WBO王者の田中恒成やWBCの新王者、フリオ・セサール・マルチネスと戦いたいです。田中の試合を観たことがありますが、素晴らしい無敗の王者です。
モルティ・ムザラネは日本のボクシングシーンで馴染みの顔になってきた。フライ級王座を奪還して以来、3度の防衛を日本人相手にこなした。昨晩は横浜で元3階級王者の八重樫東を破った。
ムザラネ
「相手のホームで戦うのは簡単な事ではありませんが、日本はいい所です。」八重樫との試合はムザラネのキャリアの中でも最高のパフォーマンスのひとつであり、歴戦のキャリアの中にはゾラニ・テテやジョンリエル・カシメロに対するTKO勝利も含まれている。
コリン・ネイサン
「もっと早くストップすべきだった。八重樫は7回、8回はひどく打たれていた。」ムザラネ
「WBO王者の田中恒成やWBCの新王者、フリオ・セサール・マルチネスと戦いたいです。田中の試合を観たことがありますが、素晴らしい無敗の王者です。」ネイサン
「4月か5月に再び戦う可能性が高いです。統一戦の話もあります。ムザラネの息が長いのは、暴飲暴食や喫煙、リングの外の悪徳と一切無縁なためです。ジムでいつも鋭利な感覚を失わないためにスパーリングを続けています。彼はいつか国際殿堂入りする可能性もあります。その瞬間を楽しみたいです。」しかしムザラネはまだまだ自分のキャリアは続くと主張する。
ムザラネ
「あとどれくらいボクシングができるかわかりませんが、そのタイミングははっきりと自覚できるとおもいます。現時点ではまだまだ自分は若くフレッシュだとおもいます。」ムザラネの功績は増大している。南アフリカではオリンピックのメダリストであるチャド・ルクロ(水泳選手)を抜いて、スポーツマンオブザイヤーを獲得した。彼は南アフリカの世界王者であるだけでなく、今やアフリカ大陸で唯一の現役チャンピオンでもある。
ムザラネ
「昨夜の勝利は南アフリカのボクシングにとってとても重要な事でした。なぜなら今年、南アフリカは世界王者の多くを失ったから。だから私はアフリカの威信にかけて戦ったのです。」
日本人側の記事ばかりなので、ムザラネ側からの記事を紹介しました。
日本に来るだけでも過酷なことで、日本人が南アフリカで戦った例、まして勝った例などとても少ないだろう。37歳の高齢で若い時と同じ体重を維持し続けるのも立派だ。リング外の誘惑と全く無縁で節制した生活を続けているが故だろう。
残念ながらムザラネの復帰後の試合で最も接戦だったのは、戴冠したムハマド・ワシーム戦で、終盤にはワシームの波状攻撃でダウンも喫したムザラネだが前半の貯金と粘りで勝利を手にした。(ワシームはキャリアが停滞しているがMTKグローバルと契約し、先日ガニガン・ロペスに圧勝した。)
その後、坂本、黒田、八重樫と日本人との対戦が続く。
どの試合も日本人挑戦者は大健闘、特に序盤は可能性を感じさせるのだが、中盤から後半に削られて顔面を腫らしボコボコになってしまうのはいつも日本人挑戦者であり、ムザラネはわかりにくいが、さしたるダメージも感じさせず飄々と勝利する。
やはりガードが堅くて崩せない、イケると考え打ち合っても正確で重いジャブや連打、プレッシャーに徐々に怯み、ダメージを蓄積させ力負けしていく。ムザラネは芯の強さ、打たれ強さもパンチの質も違うなと感じさせるところがある。節制によって鍛え上げられた精神、肉体は本当に堅牢だ。
しかしそれは以前からわかっていたことだ。昔からスタイルは全く変わっていない。ドネア戦の頃から堅牢なガードで崩れないのはわかりきっていた。華麗さもトリッキーさも何もない正直なボクシング。
これに勝つにはムザラネ以上の部分、スピードで翻弄しきるなり、ハイテンポで押し切るなり、シャープなパンチで効かせるなり、ムザラネ以上の強靭さで打ち勝つなり、何かに特化、突出しなければならない。打ち合いで打ち勝てるとおもうファイターだけが(フリオ・セサール・マルチネスのような男)ガムシャラに打ち合うべきである。
ゾラニ・テテの方が体格と必殺の武器に恵まれたスケールの大きなファイターだが、勝ち残るのは意外とこういう堅牢で穴の少ない男だったりする。
八重樫は打ち合いたかったのか、打ち合わざるをえなかったのかわからない。素晴らしいファイトをしたが削られていく一方にみえなくもなかった。ムザラネが得意なファイトを選択していった。勝利に徹するならば別のプランがあったような気がする。
ムザラネは強い、しかし意外性はなく、突破、攻略できる王者であるはずだ。
2020年は田中戦やビッグファイトに辿りつけるといいですね。
敵ながらあっぱれ。
ムザラネにもショーン・ギボンズ(プロモーター)が一枚かんでいるようです。