米国海兵隊潜入破壊工作/伊藤雅雪VSジャメル・ヘリング

ボブ・アラムの手のひらで、物語は着実に育まれているようだからこの試合の実現可能性はかなり高いといえるだろう。伊藤雅雪、次戦は恐らくアメリカ、過去の日本人にとっても最も過酷な条件のアウェーとなりそうです。それでも実力では負けていないと信じている。

ジャメル・ヘリングは、PBCのアル・ヘイモンとの5年契約が2017年に終了しフリーエージェントになった時、大きな危機感を抱いていた。しかしついに米海兵隊のヘリングにチャンスが到来した。

まだ正式決定には至っていないが、ヘリングがWBOスーパーフェザー級王者、伊藤雅雪に挑む計画は進んでいる。問題は開催地だった。しかし5月25日に南カリフォルニア州のペンドルトン海軍基地、試合はESPNを通じて放映される可能性が強まっている。

その特殊な場所はもちろん、ヘリングのために用意されたもので、海兵隊は記念日の休日になる。ヘリングにとっては2重の想いが込められた特別な一日だ。

その記念日は米国のために命を落とした兵士たちへのオマージュであり、ヘリングの娘、アリヤナの10歳の誕生日だ。彼女はSIDS(乳幼児突然死症候群)により生後わずが2カ月でこの世を去った。

王者、伊藤雅雪(25勝13KO1敗1分)は昨年7月、フロリダで下馬評を覆し、クリストファー・ディアスを圧倒しタイトルを獲得。今回は2度目の防衛戦になる。昨年の大みそかでは日本でメインを務め、ランキング1位のエフゲニー・チュプラコフを7回TKOで下している。

トップランクとESPNがこの試合を作ったのには強い理由がある。ラスベガスを拠点とするこのビッグプロモーション期待の新鋭(ディアス)を破った(アマキャリアもない)28歳の日本人、伊藤雅雪に強い関心と信頼があるからだ。

ジャメル・ヘリング(19勝10KO2敗)はアル・ヘイモンのPBCで5年間のプロキャリアを過ごした後、トップランクと契約した。ロングアイランド東部出身の33歳ヘリングはロンドン五輪代表であり期待のプロスペクトだったが、200人超のエリートが所属するPBCでは決して優遇されることはなかった。現WBCスーパーライト級王者、ホセ・ラミレスは五輪のチームメイトだ。

デニス・シャフィコフにTKO負け、ラダリウス・ミラーに判定負けという2つの敗北がヘリングの出世を遅らせた。ミラーに対する敗北がPBCとの最後の契約となった。トップランクと契約後はフィリピンのプロスペクト、ジョン・ビンセント・モラルデへの勝利を含む3連勝を挙げている。

モラルデへの勝利がくさびとなり、ヘリングにスポットライトが当てられた。ヘリングの海兵隊としてのキャリア、イラクへの2度の派遣などをアピールすることで、絶大なファンベースを持つシンボル、海兵隊の英雄として人気を博している。

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ここで伊藤の最新ランキングは1位も2位もヤバ目ですよと書いたが、この男を忘れていました。しかしジャメル・ヘリングはWBOのランキングに入っていないのでWBOはこの試合に難色を示しているそうだ。それでも、マネーパワー、ストーリー、ボブ・アラムの力でこの試合は実現の可能性がかなり高いとのことです。

ヘリングは伊藤と同じかそれより大柄なサウスポーで、ロンドン五輪米国代表という大変立派なアマチュアキャリアを持っています。アマで初めて負けたのがダニエル・ジェイコブスだったそうです。ロンドン五輪で敗れたのも、リオで金をとるダニヤル・イエレウシノフが相手。(イエレウシノフはロンドンではイタリアのヴィンチェンツォ・マンジャカプレ(銅メダル)に敗れました。このマンジャカプレもプロになってます。(2戦2勝))

話が逸れましたが、伊藤VSヘリングがこの記事の通りに実現するとしたら、超ド級のアウェーとなります。アウェーはよくても相手の庭、ペンドルトン海軍基地というのはかつてないほどでしょう。

ホセ・ラミレスが地元フレズノでサクセスストーリーを築くのと同じく、ジャメル・ヘリングも海兵隊(ファイティング・マリーン)の物語を紡いでいく。

シナリオは伊藤にとってかなり過酷です。

しかし、ヘリングという男のボクシングは大成しない米国黒人エリートにありがちでやや判定志向。33歳という年齢もあるのか、火力、思い切りの良さに欠ける部分があります。ヘリングのスキルにやられてしまうなら仕方ないですが、ニュー伊藤雅雪のおもいきった攻撃力やモーションの少ないストレートの連打、スタミナ、闘志を捌ききれないというのが持論です。

ヘリングという男のボクシングにどこか煮え切らなさ、決め手がないから超エリートなのに2敗しているのだろう。デニス・シャフィコフに最終回TKO負けという記録があるが、シャフィコフは現王者のリチャード・コミーも下しているが王者にはなれないロシアの左ファイター。ああいう強いアタックには弱いのかもしれない。

伊藤にとって決して楽な相手ではないが、こうしたストーリー、背景があるなら勝てば名前は売れる。実現しないベルチェルトや全てを持ったアイドル、ライアン・ガルシアの引き立て役になるよりはやりがいのある相手といえるかもしれない。

ボブ・アラムにしてみたら、持ち駒のヘリングが負けても、伊藤と契約したいだけだろう。前からそのムードはあった。だからこれはボブ・アラムによる伊藤の最終テストなのだ。けれど伊藤が勝ってそんな流れになっても、ハイよとトップランクと契約せず、交渉してDAZNと契約なんてことになったら面白い。

道は険しいですが、海外志向の強い伊藤が日本人の先鞭となり、海外大型プロモート契約をする男になるのかもしれない。
(岩佐は惜しかった。TJドヘニーが夢条件全部持って行った。あの程度の試合で・・・)

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