はこの試合が初のフライ級デビューとなる。現在32歳の田口は長くライトフライ級をけん引してきた元王者だがヘッキー・ブトラーに僅差で敗れ2本のベルトを失った。(そのベルトは同門の京口が取り戻した。)
田中は1月にタイでトレーニングをしたが、練習のほとんどを地元の名古屋で行った。どんなクロスファイトになっても動じない基礎とメンタルに重点をあてたと言う。
主に西日本でハードコアなボクシングファンに支持される田中は将来のビジョンについて考える。
田中
「身体の成長に合わせて適正階級を探している途中です。複数階級制覇は自分の目標ではないのです。将来的には5階級王者になるでしょうが、目標はまだ定めていません。」
タイプも何もかも違うが、両者は今カネロとゴロフキンのような立場であり、無冠の田口はベルトも複数階級制覇も無関心だという。井上尚弥戦以来、それ以上のモチベーションで、自分の集大成を田中にぶつける、それしか考えていないというような記事を読んだ。
きっとそういう境地の田口は強い。
ややスロースターターで決定力に欠ける田口が田中を圧倒するとは考えにくいが、童顔に似合わずとてもタフで気持ちが強く折れない田口を天才系といえる田中は攻略できるのだろうか。
見栄えだけは田中だろう
しかし中身は?勝負に勝ったといえるのはどちらになるかは全くわからない。未来ある若き田中よりも田口を応援している自分に今気づいた。
両者、9歳も歳が離れているんだね。
みえないね。
本来背の高い田口はフィジカルでも田中に負けないコンディションに仕上げることだ。
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